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第86回 どこが突破口に

2009年1月26日

今回も、個人的な見解をふんだんに織り込みます。いま現在の厳しい経済環境に、身をすくめたくなるのは人情ですが、だからといって5年10年先への対応を疎かにしていると、後で大慌てするのではないかと危惧します。ひとつの考えとしてお読みください。

生産縮小、在庫圧縮、人員削減の嵐の先は?

昨年の夏ぐらいから新聞紙面のあちらこちらで、「個人消費に急ブレーキ、企業は在庫圧縮や人員カットに躍起」といった記事が、やたら目立つようになった。日銀はじめいろいろな研究機関が発表する経済統計のどれもが、日を追うごとに悪化している。

日本だけの問題ではない。世界中ほとんどの国で、景気の落ち込みや失業の増加が加速している。潜在成長率の高い中国など新興国でも、輸出の不振が国内経済の足を引っ張りだした。世界経済全体が縮小サイクルに陥っているわけだ。

その横で銀行はじめ金融機関は、サブプライム問題に端を発する金融バブル崩壊による損失計上が、経営に重くのしかかっている。世界中いたるところで信用供与機能はマヒ同然の状態にある。

ウォール街やロンドンシティーでは金融マンのリストラ旋風が吹き荒れており、それが住宅不況と重なって高額商品中心にぜいたく消費を瞬間蒸発させてしまった。高級品が売れなくなると、売り急ぎから低価格化競争が激化するのは世の常。企業は利益率の低下から、人員削減などコストカットに走る。それが本格的な需要減退を招く悪循環となる。

世界的な需要減退が企業の投資や生産活動を圧縮させ、あちこちの現場で建設ストップやラインの稼働休止が相次ぐ。当然のことながら、余剰人員はカットということで失業率は高まる。いま日本で問題となっている非正規社員の解雇急増も、同じ流れである。

後述するが、そろそろモノでも人でも削減しすぎの反動を念頭に置いておいた方がいい。

史上最大の資金バラ撒きで?

このまま手を拱いていると事態は加速度的に悪化していく。なにがなんでも、この流れは止めなければならない。就任したばかりの米国オバマ大統領も、約73兆円の大型景気対策の75%は1年半で執行すると強調しているのも、急いで需要と雇用創出しなければならないからだ。

米国のみならず欧州各国も、中国・韓国・シンガポールそして日本でも、金融ビジネスのテコ入れや景気刺激で大型の対策費を計上している。いってみれば、もうなりふり構わずの資金バラ撒きである。効果が出なければ、今後いくらでも追加予算を組んでいくことになるのだろう。

各国政府による超大型の景気浮上策は、世界の金融不安が収まり景気も相当に好転するまでは矛先を収められない。中途半端な対策に終止すれば、景気失速や雇用不安問題が再燃し、一層の対策予算計上に追い込まれることは間違いないのだから。

ということは、各国の財政赤字は急拡大する? 覚悟しなければならないだろう。だからといって、これだけ経済活動全般が落ち込んでいるのだから、税収の増加は期待できない。国の借金つまり国債を大量に発行せざるを得ない。

国債を大量に発行するといっても、機関投資家など民間サイドの購入余力は限られている。やはり、各国の中央銀行が大部分を引き受けることになるのだろう。商品でも証券でも大量に供給されれば、値段が下がるのは避けられない。大量の新発国債を抱え込むことになる各国中央銀行は、保有国債の評価損拡大で財務内容は急激に劣化していく。

それでなくとも、各国中央銀行は量的金融緩和で銀行の保有債権やCP(コマーシャル・ペーパー)などをどんどん買い取っており、財務は相当に肥大化している。通貨の番人である中央銀行の財務が異常に膨張し、評価損が拡大していく方向にあるとすれば、その国の通貨価値は下落を免れない。

通貨価値の下落は通常なら国内でインフレ傾向を招き、対外的には為替レートの切り下げ調整が待っている。ところが、今回は世界中の主要国どこもが、財政赤字の急拡大と大量の国債発行、それを引き受ける中央銀行の信用力低下とで軌を一にしている。状況は各国どこも一緒だから、市場が為替レートの調整圧力をかけようにも、かけようがない。

となると、インフレだけは進行する?そういう方向なんだろう。

モノ不足からミニバブル?

世界経済の現状をみるに、多くの企業が過剰なまでに生産調整・在庫圧縮・人員削減を急いでいる。つるべ落としの需要減退を眼前にして、手持ち資金の流出による体力低下を阻止せざるを得ないと、経営判断するのは当然のこと。しかし、各社それぞれが過剰なまでのリストラに走るのは、生き残るため仕方ないとしても、経済全体でみると各社が自分最適を追求しているにすぎない。

たしかに、いまは金融不安や景気減速で世界全体で縮小心理が働いているかもしれないが、地球上67億人の毎日の生活が消えてなくなったわけではない。人々が毎日飲んだり食べたり着たりする需要は一時たりとも休まることはない。世界全体ではすごい量のモノが毎日消費され続けているのだ。

いずれ、どこかでモノが不足という事態が突如として表面化してこよう。これだけ各企業が一斉に生産力をカットし在庫削減に走った後だ、マスコミ中心にモノ不足を大騒ぎすることになろう。モノが足らないとなれば買い急ぎに走るのが消費者心理。そうなると、実需にプラスして仮需が乗っかってくるから、モノ不足感は一気に高まる。

だからといって、供給力は一挙に高まらない。生産現場で一度ラインを止めると、機械や配管の調整点検を一からはじめなければならないし、原材料の手当てにも走らなくてはならない。また、人員を大幅削減したところは人手不足にも直面する。需要は瞬時に高まるが、供給体制を元に戻すには一定の時間がかかる。需要と供給の時間差ギャップが、一層モノ不足感を煽ることになる。

ここで資金のバラ撒きが効いてくる。モノ不足が騒がれる事態が現実化すると、価格は急騰する。価格急騰をみると、大量にバラ撒かれたお金がここぞとばかり飛びついてくる。いわゆるミニバブル発生である。もちろん、モノを供給する立場にある企業の株価も大きく跳ね上がる。

堤防のどこか一ヵ所でも穴が空くと一挙にまわりも崩れ出す。ミニバブルもやはり横へ急速に広がっていく。アレも足らないのなら、コレだって不足のはずといった連想買いが広がるわけだ。

これだけ株価全般が下がった状況下で、ミニバブル相場が到来すると結構大きなものになる。株価上昇そのものを待ってましたの買いも広範囲に入ってくる。そのような事態はいつ発生するか予測もつかないが、早めに株式を買い持ちしていた投資家には、ごきげんの展開となる。

経済混乱に隠れて新しい芽生え?

世界各国がなりふり構わずの資金供給に走っており、そのトレンドは景気が相当に回復するまで変ることはない。そして、拡大する一途の財政赤字を賄うべく大量に発行される国債を引き受けることになる各国中央銀行の財務は劣化の一途をたどる。

国内に資金が大量にバラ撒かれ、通貨の番人である中央銀行の信用力が低下するとなれば、お金の価値は下がらざるを得ない。お金の価値が下がるとなれば、モノやサービスの価格は相対的に上昇する。つまりインフレ傾向となっていくわけだ。

といっても、世界経済全体が活況を呈するようになるのは、ずっと先のことだろう。モノやサービス価格の上昇だけが先行すると、景気低迷状態での物価高つまりスタグフレーションということもあり得る。スタグフレーションに陥っても、各国は景気浮揚政策を続けるだろうから、市中にお金はジャブジャブに供給されつつも金利高といった現象も起こり得る。

1970年代後半から80年代前半の米国を思い起こさせる。第一次そして第二次石油ショックによる需要減退を打破すべく、米政府がディス・インフレ対策を連発している横でFRB(連邦準備理事会)は高金利政策でインフレ阻止に躍起だった。

長期金利は一時的に16%といった水準にまで跳ね上がった。そういった異常金利下で、マイクロソフト・アップル・オラクル・シスコシステムズなど後の世界企業が次々と産声を上げていった。他にもシリコンバレー企業が数えられないほど台頭していった。そして、82年からは17年半にもおよぶ超長期の株価上昇がはじまった。

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