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第315回 相場の不確実性は高いが、投資方針は決まっている

2013年10月3日

中央銀行バブルの行方

9月29日のNHKスペシャルで『マネー氾濫~世界経済に異変~』という番組が放映されたが、リーマンショック後の世界のマネーの流れをうまく解説していた。この番組は今の世界経済の本質を突いていて、「世界経済の行方は、中央銀行がマネーの蛇口を開けるか閉めるかで決まる」というのが結論である。

リーマンショック後は「市場原理」もどこかにいってしまい、中央銀行は経済学の教科書にはない広大な領域に踏み込んでいる。現在の世界経済は「中央銀行バブル」であり、英フィナンシャルタイムズが指摘しているように「薬物依存」経済である。FRBがQEというステロイドを打ち続けていることでNYダウは9月に史上最高値を更新したが、中間層の没落がひどく、米国民の幸福度は低下しているのが実情だ。

NYダウ(日足) 史上最高値は1日だけ・・オバマとFRBの迷走でNYダウも調整中

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

薬物依存には副作用がつきものだ。それを回避するためにFRBはQE縮小プランをアナウンスしてきた。しかし、9月FOMCでQE縮小が先送りされたことにより、米国の「出口戦略」は頓挫している。QE 縮小の見送りで市場は動揺したが、今度は政府機関の閉鎖や連邦債務上限問題が新たなリスクとして浮上している。

オバマのレームダック化で「クリントン政権2期目のコピー」に暗雲

シリア問題、サマーズFRB議長辞退、議会対策の失敗と、オバマは迷走を続けている。「QEでは米国の雇用が増えない」ことを理解しているオバマは、サマーズの考えている「法人税減税」や「本国投資法」などの米国再生プランに惚れて、バーナンキに引導を渡そうとした。しかし、身内(民主党議員)の反対も説得できないオバマに嫌気が指したのか、サマーズは「不本意ながら」FRB議長候補を辞退してしまった。

余談だが、「サマーズ反対」の急先鋒であったエリザベス・ウォーレン女史は「反ウォール街」の急先鋒でもあり、現在、このような人物が大きな発言力を持っていることが「1:99」という中間層没落の実情を映していると言えよう。

いずれにせよ、サマーズ辞退以降、グローバル・マクロ・ファンドは「ポートフォリオ」の見直しを迫られている。サマーズ辞退でオバマは「クリントン政権2期目のコピー」に失敗する可能性が出てきたからだ。

クリントン政権とオバマ政権のドルインデックス先物(月足) オバマはクリントン政権2期目のコピーに失敗する可能性も・・

1期目はドル安政策・2期目はドル高政策?(1期目=黄色・2期目=緑色のゾーン)

  • ドルインデックス:ドルインデックス(US Doller Index)は、米ドルの総合的な価値を示す指標。下のチャートはニューヨーク商品取引所が算出しているドルインデックス


(出所:石原順)

昨年12月にダラス連銀のフィッシャー総裁は、「かつてない規模で展開している債券購入プログラムから米金融当局は抜け出せない可能性があり、刺激策の効果は時間とともに弱まりつつある」「この先バランスシートは膨れ上がるだろう。この状態から抜け出せない恐れがある」「金融政策は『ホテルカリフォルニア』化するリスクがあった。いつでもチェックアウトできるが決してホテルを去ることはできないという、イーグルスのヒット曲だ」と述べたが、この発言が現実味を帯びてきている。

FRBが9月にも始めようと準備を進めていたQE縮小は、今後も「縮小する・しない」の議論だけが続き、本当に始められなくなるリスクが浮上してきた。QE縮小先送りは「米国経済は弱い」と発信しているようなもので、オバマの「弱腰」姿勢と併せて米国経済への不安につながっている。

投機筋はとりあえず欧州通貨を選好

投機筋は5月以降、「QE縮小・米金利上昇・ドル高」に賭けて動いてきたが、金融政策の先行きが見通せなくなり、ポートフォリオの縮小に動いている。サマーズがFRB議長候補に浮上して3%を付けた米長期金利は2.6%まで低下している。こうなると、ドルも買いにくい。

米10年国債金利(月足) QE縮小後ズレ観測で米長期金利は低下中

投機筋はポジション整理に追い込まれている


(出所:石原順)

為替市場では「目先のQE縮小はなくなったという理由」からドル売り傾向が続いている。9月15日のサマーズFRB議長辞退を受けて、翌9月16日の相場は「マド空け」のドル安で始まったが、9月18日の「QE縮小先送り」でドルの買い方は惨敗となっている。変わり身の早い投機筋は方針を変えて、「QE縮小先送り=ドル安」との連想からポンドやユーロの買いを選好したようだ。

昨日のドラギECB総裁の話を聞いていても、「ドラギマジック」と言われるとおり何が言いたいのかわからなかったが、現実のECBのポートフォリオはどんどん縮小に向かっている。また、BOEもカーニー総裁が9月27日に「一段の量的緩和を行う根拠はない」と発言している。米国がQE縮小を見送る一方で、現実にはユーロ圏や英国のほうがQE縮小に向かっているという皮肉な結果となっている。

ユーロ/ドル(日足) ECBの総資産は縮小中・・

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足) 「一段の量的緩和を行う根拠はない」カーニーマジックか?

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ECBの総資産 (2013年9月20日現在 単位10億ユーロ)

LTRO(3年物オペ)の返済で総資産は縮小中


(出所:石原順)

FRBの総資産 (2013年9月25日現在 単位 100万ドル)

QE縮小後ズレで総資産の拡大が続く


(出所:石原順)

方向感が定まらないドル/円

動きようのないのがドル/円である。米国のQE先送りを受けた米日金利差の縮小懸念から円高推移となっているが、日銀の異次元緩和が今後も続くことから円も一方的に買いづらい状況にある。7月から続く3ヶ月間の長い凪相場に投機筋は嫌気が指しており、徐々に円相場に対する興味を失っているという。この結果、現在のドル/円相場は輸入の買い・輸出の売りという「実需」のフローが支配している。

ドル/円(日足) 長い凪相場で円売りポジションを持つ投機筋も疲れ気味

上段:ストキャスティクス5.3.3
中段:標準偏差ボラティリティ(赤)
下段:20日ATR(青)・オプションボラティリティ(赤)


(出所:石原順)

三角保合サポートラインの明確な下抜けで、ドル/円は97円の攻防となっているが、今のところ落ち方は緩慢である。政府機関閉鎖解除が決まればドル/円は大きく買われる可能性もあり、売り方も恐る恐る売っているようだ。この動きを見て通貨ファンドには「異次元緩和の下支えで、ドル/円は三角保合崩れでもフラット(平行)調整相場に移行するだけではないか?」という見方も多い。ただし、95円を相場が割り込んでくると投機筋の膨大な円売りポジションの損切りが発生する可能性があり、10月相場は注意が必要だろう。

ドル/円(日足) サポートラインと一目均衡表の<雲>を下抜け


(出所:石原順)

シカゴIMM 円のポジション(9月24日CFTC発表)

円売りポジション92818枚と高水準


(出所:石原順)

日銀の総資産 (2013年9月15日現在 単位 10億円)

異次元緩和は続く


(出所:石原順)

債務上限の引き上げ問題は「期間限定」の売り材料

目先の焦点は米国の政府機関閉鎖解除と債務上限の引き上げである。政府機関閉鎖に対する対応も、オバマはクリントン政権をコピーしている。「オバマ大統領は1995~1996年の前回の政府機関閉鎖の際に当時のクリントン大統領(民主党)が利用した戦略をとろうとしている。つまり、すべての責任を共和党に押し付ける、ということだ」とロイターが報道しているが、このコピー戦略が成功するかは危うい。

オバマは共和党の責任にしようとしているが、このゴタゴタが長期化すれば国民の怒りがレームダック化しているオバマに向かう可能性があり、今後の政権運営に影響が出そうだ。いずれにせよ、「なにもしないで静観する」というオバマの戦略から、政府機関閉鎖解除と債務上限引き上げ問題が合体してしまっている。10月17日までは債務上限引き上げを巡る不透明感が市場を支配しそうだ。

債務上限引き上げ問題がこじれれば、テクニカル的にせよ米国はデフォルトすることになる。そんなことになれば株式相場は大きく下落する。常識的には米国のデフォルトはあり得ない事態である。

したがって、予断を許さないものの、債務上限の引き上げ問題は「期間限定」の売り材料といえるだろう。問題が解決すれば、投資家のリスク選好度合いは徐々に回復に向かうだろう。最終的には債務上限が1年間引き上げられると思われるが、議会のゴタゴタで新FRB議長人事も後ズレし、10月FOMCも「焦点ボケ」している。

このように現在の相場は不確実性が高い状況なので、分散して買うか、じっくり押し目を待つのがよいだろう。筆者は今年も「10月は押し目買いの月」だと考えている。「10月末買い・4月末売り」の基本方針に何ら変更はない。

月別のドル/円相場の動き

「第4四半期(10月~12月)の安値を拾い、第1四半期(1~3月)の高値を売る」が基本
<1971年9月から2013年7月までの503カ月間(約42年間)について、ドル/円の4本値(始値、高値、安値、終値)を調べ、月間の変動パターンを始値を100としてグラフ化>


(出所:石原順)

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