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第298回 ドル/円100円突破後のパターン分析

2013年6月6日

6月4日火曜日、市場参加者はNYダウやSP500の動きを注意深くウォッチしていた。この日のNYダウは76ドル安、SP500は9ポイント安となり、NY連銀とJPモルガンやゴールドマンなどの金融機関との間で演出されてきたPOMOによる火曜日の株高が途切れたことで、米国では「米国株の潮目が変わった可能性がある」との報道も出ている。

NYダウ(日足) 黄金の火曜日神話が崩れる

矢印が火曜日の相場


(出所:石原順)

6月3日の米国株市場は、ISM製造業の「数字が悪い」ことを材料に大幅高したが、米国株の上昇相場もFRB頼みであることが明確になっている。不況の数字が株高になるとは常識的にいっておかしいことだが、QE3縮小観測の後退を材料に株が買われており、金融相場から業績相場への移行が困難であることを示唆している。

SP500(赤)と火曜日抜きのSP500(青) 6月5日現在

SP500からPOMOの「火曜日」を除くと今年は横這い相場


(出所:石原順)

「水曜日」抜きの日経平均 6月6日現在 日本株もPOMOの影響を受けている

日経平均からPOMOの余波である「水曜日」を除くと1万1,000円程度


(出所:石原順)

リーマンショック後の株高を支えてきたのはFRBである。5月22日のバーナンキ議長議会証言後にQE3縮小観測が強化されてからは、金融市場はQE3縮小観測を消化できずに不安定な動きとなっている。QE3縮小観測によって、株式市場では「日本株」、為替市場では「豪ドル」が2012年からの上げ相場の38.2%押し水準まで急落している。長期的な買い場探しの水準まで下がってきているが、この後の動きはNYダウ次第といえよう。

日経平均(月足) 毎年5月から10月の相場はむずかしいが、値幅的にはいいところまで調整が進んでいる?


(出所:石原順)

豪ドル/円(月足) 2012年からの上げ幅の38.2%押し水準まで下げてきた


(出所:石原順)

日本株の上昇を牽引してきた海外勢は、現在の空中戦相場をどう見ているのだろうか? NYの株式運用者に質問してみたところ、

  • 日本株の下落についていろいろ説明されているが、バーナンキの議会証言とファンドやCTAの5月決算が重なった不運ということに尽きる
  • ストラテジーが効かない一本調子の動きが続いており、説明変数が機能していないクオンツの運用成績がよくない。QE縮小へのFRBのスタンスが不明確で、7月~9月のFOMCの決定をみないことには長期のストラテジーを組みにくい。システムトレードは24時間動いているが、相場観で運用する人間のほうはやることがないので、6月から10月まで運用者に順次夏休みをとらせる予定だ
  • 日本株も為替もNYダウ次第。今週末の米雇用統計も雇用の数字うんぬんより、NYダウが上がるか下がるかの問題だ
  • NYダウの調整がまだ浅いのが気になる。仮にNYダウがもう一段の調整相場となれば、日本株は政府系機関のPKOや公的年金の運用見直し強化観測でしのぐしかない。参議院選挙を控えており、日銀が動く可能性もあるだろう

と、様子見気分が強くなっている。

本来、QE縮小はドル高要因である。米国は金利正常化への過程で、米国債や米国株市場に海外マネーを取り込んで出口を目指すというのがストラテジーだ。しかし、現在の円相場が難しいのは、「QE縮小は円売りドル買い」という構図が、QE縮小の株安反応によって「円買いドル売り」になってしまっているからだ。為替も株次第なのである。

さて、ドル/円相場の動向だが、通貨ファンドの運用者は1995年の100円突破後のチャートを引っ張り出し始めた。1995年の100円突破後のドル/円相場は104円65銭まで駆け上がった後、97円25銭まで急落してその後しばらく乱高下となった(チャートの黄色い部分)。

100円突破後のドル/円相場(日足) 1995年のパターン

ふるい落としが終われば円安相場に復帰


(出所:石原順)

2013年の相場は100円突破後に103円73銭まで駆け上がり、現在98円86銭まで押しを入れている。これは直近の上げ幅の61.8%戻し水準である。

100円突破後のドル/円相場(日足) 2013年はどうなる?


(出所:石原順)

いいところまで調整を入れてきているが、シカゴのIMMのポジションも日本勢のポジションも円売りポジションが捕まったままになっている。

シカゴ IMMの円のポジション(CFTC 5月28日時点)

円売りポジションが積み上がっており、ファンドの持ち高調整が焦点に


(出所:石原順)

98円80銭を割り込んで投機筋のポジションが損切りに追い込まれれば、昨年秋からの上げ幅の23.6%押し水準の97円50銭近辺まで下げる可能性がある。そこを割り込むと、もう一段下げて96円台あたりまで下落するリスクを抱えているが、投機筋の投げが一巡すれば再び円は売られるだろう。

ドル/円(日足)のアナログチャート(2013年6月6日現在)

2013年相場は1995年相場との類似性がみられる。2012年9月からの上昇相場と95年4月からの上昇相場の比較(95年は4/18、2012年は9/13が起点・横軸は起点日からの経過日数)


(出所:石原順)

明日はいよいよ米雇用統計の発表だ。根強いQE3縮小観測の中で、明日の米雇用統計で各マーケットがどんな反応をみせるのか? これを確認してから動くのがよいだろう。昨日のADPの悪化を受け、ブルームバーグの直前予想では失業率が7.5%、NFPが+16万5,000人となっている。

米国の雇用統計の推移 今回は発表後の株の反応に興味が集中

市場予想は失業率が7.5%、NFPが+16万5,000人


(出所:石原順)

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