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第336回 黒田プットと10月末買い・4月末売り相場の行方

2014年2月27日

フィッシャーFRB副議長への警戒からイエレンバブルの巻き戻しが続いている

2013年10月9日、 オバマ米大統領はバーナンキFRB議長の後任にイエレンFRB副議長を指名した。<最適管理モデル>に基づく「長期間にわたる低金利の継続」を主張するイエレンを市場は素直に歓迎し、イエレンバブル相場が始まったのである。下のチャートを見ると、イエレンが指名された10月9日を底値にNYダウは年末まで上げ続けている。

NYダウ(週足)と米国の金融政策

イエレンとフィッシャーのツートップ体制で金融政策は中立色が強まる?


(出所:石原順)

イエレンバブルの雲行きがあやしくなってきたのは、オバマ米大統領が国際金融界の重鎮であるスタンレー・フィッシャー前イスラエル中銀総裁をFRB副議長に指名するとの観測が流れた昨年の12月11日からである。

2013年6月までイスラエル中銀という他国の中銀総裁を務めていた人物が、まさかFRB副議長に指名されるとはファンド勢も考えていなかったようだ。スタンレー・フィッシャーをオバマ大統領に推薦したのは、FRB議長候補を辞退したサマーズである。

スタンレー・フィッシャーという人がどういう人物かは、これまでのレポートに書いてきたのでここでは繰り返さないが、どっちがFRB議長かわからないような人事をみて、運用者はイエレンバブル的な楽観的相場観の修正を余儀なくされた。

この人事をみて「イエレンが気の毒だ・・」との感触を持った運用者が多かった。しかし、「イエレン自身がホワイトハウスに頼み込み、後ろ盾としてフィッシャーを副議長に推挙した」という報道も複数出てきたことで、「それが本当なら、イエレンは頼りない」という見方に変わってきている。

現在、金融市場が最も注目しているのは「米国の金融政策の変更(フォワードガイダンスの変更)」である。フォワードガイダンスはイエレンの金融政策の根幹であり、頼みの綱である。

「フォワードガイダンスは市場を混乱に陥れる可能性がある。フォワードガイダンスでFRBが今後の方針の詳細を表明することを期待することはできない。なぜなら、FRB自身もわからないからだ」「我々でも今後1年間で何を行うか、わからない。このため、過剰に今後の方針を明確化することは間違いである」 「2005年にイスラエル中銀の総裁就任直後、市場にシグナルを与えることを試した。しかし、状況が変化した場合に中央銀行のとれる行動を妨げることを認識したため、あきらめた」「過剰なフォワードガイダンスをあたえた場合、中央銀行は柔軟性を失う。将来の行動を表示することの問題の一部は常に、条件が含まれることだ」

と述べるスタンレー・フィッシャーはフォワードガイダンスに懐疑的であり、いずれイエレンと政策的にぶつかるのではないかという緊張感が拭えない。

イエレンの息がかかっていると言われるサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、2月19日の講演で「将来の政策決定について、特定の具体的水準を設定するよりも、経済情勢に応じてどう対応する可能性があるかを説明するのが最善だ」と、スタンレー・フィッシャーのような発言をして投機筋を驚かせた。

また、権力者の顔色をみながら意見を変えると言われているセントルイス連銀のブラード総裁は、2月21日の講演で「米経済は順調に回復し、FRBは2014年の終盤か2015年の初めごろに利上げ開始が可能になる」と、市場予測よりもかなりタカ派的な見通しを語っている。

世界の市場の動きを決めているのは、米国の金融政策である。米国の金融政策の見通しが立たない中で、中長期の資金は様子見を決め込んでいる。これが、現在の市場を覆う不透明感の最大要因であろう。

スタンレー・フィッシャーの公聴会は3月4日

寒波の影響で延期されていたイエレンの公聴会が、27日(日本時間28日午前0時)に行われる。ファンドのなかにはイエレンのバブル容認的発言を期待しているところもあるが、前回のイエレンの公聴会はバーナンキの文言のコピーであり、非常に退屈なものであった。

市場が注目しているのは、スタンレー・フィッシャーFRB副議長候補の公聴会である。上院銀行委員会によると、スタンレー・フィッシャーの公聴会は米国東部時間3月4日午前10時(日本時間5日午前0時)より開催される予定となっている。

この公聴会でスタンレー・フィッシャーがどのような見解を述べるか、それによって相場の手掛かりをつかみたいというファンドは多い。

株の買い方からは、フィッシャーの一番弟子のサマーズが「先進国の長期停滞説」から「バブル必要論」を展開していることから、フィッシャーも緩和必要悪的なスタンスを維持するのではないかという期待が聞こえてきている。だが、現時点ではあまり予断を持たない方がよいだろう。内容を聞いてから動くのがよい。

スタンレー・フィッシャーは個人資産50億円を有する富豪であり、米国の優良株も大量に保有している。フィッシャーが正式にFRB副議長になれば保有株は売却されるが、ファンドの中には「じゃあ、それまで米国株は大きく下がらないな・・」という穿った見方をするところもある。

なぜ、日本株高と円安は止まっているのか?

イエレンバブルという市場のシナリオが揺らいできたことで、市場に警戒感が発生しているが、運用者はまず外(自国以外の)ポジションから手仕舞うので、真っ先に資金引き揚げの対象となるのは新興国である。

ファンドの新興国からの資金引き揚げが続いており、この副作用として調達通貨である米ドルと円のキャリー取引の巻き戻しが起きている。したがって、現在の円高はドルキャリー取引の巻き戻しと連動して起きている円キャリーの巻き戻しによるものだ。

ドル/円(日足)

上段:フィボナッチのリトレースメントとファンライン
下段:ストキャスティクス5.3.3

ドル/円は2月4日の安値 100円75銭から3週間目のリバウンド相場に入っている。この円安循環が継続するかどうかは、103円12銭を上回ることが望ましい・・


(出所:石原順)

同じように日本の株式市場は外国人投資家の売買比率が異常に高い市場であり、新興国からの資金流出と連動して日本からの資金引き揚げも起きている。

日経平均(日足)

上段:25日移動平均乖離(エンベロープ)
下段:ストキャスティクス5.3.3


(出所:石原順)

しかし、日本株売りの底流にはもっと大きな理由があると噂されている。それは、ファンドが苦境に陥っていることである。先週のレポートでコンピューターを駆使したアルゴリズム取引の苦戦を伝えたが、株式を運用するファンドの多くはここ数年、株価インデックスを上回るパフォーマンスを上げていない。

「日経平均は上がっているのにファンドの持ち株は上がらない。日経平均が下がるとファンドの持ち株はそれ以上に下がる」という愚痴が聞かれるように、アクティブ運用といわれるファンドの昨今の成績も芳しくないのである。

インデックスに勝てない株式ファンドからは資金流出が続いているが、ファンドの成績を修復するのは「買い」では無理があり、また時間がかかる。起死回生を狙ったファンド勢は、値幅が出て勝負が速い「売り」(急落)を狙った勝負に出てきたようだ。

ただし、ウクライナ危機でロシア株を売ろうにも流動性がないので、大量の売買をすると自分の売り・買いで相場が動いてしまう。また、ロシアなどの新興国市場は危機が起きると市場が閉鎖されるリスクもある。売りで儲けるにはある程度流動性がある市場が必要となるが、流動性の観点から売りのターゲットとなっているのが、ブラジル株と日本株らしい。

ブラジルボベスパ指数(左)とロシアRTS指数(右)の週足

新興国株式市場の低迷は続いている


(出所:石原順)

ポジションの解消に一巡感

苦境に陥っているファンド勢は、ここから嵩にかかって日本株を売り崩し、円高を仕掛けてくるのだろうか?その可能性がないわけではないが、そうした動きをとっていたファンドに聞くと「しばらく様子見」と答えている。

彼らは積み上がったリスクポジションの偏りを狙ったストップロスハンティングが得意であるが、日経平均の裁定買い残も減り、シカゴのIMMの円売りポジションも2013年12月24日のピーク143822枚から半減している。商いも薄くなり、仕掛け的商いは徐々に機能しなくなっている。

日本株はアベノミクス(国策)VS投機筋の売りの構図となっているが、日銀にはまだ打つ手が残されており、調子に乗って売っていると担がれる可能性ある。したがって、投機筋の売りも、実は腰が入っているわけではない。

例えば日銀の追加緩和がサプライズ的に3月~4月に出てきたら、売り方は惨敗となる可能性がある。2月18日に日銀は貸出増加支援と成長基盤強化支援のための貸出支援制度について、それぞれ規模を2倍とした上で、1年間延長することを決定した。これは外銀やファンドに向けての0.1%での運用資金の提供であり、「日銀は予想外に早く追加緩和に動くのではないか?」との観測も浮上している。

黒田プットと10月末買い4月末売りの行方

日銀は先進国の株の中で日本株だけ下がっているのが気になっているようだ。市場に催促されて追加緩和を行っても、それは白川日銀時代の二の舞となってしまう。黒田日銀が早期のサプライズ緩和を行うかどうかが、4月までの注目点となろう。

また、寒波の影響で、米国経済の本当の姿が見えてくるのは4月以降となりそうだ。スタンレー・フィッシャーも最初は様子見姿勢をとるはずで、早期にフォワードガイダンスを巡る対立が表面化することは考えにくい。

投機筋は百も承知だが、過去のデータをみると、米国の中間選挙年の円高・株安のピークは9月である。売りが成功しやすいのは5月以降であり、筆者は3月相場で投機筋の売り仕掛けが本格化するとはみていない。

米国の大統領選サイクルと円相場の年間変動パターン

米国の中間選挙年の円高・株安のピークは9月という傾向がある


(出所:石原順)

「10月末買い・4月末売り」の<半年間売買>は4カ月が経過した。今のところ豪ドル/円だけがマイナスとなっているが、概ね順調に推移している。

「中央銀行に打つ手が残されている現状では、10月末買い・4月末売りという半年循環のサイクルに便乗していた方が得策ではないか?」というのが、筆者の周辺のファンドの見立てだ。

NYダウ(左)と日経平均(右)の月足

10月末買い・4月末売り(赤は失敗の年)


(出所:石原順)

ユーロ/円(左)とポンド/円(右)の月足

10月末買い・4月末売り(赤は失敗の年)


(出所:石原順)

豪ドル/円(左)とNZドル/円(右)の月足

10月末買い・4月末売り(赤は失敗の年)


(出所:石原順)

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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