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第296回 QE縮小でバブルは終わるのか?

2013年5月23日

バーナンキFRB議長は昨日の議会証言で、「経済の勢いを示す徴候がさらに増えなければ、緩和ペースを縮小させることはできない」と述べた。市場は素直に「株高」で反応したが、その後の質疑応答で「経済指標の改善が続くなら<今後数カ月の会合>で規模縮小に着手する可能性がある」と述べたことで、 株は急反落の反応となった。

2011年6月以降、FRBが「出口の議論」をしているのは、市場に「出口」を織り込ませる目的がある。ある日突然、FRBが「資産を売却します」などと言い出せば、米株も米債も暴落しかねない。

米国の景気は雇用を見ても決して盤石ではない。バーナンキFRB議長も「雇用市場の状況は改善したが、全体的に弱いままである」と述べている。FRBによるQE3で米国株やジャンク債はバブルしているが、実体経済の信用創造にはつながっていない。「失業率が6.5%、インフレ率が2.0%程度」というターゲットからみても、QEの縮小は時期尚早であり、実際にQEを縮小するかどうかは景気指標次第となる。

にもかかわらず、バーナンキFRB議長が「量的緩和(QE)の縮小は出口の最初の一歩となるだろう。ある時点で資産購入プログラムを終了する」と出口を匂わしているのは、日本の「異次元緩和」の間になんとしても出口戦略の先鞭をつけたいからだ。

先週のレポートにも書いたように、FRBの資産を緩和前に戻すのは「最低でも5年、7~8年はかかるだろう」と言われている。この間、市場の「期待」をコントロールするのは容易でない。

中国やブラジルなどの新興国は、人件費の高騰でしばらく経済は伸び悩むだろう。世界は欧州に一段の景気刺激策を迫っているが、ドイツが追加緩和や財政出動に消極的であり、秋のドイツの選挙が終わるまでは大胆な経済政策が期待できない。

そうしたなか、ジリ貧経済に業を煮やした日本がアベノミクスで「一発勝負」に出てきた。FRBとしては渡りに船で、日銀の「異次元緩和」が出口に向う最初で最後のチャンスなのである。

それだけではない。日銀の異次元緩和と円安に背中を押されるように、現在、世界各国で利下げ(通貨安)競争が始まっている。ECBも5月に利下げを実施、6月6日のECB理事会では「マイナス金利を導入するのでは?」という憶測まで出ている。金融緩和の世界的な波及で、今後はさらにカネ余り相場となりそうな状況である。

このバブル状況のドサクサに紛れて、「最初に出口に向おう」というのが米国の戦略だ。「金利をあまりにも長期間にわたって過度に低い水準に保つことにはリスクを伴う」とバーナンキFRB議長が述べているように、FRBは2001年~2004年に長期間の低金利政策をやった。そして、その後も金融正常化に時間をかけすぎた。米国はこれらの要因でITバブルの崩壊やリーマン危機を招いている。

今回FRBはその轍を踏むことなく、出口に向いたい。「我々は日本の政策を支持する。日銀の行動は劇的な効果をもたらしているようだ」「現行の計画に基づけば、国内総生産(GDP)比でみた日銀のバランスシート規模はFRBの3倍になるだろう」と、バーナンキFRB議長が喜んでいる裏には冷徹な計算がある。

昨日発表されたFOMC議事録をみると、「景気が強ければ6月会合で資産購入を減らすべき」と数人が主張しているが、実際のQE縮小にはあと2~3カ月の経済指標を必要とするだろう。

不確定要因は、次期FRB議長人事だ。現在、イエレンFRB副議長とダドリーNY連銀総裁は「量的緩和継続」を主張している少数派となっているが、イエレンFRB副議長は一応、次期FRB議長候補である。バーナンキFRB議長は2014年1月に退任予定であり、8月のジャクソンホール講演も欠席する。バーナンキFRB議長がレームダック状態であることが、今後の見通しを難しくさせている。

さて、米国のQE縮小観測でバブル相場は終わってしまうのだろうか?

昨日は議会証言とFOMC議事録発表後に米株が急落し、本日の日経平均は1143円安と急落している。複数の運用者に意見を聞いたところ、「米株はしばらく調整(上値が重くなる)」「日本株は基本的に円安次第だろう。上がりすぎの反動相場にはなるだろうが、相場のトレンドが変わるような事態が起きるとは思っていない。参議院選挙までは安倍政権がPKOを入れてくるので、押し目買いを狙いたい」という見方が多い。

日経平均(月足) 2000年~2013年 異次元緩和相場は簡単には終わらない?


(出所:石原順)

株式市場は「ランダムウォーク理論」が跋扈するトレンドの掴みにくい市場であり、不確定要因が多い。しかし、米国の景気指標が改善してくれば、長期金利が多少上昇しても良い金利上昇(グレート・ローテーション)と言うことで米株高基調は続くと思われる。

米国の長期(10年)金利の標準が8%(ゴールデンエイト)と言われた時代の米国債を取引していた筆者の感触を言えば、米長期金利の2%レベルは歴史的低水準である。バブルが崩壊するような金利水準ではない。

日本国債の金利上昇は一部で制御不能などと言われているが、参議院選挙までは当局が封じこめるのではないだろうか? いずれにせよ、株も債券も短期的には難しい相場である。

米10年国債金利(日足) 1970年~2013年 米長期金利はまだ歴史的低水準


(出所:石原順)

日本10年国債金利(日足) 異次元のボラティリティ相場が続いている


(出所:石原順)

こうしたなか、比較的わかりやすいのは為替市場である。「米国が出口への地ならし、欧州は緩和拡大(マイナス金利)観測、新興国は利下げ、日本は異次元緩和」という状況の中では、買える通貨はドルしかない。ドルが上がるとコモディティが下がるので、資源通貨も買えない。結局、ドルの押し目は買われることになるだろう。

乱高下必至の相場展開だが、エンベロープ(移動平均乖離)を確認しながらドル/円の押し目買いを継続したい。

ドルインデックス(日足) ドル高トレンド継続中

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(1時間足) 1時間足相場の動く範囲

13時間エンベロープ0.3%(赤=ノーマル相場)・0.8%(青=トレンド相場)


(出所:石原順)

ドル/円(日足) 日足相場の動く範囲

13日エンベロープ2%(赤)・3%(青)


(出所:石原順)

ドル/円(日足)のアナログチャート(2013年5月23日現在)

5月に入り出口観測が浮上、円独歩安相場からドル高相場に変化
2013年相場は1995年相場との類似性がみられる。2012年9月からの上昇相場と95年4月からの上昇相場の比較(95年は4/18、2012年は9/13が起点・横軸は起点日からの経過日数)


(出所:石原順)

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