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第317回 FRB議長の交代と通貨選択のポイント

2013年10月17日

「10月末買い4月末売り」という季節性変動発生の理由

先週のレポートで、「10月末買い・4月末売りほど、長期にわたり有効性を発揮している戦略を筆者は他に知らない」と書いたところ、「なぜそのような循環が起こりやすいのか?その理由が知りたい」という質問をいただいた。

反復して起こる株やクロス円の季節性変動の理由については、「日照時間が短くなる秋から冬にかけて精神状態が鬱(うつ)になりやすいことから、株式市場のリターンに季節性が生じる」という医学的な仮説が最も有力視されている。

筆者が毎月参加している勉強会でもこの議論が出たが、「夜が長いと不安心理が増して、ボラティリティが上がるのではないか?」という意見が多かった。要は、「日照時間が短くなり始める秋は不安心理が増す」という単純な理由だが、米アトランタ連銀からもそうした研究結果が発表されておりオーソライズされているようだ。

「11月から4月は株が上がりやすい」という循環は北半球の循環であり、季節が6ヶ月ずれる南半球では循環が逆になる。しかし、世界的な株の変動に対する南半球の市場効果は薄く、投機マネーの大方は北半球から発生しているため、南半球の影響は軽微である。

筆者は株やクロス円の季節性変動の説明をしようとするのではなくて、その実例を挙げることに努めてきた。データの検証については、日経新聞の前田昌孝編集委員の研究が大いに役立った。同一の、または同種のデータが反復して起こることは、認めなければいけない端的な経験的事実であり、それは「偶然の一致」ということでは説明できない。

「10月末買い4月末売り」が今年も成功するかどうかはわからないが、2014年4月の消費税増税までは基本的に日本株高・円安傾向が続くのではないかと思っている。財政出動(公共事業のバラマキ)の効果もあって、4月までは何とか景気が持つだろうという楽観的な見方をとっている。

日経平均(日足) 2013年も4月以降の株価は伸び悩み


(出所:石原順)

NYダウ(日足) 2013年も4月以降の株価は伸び悩み


(出所:石原順)

ようやく債務上限の引き上げ問題が解決

10月3日のレポートに、「債務上限の引き上げ問題は期間限定の売り材料」であると書いたが、ようやくこの茶番劇が解決した。まあ、解決したと言っても来年の2月7日まで先送りしただけである。マーケット関係者からは、「また、3ヶ月後に同じ事をやるのか?いいかげんにしてくれ」「うんざりだ」という声しか聞こえてこない。

オバマはシリア攻撃に対する優柔不断さで、中東やアジアへの影響力を大幅に低下させた。次はFRB議長の指名で民主党議員を説得できずサマーズに逃げられた。サマーズ辞退を受けた9月のFOMCはQE縮小を見送り、FRBへの信任は著しく低下した。そして、今回の議会対策の失敗(茶番劇)である。FRB議長については「サマーズがいい、コーンはどうか?」と言いながら、失礼な形でイエレンを指名している。

あるファンドの幹部は、「オバマは民主主義の悪い見本となっている。オバマは自分の意見は主張するが、まわりに反対が多いと自分の意見を引っ込めてしまう。強力な権限を持っているにもかかわらず、その優柔不断な態度が一連の自爆的結果につながっている」とオバマ大統領に辛辣だ。コスモポリタン(国籍・民族などにとらわれず世界的視野と行動力とをもつ人)であるロックフェラーとの関係が深いオバマは、「わざと失敗している」との穿った見方もあるが、市場関係者の多くは「オバマのレームダック化はドル相場にも大きな影響を与える。オバマの態度は曖昧で、なにがしたいのかわからない」とオバマ政権の求心力低下を危惧している。

イエレンFRB議長の政策とQE縮小開始時期が次のマーケットテーマ

債務上限の引き上げ問題などどうでもよいが、FRB議長の交代は世界の金融市場の方向を左右する大きなイベントである。10月9日、オバマ大統領はイエレン副議長を次期FRB議長に指名した。

次期大統領の有力候補と言われるヒラリー・クリントンが大統領になれば、大統領とFRB議長が共に女性という画期的な事態となるが、これには抵抗がある議員も多いと報道されている。しかし、イエレンは議会から承認されるだろう。QE縮小や出口戦略という難しい舵取りを迫られるFRB議長職は現在人気がなく、(辞退したサマーズを除いて)積極的にやりたいという人がいないからだ。

現在、市場が注目しているのは「イエレンの公聴会での発言」(日程は未定)で、労働問題の専門家であるイエレンはバーナンキ以上に積極緩和論者だと言われる。しかし、米国は出口に向けたアナウンスをしており、「QE縮小に対してどう考えているのか?」「QEや低金利の長期化で雇用は増大するのか?」を突っ込まれるだろう。イエレンの政策についてはまだ不透明な部分が多く、ファンド勢は公聴会でのイエレン発言に注目しているようだ。

歴代FRB議長とドルインデックス(月足) 

イエレンの政策はドル/円よりクロス円や株に親和的か・・
リーマンショック後、米政府は市場原理を無視して「大きすぎて潰せない」方針をとったことから、中央銀行の庇護の下でしか世界経済は回らなくなってしまった・・来年2014年も相場の主役は「中央銀行」か?


(出所:石原順)

また、今後はFRB理事の交代が続く。投票権を持つFOMCのメンバーのうち、ハト(金融緩和賛成)派のエバンス、ローゼングレンははずれ、日和見主義のブラードも投票権を失う。代わりに、強烈なタカ(金融緩和反対)派のプロッサーとフィッシャーが入ってくる。イエレンFOMCはこれまでのパワーバランスが崩れるので、イエレンが金融緩和の長期化を考えているのなら難しい舵取りとなろう。加えて、FRB副議長もまだ決まっていない。

今のところ多くの市場関係者は「イエレンはバーナンキと同じ」という見方をとっている。問題は債務上限問題と政府機関の一部閉鎖の影響が米景気に悪影響を与えており、データ収集の問題から今後の経済指標も信頼を失っていることだ。年内着手と言われていたQE縮小だが、12月にQE縮小に着手できるかは極めてあやしくなってきた。またイエレン交代と同時のQE縮小は市場の不安心理を煽りかねない。

オバマと同じでFOMCの政策も優柔不断化し、いつまで経ってもQE縮小に着手できない可能性がある。少なくとも10月にQE縮小がないのは確実だ。フィッシャーが懸念した「金融政策のホテルカリフォルニア化」の可能性が浮上している。

そのフィッシャーでさえ、「FRBは市場とのコミュニケーション能力を実証するためにも、9月のFOMCで緩和縮小着手を決定するべきだったと今も確信している」としながらも、「10月の緩和縮小の可能性について個人的には想定していない」「財政協議のこう着などを背景に緩和縮小の決定を行うにはやっかい過ぎる時期にある」と年内のQE縮小に及び腰だ。

当面ドルの上値は限定的だが株は上がる?

米経済指標は今後数カ月程度軟調になる可能性が高まっており、QE縮小は先送りされバブル環境が続くだろう。議会のゴタゴタで経済指標のデータが取れないなど、「12月のQE縮小開始も先送りされるのではないか?」という観測は日々拡がっている。カネ余り(ドルのジャブジャブ)は続き、当面は「米株高・ドル安圧力」が強まることになろう。9月FOMC後のレポートにも書いたが、「すくなくとも12月まではバブル環境が続く」のである。

米経済指標が今後数ヶ月軟調になっても、米国株が下がるとは限らない。今年の米国株相場は相変わらず金融相場で業績相場には移行していないからだ。そのため、カネ余りで周期的に買われる局面があっても上値は限定的となっている。また、下げ相場も周期的に発生しているが、カネ余りで止ってしまい下値も限定的となっている。

NYダウ(日足) 来年も世界最大のヘッジファンドであるFRBが相場を動かす?

上段;26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:18日移動平均線±3%乖離バンド(青)・21日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
(今年のNYダウは18日エンベロープ3%(18日移動平均線±3%乖離バンド)の中での動き。この18日移動平均線±3%乖離バンドと21日ボリンジャーバンド±2シグマの重なるところが「逆張り」や「強制利食い」のポイントとなっている。バンドウォークの起きないカネ余りノーマル相場である)


(出所:石原順)

ファンドはドル/円よりクロス円のリターンに期待

QE縮小が先送りされており、当面は「米株高・ドル安圧力」が想定される。米国の金融政策は不透明となってしまったが、日本は異次元緩和が当面続く。したがって、穏やかな円安の継続は見込まれるが、ドル/円の上値は限定的とならざるを得ない。

直近のドル/円相場は「レンジ相場」が続き、まさに膠着状態となっている。週足をみても「96円から100円のレンジ相場」にどっぷり浸かっている状態だ。「100円超は重そうだが、押し目は買われる」という展開がもう少し続きそうである。

1年前の10月18日に「久々に儲け話が聞こえてきた為替市場」というレポートを書いたが、ドル/円は昨年4月から9月まで「なぎ相場」で、相場がまったく動かなかった。しかし、10月に入って素晴らしいトレンドが発生し、今年の1月まで強烈なドル買いトレンド相場が続いた。今年もドル/円は7月から現在まで「なぎ相場」が続いているが、そろそろ動き出してほしいものだ。

ドル/円(日足) 100円60銭を上抜くまではレンジ相場か? 

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(週足) 方向感なし

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(月足) 20ヶ月移動平均線(紫)と一目均衡表


(出所:石原順)

月別のドル/円相場の動き

「第4四半期(10月~12月)の安値を拾い、第1四半期(1~3月)の高値を売る」のが王道パターン
<1971年9月から2013年7月までの503カ月間(約42年間)について、ドル/円の4本値(始値、高値、安値、終値)を調べ、月間の変動パターンを始値を100としてグラフ化>


(出所:石原順)

過去42年のドル/円4本値の月間の変動パターン(始値を100)


(出所:石原順)

QE縮小の先送りで「米株高・ドル安圧力」がかかるなら、狙いは株連動のクロス円である。筆者が注目しているのはニュージーランドで対ドル・対円のどちらも堅調な推移となっている。

ニュージーランド準備銀行のウィーラー総裁が「住宅ローン新規制がニュージーランド国内の住宅価格上昇を抑制できなければ利上げが必要になる」と発言しており、「オフィシャル金利が2014~2016年に2%上昇する可能性がある」と指摘している。ニュージーランド準備銀行は「2014年の第1四半期にオフィシャル金利を引き上げる」との見方が広がっており、ニュージーランドはファンダメンタルズ的に豪ドルより手掛けやすい。

ニュージーランド/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ニュージーランド/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ニュージーランド/円(月足) 10月末買い・4月末売り(赤は失敗の年)


(出所:石原順)

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