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第99回 ようこそ長期投資の世界へ

2009年10月1日

なんのために投資するのか?

出足からこんな質問されると面食らうかもしれない。投資なんてお金を殖やしたいからであって、なぜまた改まってそんな質問するのか、逆にいぶかしがる人も多いと思う。

実は、「なんのために投資するのか」をきちんと整理しておくのは、きわめて大事なことなのだ。そこをなおざりにすると、お金は思うほどに殖えてはくれない。

世の中どこを見渡しても、楽に儲けさせてもらえそうな話はそうそうない。それは当然だろう。みなが儲けよう、もっと稼ごうで必死に生きているというのに、だれかが楽してどんどん儲けているのを指をくわえて見逃すはずがない。自分の利益最大化で眼をギラつかせている人達がゴロゴロしているのだから。

お金を殖やしたいと願うのは勝手だが、そう簡単には儲けさせてもらえないのが世の厳しさである。それは、毎日まじめに仕事してお給料をもらう自分自身をみてみればわかる。気分が乗らないからとズル休みするわけにもいかない。

お店の商売だって、お客様が来てくれなかったら閑古鳥が鳴くだけである。出店コストは固定費として毎日毎日のしかかってくるのに、売上げはさっぱりというのは辛い。

では、どうすればお金が殖えるのか? 自分の働きでもなんでも、やはり世の中のお役に立ってはじめて、その報酬をいただくことができる。お店なら、お客様がお金を払ってくれて、その売上げから諸経費を差し引いて、ようやく利益を手にすることができる。

世の中のお役に立つべく働くのは、自分自身でもいいし、自分のお金でも構わない。先ずはともかく、世の中や社会のお役に立つことだ。

投資とは、自分のお金に「世の中のために働いてくれよ」といって送り出してやることである。「なんのために投資するのか」と問われたら、「これこれ、こういった社会を築いていくために手持のお金に働いてもらうんですよ」と応えることになる。

どうして、お金は殖えるのか?

古今東西、富を殖やすには2通りの方法がある。ひとつは他人から奪うこと、もうひとつは生産を通して付加価値を高めることである。前者の略奪は論外として、付加価値を高める古典的な例は、農作物を育てることだろう。

米作でみれば、春まだきの頃から田んぼを掘り返して土中に空気を通してやる。そして、田んぼに水を張って春の陽で温ませてやる一方で、苗代で苗を育てておく。

4月に入ると田植えがはじまり、その後は梅雨を越えて暑い夏の陽ざしの下でも雑草を除いたりで忙しい。いろいろ手を入れてやって、ようやく秋の刈り入れ時を迎える。半年にわたる労働の報酬として、農家の皆さんは秋の収穫を手にするわけだ。これが付加価値である。

お百姓さんが汗水流して育ててくれたお米を一般生活者が口にするまでには、数多くの人々の手を経由することになる。その都度、なんらかの手数料が上乗せされていくが、これらも付加価値である。なかには、天下り役人が巣食う特殊法人が濡れ手に粟の口銭を抜くこともある。多くは、それぞれの労働の対価としての報酬が支払われる。

さて、こういった付加価値には生産とか労働とかだけでなく、お金が働いてくれる分もある。それが投資である。

投資の付加価値とは? 実は経済活動のほとんどすべてが投資なのだ。お百姓さんが種モミや苗を買ったり農機を動かす軽油を買うのも、秋の収穫を期待した投資である。企業が工場を建て機械を入れる設備投資も、製品を生産し販売収入を得るための先行出費である。

そう、投資なかりせば経済は動かないし、われわれの生活に必要な物資の生産も供給もない。投資が実るかどうかは、一連のお金の働きがどれだけ世の中のお役に立てたかによるものの、それは結果である。先ずはお金を投入するところからはじまる。

プラスサムの世界とは?

ここまで書いてくると、お金が世の中のお役に立てるかどうかが一番大事ということがわかる。世の中や人々のお役に立つというのは、より多くの人々あるいは大多数の人々が幸せと満足感を味わえることである。それは、経済全体のパイが大きくなることを意味する。

経済のパイが大きくなれば、それぞれの分け前も大きくなるのは自然の摂理。これを、プラスサムの世界というが、それをはっきり目的意識としているのが長期投資である。

われわれ長期投資家は、経済全体のパイが大きくなって皆が幸せになれるように、時と方向を選んでお金を投入していく。どうすれば、できるだけ効率よく経済の拡大発展に貢献できるのか。どのような方向を選べば、でき上がってくる経済のパイの質を高められるか。その点をトコトン重要視する。

ここから先は、いつも書いていることである。世の中あるいは経済の現場が一番お金を欲する時は、不況時か株式相場の暴落時である。そういったタイミングでは売りが圧倒的に多く、経済の現場からは現金がどんどん引き揚げられてしまう。それを放置していると、経済活動はみるみる活気を失っていく。

経済の現場でお金がまわらなくなると、消費も企業活動も落ち込み失業問題にもつながっていく。雇用不安が高まり給与収入が減っていくとなれば、人々はますます現金を抱え込もうとするから、経済の現場からはさらにお金が消えていく。

そうなると、だれにとっても嬉しくはないし、お先はどんどん暗くなっていく。最近の日本というか、もう10年以上にわたって、日本経済はずっとこのジリ貧傾向を強めているはず。

こういったダラシない状況を打破するのに、一番手っ取り早いのが個人の長期投資である。そこのところが、社会の一般認識となっていないところに歯がゆさを感じる。

現実に、政府の景気浮揚策が次々と打ち出されるものの、それほど効果が出てこない。それは、投入された予算が活き活きとした働きをしないから。一部の業者などに予算が回って行っても、国民の多くに「景気が良くなってきた」という実感と恩恵が行き渡るまでには、途方もない時間とお金を必要とする。

個人の長期投資だと、お金が活きる

ところが、個人の長期投資が全国あちこちで盛り上がってくると、経済の現場へ与える心理も実際の効果も天と地ほどの差となる。なぜかというと、個人投資家は生活者でもある。その人達が「経済の現場へお金をまわそう、経済のパイを大きくしよう」ということで、自分の資金を投入してきているのだ。これは、活きたお金そのものである。

考えるまでもないことだが、個人の長期投資が動く時は「どうせ、お金を投入するのなら」という思いや意思がたっぷり籠められている。人間だれだってムダなお金のつかい方はしたくない。「どうせなら、うんとお役に立ってもらいたい」といって、お金を投入するのはごく自然の流れである。

もちろん、投資対象も選ぶ。「どうせ、ここで買うのなら」という判断が働くのは人情だろう。おもしろいことに、不況時や相場暴落時に「経済の現場へお金を投入するのだ、経済のパイを大きくするのだ」という意識が強ければ強いほど、「儲かりそうな株を買おう」といった意識はほとんど出てこない。ひたすら、どんな景気回復をするのか、どんな企業を応援していくのかを考えた行動が中心となってくる。

個人の長期投資が経済の活性化や景気回復を主導していく姿は、なかなかイメージできないかもしれない。なにもかも国がお膳立てし、国の指し示す方向に従順であるのが一番といった意識が染み込んでいる日本人にとって、民間が自発的に動くことがどれだけ巨大なエネルギーとなるか、すぐにはピンと来ないのも仕方ない。

もうそろそろ、一人でも多くの人々が自助意識を高めて経済的自立を図る時と思う。国は財政赤字と長期債務が重い足枷となっている。その横で、世界最大の眠れる資源である預貯金を抱えた日本の個人が相も変らず国頼みというのは、とんでもない皮肉である。

日本経済に元気を取り戻すカギは本格的な長期投資だろう。その主役は個人一人ひとりだし、経済活性化の恩恵を享受するのも個人一人ひとりである。          

(2009年9月9日記)

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


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