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第297回 QE縮小の舞台裏と注目のFOMC日程

2013年5月30日

リーマンショック後の株式市場は金融相場(カネ余り)で上げている。この株高をサポートしているのは米国・欧州・日本の中央銀行である。金融相場のリード役であるFRBのバーナンキ議長が債券買い入れプログラムの縮小に言及したことで、先週からの金融市場は不安定な動きとなっている。

NYダウ(週足)と米国の量的緩和政策

リーマンショック後は中央銀行主導の相場に…


(出所:石原順)

NYダウは史上最高値更新相場が続いているが、投機筋が「Dow POMO vs. Non-POMO」と注目しているように、過去4カ月の動きをみると、顕著に上げているのは火曜日だけである。NY連銀は2010年8月から金融機関との間で国債やMBS(モーゲージ証券)を売買する「POMO(Permanent Open Market Operations)」を続けており、今年はPOMOが実施されると株が上がるという現象が続いている。NY連銀が金融機関の持っている国債やMBSを買い、金融機関が売却代金を使って株式のアルゴリズム売買を行なっているということが原因のようだ。

POMOと火曜日のNYダウ 過去20週連続火曜日高

今年のNYダウは毎週火曜日の相場上昇が続いている


(出所:ゼロヘッジコム)

上記の例をみてもわかるように、現在の株高の大きな要因はカネ余りであり、中央銀行頼みの状況だ。中央銀行が緩和の手を緩めれば、リスク商品の上値は重くなる。「量的緩和の縮小は早くてもバーナンキ退任の2014年1月以降」とみられていただけに、大恐慌の研究者である “ヘリコプター・ベン”が2013年半ばでQEの縮小を口にするとは、投機筋も意外だったに違いない。

所得格差が拡大する一方の米国で、バーナンキFRB議長はウォール街を除くと人気がない。またQE策に対しては、共和党・民主党を問わず批判が多い。バーナンキFRB議長は2014年1月で退任するという噂だが、バーナンキFRB議長はグリーンスパンほど生臭い人間ではないので、学者に戻るようだ。口の悪い運用者は、「日銀総裁とは比べものにならない安い給料と、先の大統領選での強烈なバーナンキ批判に嫌気が指したのだろう」と述べている。

バーナンキFRB議長はQE1からQE3まで3度の量的緩和策を実施した。この間、FRBの総資産は増え続け、2013年5月現在では名目GDPに対するFRBの総資産の割合は20%を超えてきている。下のグラフは日経新聞の前田編集委員から頂いた資料だが、大恐慌時の比率が23%であり、現在の緩和状況はやり過ぎだという批判がでるのは仕方がないだろう(ちなみに前田編集委員は日本株の暴落する前日(5月22日)に『上げ相場で蓄積される「下落の芽」』というコラム(日経新聞電子版『マーケット反射鏡』)を書かれていたが、昨年10月の日本株の「買い場」を言い当て、5月もピンポイントで相場の行きすぎを警告している)。

FRBの総資産と名目GDPに対する割合(2013年5月現在)


(出所:日経新聞)

FRBは名目GDPに対するFRBの総資産の割合を平時の経済状況下では6%以下にするという伝統があるが、FRBの出口への道のりは簡単ではない。一般に米国の出口(緩和前の水準に戻す)には7年~10年かかると言われている。ゴールドマンサックスは「FRBの総資産がGDPの6%以下に戻るのは2024年以降である」というレポートを出している。

2024年まで市場の「期待」をコントロールするのは容易でない。リーマン危機後は「誰も買い手がいない」なか、これまではラストリゾートであるFRBがバブルを演出してきた。今後、米国が出口へ向っていくには、新しい「買い手」を探してくる必要がある。

そうしたなか、ジリ貧経済に業を煮やした日本がアベノミクスで「一発勝負」に出てきた。FRBとしては渡りに船で、日銀の異次元緩和が出口に向う最初で最後のチャンスなのである。多くの運用者が、「日銀の異次元緩和がなかったら、FRBはQE縮小を急ぐことなく量的緩和路線を継続していただろう」とみている。

「日銀の異次元緩和は出口のチャンス」と考える米国の政界や資本筋からの政治的圧力に屈して、FOMCも出口への模索を始めたことは間違いないだろう。現在、ファンド筋の間では「QE縮小の日程表」なるものが出回っていて、筆者もそれを入手した。

それによると、QE縮小日程は、

6月19日 FOMC QE縮小の議論のみ
7月31日 FOMC QE縮小(MBSから2~3年国債に乗り替え?)のアナウンス
9月18日 FOMC QE縮小を決定

となっている。

NYダウ(日足)とFOMCの日程 QE縮小のスケジュール

実際のQE縮小は9月FOMCか?


(出所:石原順)

上記がQE縮小の「最短スケジュール」であるが、これから9月までの相場はFOMCの声明をみながらの、やや神経質な相場展開となりそうだ。米国のQE縮小でカネ余り状況が大きく変わるわけではない。FOMCが考えているのはポートフォリオの短期化である。2011年10月~2012年12月に行なった「ツイスト・オペ」で短期・中期の国債をもっていないので、MBSを売って短・中国債と入れ替える案が浮上しているだけだ。

ここからの相場はFOMCの日程を睨みながら、「米国の景気指標」と「QE縮小観測」のせめぎ合いとなるだろう。紆余曲折、恐らく米国はQEをそう簡単にやめることはできないだろう。実際に縮小してみて市場が混乱するようなら、また債券の買い入れを再開するのではないか?

FRBの総資産(単位:10億ドル)

FRBの総資産が実際に減るまでは、株式市場はいいように解釈しバブルは続くとの声も…


(出所:石原順)

世界は依然カネ余り状況だ。現在、リーマンショック後のバブル相場の主役がFRBから日銀やECBを中心とした米国以外の中央銀行に変わっていく段階にあり、結果的にリーマン危機後のバブルリレーの最終ランナーは日銀になりそうだ。このバブル相場の賞味期限は安倍政権次第とも言えるが、対GDP比で50%超に総資産を拡大する日銀の異次元緩和は、米国のQE縮小分を補ってあまりあるものとなるだろう。

日米欧の中央銀行総資産の増減と名目GDP比率 バブルリレーはFRBから日銀にバトンタッチ?

総資産=棒線 2007年末=100(左軸)
名目GDP比率=折れ線 %(右軸)


(出所:日経新聞)

バーナンキFRB議長がQE縮小を示唆したことで、5月決算のファンドは利益確定売りに一斉に動いた。この影響を大きく受けたのが、「日経平均」と「豪ドル」である。米国の出口観測が浮上した5月以降の相場はドルの上昇とコモディティ通貨の下落が目立っていたが、5月22日の議会証言後は高金利通貨売りに動いているファンドも多いと聞く。

NYダウ(左)と日経平均(右)の月足 毎年5月から10月の相場はむずかしい

5月はファンドの決算月、今年も後半になってセルインメイがやってきて、日経平均の月足は「いってこい」に…


(出所:石原順)

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の月足

ファンドの5月決算で、「日本株」と「豪ドル」に利食いが出た


(出所:石原順)

豪ドル/円とドル/円に関する照会が多い。とりあえず、日本株の落ち着きを待つしかないが、「豪ドルの反転はユーロ/豪ドル相場が反転した時だろう」と通貨ファンドはみているようだ。ドル/円はドル高相場なので大きく売られる理由はない。ただ、今は日本株の急落に巻き込まれて調整相場になっている。

豪ドル/円(日足) 豪ドル/ドルの急落で豪ドル売りトレンドが発生

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)・13日エンベロープ3%(紫)


(出所:石原順)

ユーロ/豪ドル(日足) 通貨ファンドに人気の高い通貨ペア

頻繁にトレンドが発生し大相場が連続している
上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(日足) 日本株の急落に巻き込まれ調整中

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)・13日エンベロープ3%(紫)


(出所:石原順)

「米国の金利が2%を超えてくると何かが起こる」と言われるが、今回は日経平均の急落が起こった。この金利上昇が「良い金利上昇」なのかどうかは、今後の米景気指標次第となる。米国のマクロファンドは「出口が示唆された以上、今後の経済指標は“よい数字”が出てくるに違いない」と述べている。これから米国株式市場も金融相場から業績相場に転換を試される展開となるが、今後の金融市場は経済指標をみながらQE縮小を織り込む調整局面に入りそうだ。

日本10年国債金利(左)と米10年国債金利(右)の日足

異次元緩和と出口観測で当局の意図せぬ金利上昇が起きている


(出所:石原順)

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