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第215回 イタリア国債が危険水域に

2011年11月10日

G20以降はイタリアの財務残高がマーケットの焦点となり、危機がアテネからローマへと飛び火している。これまでレポートやセミナーで「ユーロの次の大きな危機はイタリア10年国債が7%を超えた時」であると述べてきたが、今まさに「イタリア危機」が到来している。

イタリア10年国債(日足)

この道はいつか来た道? 国債利回りの7%超は資金調達が困難となる水準


(出所:石原順)

イタリアの国債発行残高は1兆8,000億ユーロ(日本円で約190兆円)であり、国債発行残高が日本円で約25兆円程度のギリシャ危機とはレベルが違う。これは、スペイン・ポルトガル・アイルランドの国債発行残高の合計より大きい。現在の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模ではどうしようもなく、EUというよりIMFやG20が介在しなければ解決できない。イタリア国債市場は「市場対EU」の構図となっているが、危機の拡大を防ぐためには、とりあえずECBのイタリア国債買い入れ規模を増やすしかないのが現状だ。

イタリアは国債利払いなどを除いた基礎的財政収支(プライマリー・バランス)は黒字であり、財政再建に取り組めばそれほど深刻な状態ではないとの声も多く聞かれる。したがって、イタリア国債の金利急騰はまだ催促相場の段階に過ぎない。しかし、金利が7%を超えて15日後にアイルランドが、18日後にギリシャが、55日後にポルトガルがEUやIMFのお世話になっている。これから50日間の相場は当局の出方を見ながらの神経質な展開となろう。

ギリシャ10年国債(左)とポルトガル10年国債(右)の週足

金利が7%を超えると急上昇となった


(出所:石原順)

イタリア国債の金利急騰は実需の売りが先導している。これだけ騒ぎが大きくなると、担当者は責任問題からイタリア国債を売らざるを得ない。ギリシャ危機でCDSがなんのヘッジにもならない(ディフォルトと認定されない)ことがわかっているので、投機筋は国債先物とオプションを使った売り仕掛けを行ってくるだろう。したがって、イタリア危機の深刻度を観るには、単純にイタリア10年国債の動きをチェックしておけばよい。

残るチェックポイントは金融株の動きだ。イタリア危機が本格化すれば、欧州の金融機関への影響は大きい。フランスの主要4行が持つイタリア国債や政府向け貸し出しの残高は、2010年末で357億ユーロ(日本円で約3兆8,000億円)、ドイツの主要12行が持つイタリア国債や政府向け貸し出しの残高は307億ユーロ(日本円で約3兆2,000億円)となっている。(ちなみにフランスの銀行のイタリアの民間および公的部門向け貸出債権は2011年6月末時点で約32兆円であり、来年1月までに格下げが噂されている)株価は危機に対する反応が早い。欧州主力行の株価の推移をみていれば、危機が本格化するか下火になるかがわかりやすい。各行ともイタリア国債の残高減らしに躍起になっているが、その損失は大きい。

BNPパリバ(左)とクレディアグリコル(右)の日足


(出所:石原順)

ウニクレデイト(左)とサンタンデール(右)の日足


(出所:石原順)

欧米の利下げや金融緩和観測、新興国の利下げ、中国の金融引き締め修正観測などを背景に、ここ2週間の相場は投機筋が買い仕掛けに転じた。この動きはゴールドや原油市場で始まり、株式市場やクロス円市場にも波及したが、11月半ば以降は手仕舞ってくると噂されている。

為替市場ではイタリア国債のようにすんなりユーロ売りとはなっていない。ユーロは金融機関による海外資産の処分売り(危機対応)のユーロ買いフローや、底流にくすぶる米国のQE3観測があるので迷走しやすい状況だ。しかし、リスク資産の動向は、ユーロの動きがカギとなることは間違いないだろう。

原油先物(左)とゴールド先物(右)の日足


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足) -2σまで下落

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(上)とNYダウ(下)の日足 株価はユーロの動きに敏感


(出所:石原順)

現在、市場は危機の最中にある。コンピュータを使ったロボット売買でもノイズやエラーが生じやすい環境にある。ここ数日、毎日のように運用者と会っているが、株の売りと買いを一緒に持つ「ロング・ショート」のファンドが苦戦しており、通貨のロボット売買も調子がよくないようだ。危機の時の対応は2つしかない。損をしやすいので普段よりポジションを減らすことと、ストップ注文を徹底することである。

最後に円相場にも触れておこう。ドル/円は覆面介入も噂され、一目均衡表介入などと呼ばれていたが、相場は雲の中に入りややバランスを崩している。77円割れで再介入があるか否かが投機筋の注目点だ。豪ドル/円も21日移動平均線を割り込んできており状況は良くない。やはり9日RSI70レベルは利食いが正解のようだ。

豪ドル/円(日足)

上段:21日ボリンジャーバンド2σ(青)
下段:9日RSI(赤)


(出所:石原順)

ドル/円(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:一目均衡表


(出所:石原順)

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