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第178回 時というものの機能

2011年3月14日

東北地方太平洋沖地震の被害にあわれました皆様へ
被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。

11日に発生した東日本巨大地震を受けて、本日朝方の相場は日経平均が500円超の下げ、NYダウ先物90ドル超の下げとなっている。為替市場は11日の大地震の後、円高に振れていたが、14日の朝方に1時間足の変動の限界といわれる13時間移動平均-0.8%乖離水準を突破したあとは、10時の仲値時間にかけて急速に戻している。

ドル/円(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・21時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13時間移動平均0.8%乖離(1時間足の変動の限界といわれるバンド=金色)

1995年の阪神大震災の後、リパトリ(海外資産を売却し円送金を増やす)によって円が79円台まで急上昇した連想から、市場は円高に反応したようだ。リスクモデリング会社の予想では今回の地震による保険対象損失(津波を除く)は2.85兆円に達すると報道されている。

ドル/円(日足) 阪神・淡路大震災後の円相場の推移


(出所:石原順)

海外投機筋からは「円相場が70円台半ばまで進む」という声も聞かれるが、円高→株安の流れは日本の景気の悪化を招くため、80円近辺まで円高が進めば、政府・日銀は為替介入に踏み切る可能性があるだろう。阪神・淡路大震災の時は数ヶ月間円高が続いた後、数カ月かけて元の水準まで戻るという「いってこい」の展開となったが、当面の円相場は相当ランダムでボラタイルな展開を想定しておく必要があるだろう。

円が急騰しようが、株が急落しようが日本経済はビクともしない。恐いのは財政不安から日本経済の命綱である日本国債が売られることである。現在は円高に振れているが、日本国債の格下げやCDSの保証料の上昇は円安材料であり注意が必要だ。とにかくこの局面は予測を放棄して相場についていくことと、ストップ・ロス注文をかならず置いて資産保全を図るということを徹底したい。

日本10年国債先物(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

海外情勢に目を転じると、3月11日(怒りの日)に注目されていたサウジアラビアの大規模な民主化要求デモ計画は、サウジアラビア当局が治安部隊を導入したため、首都リヤドやシーア派が多い東部でも心配されていたような混乱は起きなかった。これを受けて、週末の米国株は反発しいったん不安は後退している。

VIX恐怖指数(日足)


(出所:石原順)

今回のような過去に経験したことのない状況ではとりあえず事態を見守るしかないが、パニックに陥らず落ち着いて行動したい。東日本巨大地震という酷い災害を目の当たりにして、つくづく経済や株式市場は平和の配当なのだと思う。東日本巨大地震は我々の価値観や意識を根底から覆した。3月11日以前と以降で世界が変わってしまった気がする。しかし、愉快な時も悲しいときも、日々出来ることを淡々とやっていくしかない。きっと、「時」が全てを解決してくれるだろう。

「ぼくが、持っているものといえば、循環を感じとる能力だけだ。ぼくが考えるのだが、ものごとはなのごとによらず多かれすくなかれ、循環している。いろんなことが、周期をもって、起こってくる。だからその周期が自分にとってもっとも不利になっていくことがたとえあっても、大局的には平衡がとれていて、これが、時というものの機能なのだと思う」(ジェリー・ガルシア)

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