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第102回 長期投資の勉強会

2009年11月16日

大きく変化しているが、たどってみると

1986年ごろから折にふれて、そして弊社設立後はひんぱんに、長期投資のセミナーや勉強会をお手伝いしてきている。かれこれ23年になるわけだが、参加される方々の反応もずいぶんと変ってきた。「いよいよ、これからだな」と、良い意味で気合が入ってくる。

日本経済は長期高度成長の勢いを引きずったまま、80年代後半の土地投機や株式ディーリングのバブルに突入していった。「21世紀は日本の時代」とか「地価と株価の上昇がもたらす含み益の毎年の増加分を勘案すると、日本は2つのGDPを持つ国になった」といった具合で、日本の先行きはバラ色そのものだった。

そんな時代だったからか、長期投資のセミナーは空まわりすることも多かった。「日本の地価や株価はすごい上昇を続けているが、ここらあたりから戦線縮小の売り上がりに入っていきましょう。資産効果がたっぷり効いている間に、一度売って現金にしておき、下げたら買い戻せばいい。大きく値上がりしたストック資産(土地など)を利益確定して、一時的にしろフロー資産(現金)に置いておくのも運用です」といっても、まったく聞いてもらえない。

ずっと右肩上がりを続けてきた地価や株価だ。いつかは下がる時が来るなど、ほとんどの人は露ほども想定していない。逆に、下がってくれたら絶好の買い増しができると、鼻息も荒かった。

そのため、「冗談ではない。一度、この土地を手放したら、もう絶対に手に入らない。買えたとしても、えらい高値となっているはず。わざわざ税金を払って、次はもっと高値で買うなんてナンセンスもいいところ」と、総スカンを食らうばかり。あの頃のバブル熱気からすれば、そういった反応も当然であった。

状況が一変したのは、90年代に入ってバブル崩壊の嵐が吹き荒れるようになってからだ。セミナーの回数がはね上がり、依頼も急に多くなった。

それはそれとして、「土地が大きく値下がりした。売りたくても売れないし、ここで売ると大損してしまう。どうしよう?」といった相談には困った。「だから、言ったじゃない」なんて口には出せない。いつのバブルでもそうだが、大きな価格上昇の後の下げもやはり大きなものとなるから、暴落過程に入ってからの「どうしましょう?」対応は難しい。

バブル相場の後はいつもそうだが、「もっと早い段階で売っておけば良かった。どうして売らなかったのだろう」と、みなが異口同音にいう。さっさと売っておけば、暴落相場で苦しむこともない。むしろ、安値買いにさえ入っていける。これが長期投資のリズムなのだが。

19年間の「日本はもうダメだ」意識の中で、すこしずつではあるが

歴史に「もし」はないが、「もし、日本の指導層に人を得ていたならば、バブル崩壊後の日本はこうもダラシなくなっていない」と思われる。

「人」とは? 歴史に学び、新しい国家像を描き出せる政治家といっていいのだろう。バブル崩壊による不良債権問題に振りまわされて右往左往するだけでは困る。バブルの生成と崩壊は、日本経済が高度成長期を卒業し成熟段階に入っていく過程で、ちょっと荒っぽい展開になっただけのこと。したがって、成熟経済を運営していくという路線をまず敷いて、そこにバブルの後始末作業をも組み込んでしまえる「人」が、日本の新しい指導層として踊り出てもらいたかった。

バブルの前も、崩壊後19年たった現在でも、日本は世界第2位の経済大国であり、最大の債権国である。その経済的実力からして、これほどまでに長期低迷する理由はない。ひとえに、指導層の識見と力量不足によるところ大である。言い過ぎだろうか。

ようやくここへきて民主党政権が生まれ、政治主導で官僚支配や既得権擁護型の経済運営を打破していこうという動きが出てきた。それはそれで頑張ってもらうとしても、まだまだ政策的にはもの足りない。

一番の問題点は、相も変らず国がなにもかも面倒みようという姿勢。日本の財政赤字は先進国でも最悪の状態なのに、国民の方もまだなお国に頼ったまま、おねだりばかりしている。

このままダラダラと予算バラ撒きを続けるのは、どう考えても無理である。だからといって、大幅増税とか緊縮財政に走ると、日本経済はガクーンと落ち込んでしまう。このジレンマに、国や政府はどう対処したらいいのだろうか。

成熟経済では民間エネルギーをフルに引き出すことが政策の要となるのだが、その視点が日本の指導層には根本的に欠けている。これは自民党時代も、民主党に代った現時点においても同じ。相変らずの予算バラ撒き政策から一歩も出ていない。どうして、徹底的な規制緩和と民営化それに大幅減税で、民間活力を喚起させるという考えに切り換えられないのだろう。

ともあれ、日本経済のジリ貧は続いている。「このままで良いのだろうか? 年金など社会保障はどうなるのだろう? 消費税はどこまで上がるのだろう?」といった疑問やら不安は、生活者の間で着実に高まっている。その辺が、セミナーや長期投資の勉強会場で一番多く出てくる質問となってきた。あるいは、「このままではマズイ。なんとかしなければ」といった思いを、参加者の質問からひしひしと感じさせられる。

3年もすると

こういった自助と自立意識が一般生活者の間で高まってきているのは心強い。それも、東京より地方でより真剣な反応をいただく。これは楽しみな傾向である。

政治が変ってくれるのは大事だが、それをのんびり待ってはおれない。たとえ日本経済全体ではモタモタが続くとしても、生活者一人ひとりが自分の置かれた経済的状況を好転させていけるのなら、動ける人から動き出すに越したことはない。

そこで鍵となってくるのは、本格的な長期投資だろう。世界経済を見渡すに、どこもかしこも金融バブル崩壊や景気後退でのたうちまわっているわけではない。新興国中心にあちこちで経済活動の力強さが増している。原油価格の上昇や株価全般のジリ高が、それを裏付けている。

われわれ本格派の長期投資家からすれば、いまは5年7年先を見越して、これはと思う企業の株を買っておく絶好の仕込み場である。3年もすれば、長期投資の成果が一部なりとも表面化していると期待できる。

さっさと動いた人たちが、それなりの成果を手にしはじめるにつれておもしろくなる。それらの成果と、人々の間で自助や自立意識が高まってきているという傾向に重ね合わせたら、どんな展開がみられるだろうか?

おそらく、「そうか、長期投資すればいいのか。私もはじめよう」のすごい雪崩れ現象となるのだろう。「このままではマズイ。なんとかしなければ」という意識をもっている人々にとって、実際の長期投資の成果モデルを目のあたりにすることは、最高の刺激材料となる。

ずっと「貯蓄から投資へ」といわれてきたが、本当に預貯金マネーが動きだすのは、この辺りからと思われる。本格的な長期投資は一歩でも踏み出してみると、「なんだ、こんなことか」と妙に納得できる面が多々ある。そのきっかけとしては、先行者の成功モデルを目のあたりにするのが一番。「そういう風にやれば良いのだ」と気楽に考えられるようになると、これまで「投資は難しい」とか「値下がりのリスクもあって怖い」といった先入観にとらわれていた人々も、「ちょっとやってみようか」となる。

預貯金にツンドラ(永久凍土)状態になってきた個人マネーが溶け出しはじめたら、日本経済の活性化は早い。個人個人が預貯金の一部を引き出して投資にまわすといっても、経済全体では何も変らない。なにが変わるかというと、経済の現場へ直接お金を放り込む量、それと方向。投入されたお金が活きるのだ。

預貯金に預けられた個人マネーの相当に大きな部分が国債購入に向けられて、予算バラ撒きの原資となっている。その経済効果は先に書いたように限定的である。一方、個人マネーが長期投資に向うと経済の現場へ直接お金が放り込まれる。それも、長期でみてずっと頑張って欲しいと思える企業を選んで、みなが売り逃げに走る相場暴落時や不況のドン底で応援しようと投資するわけだから、はっきり方向感をもった景気浮揚効果が期待できる。

これも最近の特徴だが、勉強会やセミナーでこの長期投資による景気浮揚効果を話すと、すごく熱心に聞いてもらえる。以前なら、「そんなこと、国にまかせておけばいい。それよりも投資リターンだ」といった反応が多かったのに。

やはり、日本は変わろうとしているのではないだろうか。それも、草の根で。

(2009年10月27日記)

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