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第88回 そろそろ貯蓄一辺倒から脱却しよう

2009年3月24日

将来が不安だから貯蓄しておく?

日本経済が元気一杯だった頃、国民のだれもがより豊かな生活を求めて無我夢中で働いては、得た収入でテレビや車などの耐久消費財を次々と買い揃えていった。いろいろモノが揃っていく幸せ感にひたりながら、余ったお金の預貯金を心懸けるだけ。老後の不安など感じることはなかった。

それはそうだろう。なにしろ、日本経済は世界に例をみないほど長期にわたって高度成長を続けたのだから。ひたすらまじめに働いていれば、職を失う不安もないし給料もどんどん増えていく。ささやかな貯蓄も「チリも積もれば山となる」で、定年を迎える頃までにはそこそこの財産になってくれた。

ところが、盤石と信じて疑うことのなかった平均的日本人の生活設計も、この20年であちこちが浸水し根腐れがひどくなってきた。いまや、老後設計どころか現役時代の収入確保すら不安定となってきた。頼みの年金も、どれだけ当てにしてよいのか疑わしい限り。

だから、できるだけ出費を抑え、虎の子の資産は貯蓄しておく? その考え方がマズイのだ。節約と貯蓄に励めば励むほど、日本経済はジリ貧の道を転げ落ちていき、将来不安はますます高まっていく。これは成熟経済の宿命である。

もう生活に必要なモノはほとんど持ってしまった、せいぜい買い換え需要しかない。買おうと思えばお金はあるが、これといって買いたいモノもない。ということで、一国の経済が成熟化すると成長力は急激に鈍化する。日本も完全に成熟経済特有の縮小均衡パターンに入ってしまった。

給料が減り将来不安が高まるのは成熟経済の宿命? いや、経済運営のやり方次第である。成熟経済だから成長できないということはない。要は、お金をどんどんつかうようにしてやることだ。経済なんて動いているお金の量だから、お金さえ活発に動きまわるようにしてやれば、いくらでも元気になれる。

成熟経済の運営とは

一国の経済が発展拡大段階にある間は、国民の間で膨れ上がる「より豊かに生活したい願望」が、成長のエネルギーとなっていく。

日本では1960年代に三種の神器の時代(電気洗濯機、電気冷蔵庫、白黒テレビ)、70年代には新・三種の神器の時代(カラーテレビ、車、ルームクーラー)ということで、国を挙げての耐久消費財購入需要が爆発した。それが企業の設備投資意欲に火をつけ、雇用の拡大や所得倍増にもつながっていった。

ところが、成熟経済に突入するとそういった成長エネルギーの爆発が散発的になっていく。なにしろ、国民のほとんどが「必要なモノを手にしてしまった。せいぜい買い換え需要ぐらい」と言っているのだから、お金を抱えて動かなくなってしまうのは仕方がない。

どこの成熟国の経済も60%強は個人消費が占めており、これが元気よく動かないことには経済全体の成長もおぼつかない。もちろん、日常品購入など日々の生活に必要な消費需要はいつでも存在している。そこへ、なにか強い消費行動意欲が新たにプラスしてくれると、成熟経済はたちまち元気に成長トレンドをたどりはじめる。

本来なら、日本の指導層がその辺の機微を的確に押さえて、長期ビジョンに立った政策をどんどん打ち出してもらいたいところ。残念ながら、政治家も高級官僚も高度成長時代の国家経営のプロではあっても、成熟経済の運営には慣れていない。

マズイことに、政官民の至るところで積年の利権や既得権がはびこっている。日本経済の方向を大きく舵切ろうとすると、あちこちで猛烈な反発と抵抗が噴き出してくる。「日本経済の将来を見すえて変わらなければ」よりも、「なんだかんだ言っても、なんとかなっているのだから無理して変えなくてもいいじゃないか」の声に押し潰されてしまう。

いかに民間活力を高めるか

1990年代から2007年まで17年もの長きにわたって、米英といった成熟経済の先輩国が3~4%前後の成長を続けられたのは、大幅な規制緩和によって民間活力を高める政策が大きく貢献している。サービス部門中心に多くの産業が生まれ、雇用の拡大が個人消費の増加をもたらした。

とりわけ、ビッグバンを経て金融ビジネスはあれよあれよという間に大発展し、気がついたら両国経済の主柱とまでなってしまった。惜しむらくは、調子に乗ってあまりの強欲に走りすぎた。サブプライム問題発生後は、大手金融機関が巨額損失計上に追い込まれ、さすがに両国の景気も大きく落ち込んでしまった。

それでも、新しいビジネスというか産業の勃興が成熟経済も力強く成長させる、というモデルを米英両国は示してくれた。日本の指導層は、これを大いに参考にすべきである。

いま必要なのは民間に活力を与え、人もお金もどんどん積極的に動きまわれるよう環境を整えてやることだ。うまい具合に、日本には預貯金に眠る膨大な個人マネーがある。これを、日本経済の拡大再生産につながるように仕向けてやればいい。

国の政策は、あくまでも民間活力の呼び水となるような方向に集中すべきである。もう国や自治体がなにもかも面倒をみるなんてできやしないし、規制と補助金を組み合わせたアメとムチ行政のような発想では、民間はお上への従属というか依存心を高めるばかり。

たとえば、国が公共投資などでお金をどんどんバラ撒けば、それだけ景気刺激効果を発生させ一時的には経済規模を拡大できる。しかし、財政赤字が拡大し将来の税負担増懸念から、どこの家計も生活防衛意識を高め貯蓄を厚くしようとするので、波及効果はそれほどあがらない。現実に、1992年から総合経済対策とかを連発し合計で140兆円以上も政府資金を投入したが、日本経済は思うように浮上しなかった。

預貯金に逃げてはダメ

国の政策を待つばかりでは、あまりに能がない。要は、経済の現場にお金がじゃんじゃん流れ込めばいいだけのことだから、個人や家計が預貯金に眠らせているお金を引き出してどんどんつかえばよい。

そうはいっても、買いたいものがないのに無理してお金をつかうのはムダであり、将来の備えを食いつぶすようなもの。たしかにムダに思えるかもしれないが、みながお金をつかわなかったら日本の将来はひどくなるばかりである。

では、なにか生きたお金のつかい方ができないものだろうか? そこに、投資の出番がある。とりわけ、長期の株式投資が大きな意味をもってくる。

テレビや車を買うのも株を買うのも、お金をつかうのは同じこと。つまり経済の現場に放り込むという点では経済効果に変りはない。たとえば、昨年末時点で預貯金に眠る個人マネー791兆円のたった5%が株式投資に向うだけで、資産効果を生み、大きな経済効果につながる。

大事なのは、いまも将来も我々の生活に欠かせないと思える企業を熱烈に応援しよう、というスタンスで長期の株式投資に臨むこと。それも、一番応援しがいのある局面つまり不況時や暴落相場で買うのが一番。

みなが売り逃げに走る時は、企業にとっても業績悪化など悪材料が重なり、やたら辛い時である。そういった最悪の投資環境下で応援の買いが入ってくるのは、経営を支持してくれる熱いメッセージでもあり、選ばれた企業は心強い。自信もって思い切り不況克服に邁進できる。

長期投資家にとっても、躊躇する理由はない。将来にわたって生活に欠かせない企業というのは、今後もずっと日々の生活で売り上げに貢献していくわけだから、そういった企業の株を長期保有していても不安はない。まして、暴落株価を買うことは、「安く買って高く売る」投資の基本そのものである。

のんびり長期保有している間も、株式購入で投下したお金はずっと経済の現場で働き続けている。つまり、日本経済の拡大と成長に貢献しているわけだし、経済全体のパイが大きくなった結果のリターンはいずれ株価上昇という形で表面化してくる可能性が高い。

とにかく避けたいのは、お金を抱え込むこと。預貯金に逃げ込んでしまっては、ジリ貧あるのみ。

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