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第290回 黒田バブルは福井バブルの再来か?

2013年4月11日

日銀は世界最大のヘッジファンド

「2年・2倍・2%」という異次元の量的緩和策を発表した日銀は、投機筋から「世界最大のヘッジファンド」と呼ばれている。

4月4日に発表された黒田日銀の量的緩和策は、

  • 金融緩和の指標を翌日物金利からマネタリーベース(資金供給量)に変更
  • 資金供給量を年60兆~70兆円ずつ増やす(2012年末に138兆円あった資金供給量を13年末に200兆円、14年末には270兆円と約2倍まで増やす)
  • 長期国債の購入量も2年で190兆円と2倍強に増やす
  • 40年債までの全てのゾーンの国債を買い入れる。日銀が購入する国債の平均残存期間は現在3年弱だが、今後は7年程度にまで延ばす
  • 上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)といったリスク資産の購入も増やす

といった内容である。

「ロンドンのクジラ」と呼ばれる運用者がいたが、日銀は東京というか「世界のクジラ」だ。今後、2013年度の国債発行額120兆円の7割近くを日銀が買うことになる。国債の平均残存期間を7年に延すということは、いまある7年以上の国債を2割ずつ買わないと平均残存期間7年にならない。随分前から海外の新聞では「アベノミクスはボルカーショック以来の衝撃」になるとの観測が出ていたが、「平均残存期間7年」という決定は投機筋もサプライズだったようだ。

黒田バブルは福井バブルの再来か?

「良性であれ悪性であれ、今後日本で資産インフレが起こるのは間違いないだろう」と、ファンド勢は日銀マネーによる「真性バブル相場」が始まると見ている。そして、運用者の多くが「黒田バブル相場は福井バブル相場の再来だ」と語っている。

福井バブル相場を振り返ってみよう。「りそな銀行危機」をきっかけに福井日銀は2003年3月から2006円3月まで量的緩和政策を継続した。このときの日銀マネーで世界中が株バブルとなり、このバブル相場はリーマン危機でバブルが崩壊するまで4年ほど続いた。したがって、今後3年くらいは資産バブル相場が続いてもなんらおかしくない。

日経平均(月足) 2000年~2013年

緑のゾーンが福井日銀による量的緩和期間(2003/3~2006/3)


(出所:石原順)

NYダウ(月足) 2000年~2013年

緑のゾーンが福井日銀による量的緩和期間(2003/3~2006/3)
日銀マネーで世界中過剰流動性相場になった


(出所:石原順)

福井日銀の量的緩和策は民間銀行が日銀の当座預金に置いている資金量を目標にする政策だったが、このときは量的緩和よりも「日銀砲」と呼ばれたドル買い円売り介入のインパクトが大きかった。

急激な円高阻止のため、塩川=溝口コンビで2003年初めから2004年にかけて35兆円規模の大規模介入が行なわれたのである。これだけの介入をしてもドル円相場は120円から110円割れの円高になったが、この円安誘導策による介入マネーは世界的にバブルを押し上げた。

ドル/円(月足) 福井日銀の量的緩和期間(緑のゾーン)

2005年から円安に反転、ミセス・ワタナベ相場に…


(出所:石原順)

日銀の政策はFRBの真似

介入ではなかなかトレンドは変わらない。協調介入でなければG7から市場操作や近隣窮乏化政策の避難を受けるし、トレンドに逆らった介入は成功しない。為替の歴史は政治の歴史である。恐らく、今年もドル/円が100円を超えてくると海外からの円安牽制が出てくるだろう。

円安牽制発言で注意すべきは、「米国からの牽制」だけである。ドル/円レートにはその時々の米国の容認レベルが存在する。しかし、今回は米国も円安牽制をしにくい立場にある。それは、黒田日銀がバーナンキの真似をしているからだ。アングロサクソンはロジックで相手を攻めるが、「バーナンキFRB議長と同じ事をやっています」と日本が言えば返す言葉はないだろう。

黒田日銀による円安誘導は、「バーナンキFRBの模倣」である点が重要なポイントである。「円売り介入」と違って他国からの政治的圧力を受けにくい構造にある。上げ下げを繰り返しながらも、今回の円安トレンドはかなり長く継続すると見ておくべきだろう。

円キャリートレードの復活

日本政府が円安誘導政策を行なっていて、為替の円高リスクも小さいということで、投機マネーは一斉に「円キャリートレード」に向っている。日銀は貸出支援制度の融資先として、ヘッジファンドを含む国内外のノンバンクも加えている。「円で資金調達して外貨に転換する円キャリー取引や、対外M&A(企業の合併・買収)の増加を狙う」と宣言しているのだ。金利がゼロに近い円で調達し、株や外貨を買うと言う投機は成功する確率が高い。

日本の国債相場が大荒れの状況だ。国債先物相場はサーキット・ブレーカーを連発しており、異次元のボラティリティ相場となっている。まだ金利のレベルはたいしたことはないが、常識的に考えて10年持って0.3%の商品を誰が買うのだろう? 金利はゼロ以下にはならないのである。

日本10年国債金利(日足) 黒田ショック後、異次元の変動相場に…

21日ボリンジャーバンド2シグマ(赤)・オプションボラティリティ(紫)
インカムゲインもキャピタルゲインもない状況


(出所:石原順)

日本の10年国債を買っても「キャピタルゲインもインカムゲインもない」となれば、いかに保守的な日本の金融機関でも外債投資を始めるだろう。機関投資家の外債投資はヘッジ付きで為替の影響はないと言われているが、今後、長期円安バイアスが強くなればヘッジを外してくる可能性もある。

消費増税と参議院選挙を控えた4~6月期の景気には財務省も安倍政権も敏感だ。したがって、日本国内の要因だけをみれば、当面ドル/円の大きな円高というのは回避されるだろう。

ドル/円相場のテクニカル

ドル/円の昨年9月からの上げ相場は、とりあえず最終の5波動目に見える。しかし、この5波動目の相場はエクステンション(延長)がつきものだ。相場の最後というのは暴走しやすい。100円を超えると、とりあえず101円44銭まで円安の視野が拡がってくる。

ドル/円(日足) 昨年9月からの上げは最終局面なのか…延長相場はどこまで伸びる?

2009年高値101円44銭や61.8%戻しの105円ターゲットも視野に?


(出所:石原順)

先週末の弱い雇用統計にもかかわらず、円安基調は揺らいでいない。今週の月曜日からドル/円の日足は円安トレンド相場となっている。筆者が定点観測している短期13日・中期26日・長期55日の標準偏差ボラティリティは全て上を向いており、相場は21日ボリンジャーバンド+1シグマを超えて+2シグマに添いながら上げていく「バンドウォーク相場」となっている。ドル/円週足も週の終値ベースでは21週ボリンジャーバンド+1シグマを割り込まずに、円安トレンドを保っている。目先の相場は100円を付けるまで「押し目買い」でよいだろう。

ドル/円(日足) 100円は通過点か…

上段:標準偏差13日(紫)・26日(青)・55日(緑)
下段:21日ボリンジャーバンド2シグマ(赤)


(出所:石原順)

ドル/円(週足) 1995年以来の強烈な円安トレンド相場

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1シグマ(緑)


(出所:石原順)

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