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超最悪なシナリオ、米国債デフォルトは回避された

2011年8月2日

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
大島和隆

米下院本会議、債務合意案を大差で可決

報道によれば、市場の最大の懸案事項であった「米国債がデフォルト(債務不履行)する」という超最悪なシナリオは回避されたようだ。毎週のメルマガでも再三お伝えしてきた通り、欧州⇒米国⇒(日本)の順番で市場は「ソブリン・リスク」に振り回され続けているが、その中で一番気掛かりであった米国債については、土壇場で事態は解決の方向へ向かったと言える。ご承知の通り、米国議会も日本のそれと同じように、オバマ大統領率いる与党民主党が下院で過半数を握れていない(議席数435:共和党240議席・民主党193議席・ 無党派2議席)という捻じれ国会の状態になっているが、米国の法定債務上限の引き上げ法案が1日、米下院本会議で賛成269対反対161の大差で可決され、上院に送付された。上院では与党民主党が過半数を握っている(議席数100: 民主党53議席(うち2 議席は「独立」の立場で投票)、共和党47議席)のでまず問題なく可決される予想であり、その後、オバマ大統領が署名することで同法案は可決する。これにより8月2日に米国債がデフォルトするという事態はギリギリで回避される見通しが立った。

何と言っても基軸通貨

ギリシャ問題に端を発した欧州の信用問題、他人ごとと笑えない状態の日本の財政状態などと違って、なぜ私がそこまで米国問題を気にしていたかと言えば、誰が何と言おうと米国通貨のドルが世界の基軸通貨だからだ。第2の基軸通貨を目指していた欧州連合の通貨ユーロや国内総生産(GDP)が世界第2位から第3位に凋落した日本の通貨円と違い、やはり基軸通貨という立場は特殊なものである。その通貨が最も安全と思って投資される先が米国国債である以上、米国国債が仮にテクニカルな問題だとは言え債務不履行に陥るなどと言う事態は、その先に何が起こるかまったく分からない未体験ゾーンを控えている話だと言える。もしかすると、仮にデフォルトになっても、格下げになっても、巷で言われるように何も起こらないのかも知れない。というより、何も起こしようがないのかも知れない。しかし、金融市場で一番大切な“常識的に考えて”という原点に立てば、基軸通貨の国の国債がデフォルトした場合の波及効果は想像を絶する。しかし、少なくとも今回その超最悪な事態は回避された。

必ず難癖はつくはず

市場には必ず斜に構えた人達が居る。素直に「良かった」と喜ばないで、「これは玉虫色で何となく延命したに過ぎない」とか「妥協案に過ぎない」とか、あるいは「本当に歳出削減できるかどうかみてみないとわからない」といった否定的な見方をする人は少なからずいるだろう。だからこそ、昨日もいったん「(与野党議会指導者間で)法案合意」の報に急速にドルが買い戻された状況も長続きはしなかった。おまけに今朝方は米国マクロに黄信号を感じさせる米サプライ管理協会(ISM)の7月の製造業景況指数が発表されたから余計に足を引っ張った。ただこれは少なくとも、日米欧の3局という視点で見た時、一番恐ろしい爆弾が爆発しなかったということである。決してこの3つはイーブンなものではない。この爆弾が爆発した時、世界の投資家(国家も含む)のリスク許容度は一気に極端に落ち込んでいただろう。それが回避されただけでも良しとしないとならない。

次の時限爆弾は日本

ギリシャから始まって欧州全体の信用問題にまで発展し、予想通り、米国でも土壇場ではそれまで安穏と構えていた世界市場をいったんは混乱に陥れたソブリン・リスク問題、残念ながら次の時限爆弾は日本だ。もちろん、欧州のそれも単にカウントダウンのタイマーが少し巻き戻されただけでまだ止まったとは言えないが、次は日本のそれが意識されるというのは覚悟しておいた方が良い。日本が純債権国だからとたかをくくっているというか、変に消去法的に円が買われて円高になっているからか、どうも危機感が伝わってこない気もするが、日本の公的債務の対GDP比率が世界で群を抜いていることは論をまたず、また歳出と歳入の割合がとてもアンバランスで、年々赤字が放っておいても膨らんでいく状態が続いているということはご承知の通りである。そして現時点において、政府は歳出を膨らます話には熱心であるが、歳入を増やす話については消極的だ。なぜなら、それはどちらも直接選挙に影響するからだ。

特例公債法案が可決するかどうかがひとつの試金石

富裕層に対する増税は得票数を多くは減らさない。そして社会保障の充実は得票数を増やすだろう。今は原発を全廃するという反原発志向の方が得票には有利であろう。法人税の引き上げも直接的には票数には影響し難い。こうした諸々のパズルを解くようにして8月末の今国会会期末までに特例公債法案が可決するかどうかが、日本の時限爆弾が爆発するかしないかのひとつの試金石になる。与野党双方が妥協と打算を繰り返して恐らく特例公債法案は可決すると見る。もし可決しないとなれば、日本の歳入の40%が手当て不能となることから、この事態は避けられるはずだ。ただ一度はこの問題に米国がそうであったように火がつくかもしれない。その場合、現時点では消去法的な選択先として選ばれている日本円が、実は大変なソブリン・リスクを抱えていることを世界に気が付かせてしまう。そのリスクは考えておいた方が良い。

円高は一時的なもの

そうは言うものの、為替市場関係者には円高論を取る人が多い。実際、昨晩も76円29銭と戦後最高値界隈まで円高が進んだので、基本円安論者の私は歩が悪い。これらには諸々の需給関係が関わっていると思われるが、少なくとも前述のような要素が働いた場合の動きとしては、消去法的に買われている円が売られる可能性の方が高いと考えられる。なぜなら、今回米国債務上限法案可決の方向性が決まったことで、ドルを持っていることの安心感が元に戻ったからだ。少なくとも時間を掛けてクレジット・リスクと言う視点でのドルの信認はもう少し回復するであろう。米国マクロの状況がはかばかしくないことを理由に一気にドル高に戻るとは考え辛いが、ファンダメンタルズの比較感としてドルが過剰に売られていることの修正はあると考えている。

ビッグマック理論

「世界中どこでも売られているマクドナルドのビッグマックは、一物一価の法則によれば、世界中どこでも等価のはずである」という考え方で為替水準を語るのがビッグマック理論である。もっともらしく言えば購買力平価となるのだが、先週訪れた米国でビッグマックのバリューセット(現地ではMEALと呼ぶ)は$5.89だった。これと同じものを今、日本で買おうとすると、スマートフォンで取得できるマックのクーポン券を使っても590円である。つまりこれで換算すると「$5.89=590円」であるから、1ドルは100円である。実際に現地で食事をしたり、タクシーに乗ったりしてみて実感するのは、1ドル=80円以下という水準のとても得した気分であった。つまり円がかなり強いと感じるということだ。為替市場の専門家や学者的な思考方法ではないことは事実ではあるが、今まで長いこと日米を往復していてこれほど円が強いと思ったことはない。もし世界経済がボロボロで、日本経済だけがピカピカの状態であるならば、この水準も正当化できる。ただ、日本の現状はそうではない。

円安、それに伴う銘柄の上昇に備えるべきだと考える

日本の信用力は現時点では今以上に高まることは考え難い。震災復興費用の捻出、電力不足による生産の停滞、法人税上昇などによる企業の国外脱出など、こんなに前向きなシナリオが描き難い局面をあまり私は知らない。特例公債法案が可決されるにせよ、されないにせよ、市場が日本のソブリン・リスクに気が付く時はそう遠からず来るであろう。その時に備えた投資アイデアの準備は怠るべきではない。米国も法定債務上限が引き上げられたからと言って、一朝一夕にマクロまでが回復するとは考え難い。ただ円高に備えるよりは、円安に備えた準備をする方が得策な局面になったと私は考える。

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