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第175回 クロス円の逆張りポイント

2011年2月25日

もう何年にもわたって為替のマーケットでは「金利差相場」が続いている。その時々でいろいろなマーケットテーマが浮上し、それを材料に相場が展開していくが、マーケットの底流にずっとあるものは「金利差」である。

独・米10年国債金利差とユーロ/ドルの推移(日足)


(出所:石原順)

現在の為替のマーケットは「金利差(利上げ観測)相場」と、新たに浮上した「中東・北アフリカ情勢不安」の2大マーケットテーマで動いている。前者の金利差相場はユーロとポンドで展開されている。後者の「中東・北アフリカ情勢不安」というテーマは、言い換えれば安全資産への逃避で、通貨の世界ではスイスと円が選好されるという流れとなる。

「中東・北アフリカ情勢」が先行きどうなるか、誰も明確な絵が描けない。筆者のところにも毎日いろいろな情報が飛び込んできているが、筆者の仕事は中東・北アフリカ情勢を分析することではないので、あくまで「価格」そのものの動きだけを注視することにしている。

価格と言うことで言えば、投機筋が最も気にしているのは原油と米国株の動きである。原油と米国株の動きによって、マーケットのリスク許容度と不安心理がある程度推測できる。

NY原油(左)と米10年国債金利(右)の日足


(出所:石原順)

ナスダック総合指数(左)とNYダウ(右)の日足


(出所:石原順)

「中東・北アフリカ情勢不安」に揺れる金融マーケットだが、筆者の色眼鏡出見る限り、現在の為替のマーットにはトレンド(方向性)はまだ発生していない。ドルインデックスの動きを観察すると、現在14日ADXも26日標準偏差ボラティリティも下落調整中であり、次の方向性を確認するには14日ADXと26日標準偏差ボラティリティが上昇するのを待つ必要があろう。

ドルインデックス先物(左)とユーロ/ドル(右)の日足


(出所:石原順)

上のドルインデックスのチャートは昨年の9月から2011年2月の期間の動きであるが、歴史的な国際資金循環の季節性を観察すると10月~3月半ば頃まではドル安基調になる可能性が高い期間である。ドルインデックスの動きをみると、今年もその季節性が反映されているのではないかと思われる。この季節性については、3月2日(水)のネット勉強会「為替相場の転換ポイントがやってくる?!」で詳しく説明したい。

ドル相場と国際資金循環の季節性(基本パターン)

1月から3月半ばまでウダウダとした相場?


(出所:石原順)

ドルインデックスに方向性は無いものの、逃避通貨であるスイスフラン相場が動意付き、年初からレンジ内での往来相場となっていたドル/スイスは、レンジの下限を下抜け、対ドルで史上最高値を示現した。

現時点では移動平均が横這い傾向なので、またすぐに21日ボリンジャーバンド1σの内側に相場が戻る可能性も大きい。先行きのメドがない「最高値相場」というのを筆者は好まないが、標準偏差の波形をみると、相場にエントリーする価値(1σラインでの損切り注文必須)はある。慎重なスタンスの投資家は1時間足での相場参戦がよいだろう。

ドル/スイス(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ドル/スイス(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)

冒頭で述べたように、外為市場の底流にあるのは金利差相場である。今週はECBの要人から相次いでインフレリスクを警戒する発言があり、早くて第4四半期といわれていた利上げが、今年の夏にもあり得るのではないかという憶測も出ているという(リーマン危機の2カ月前にECBは原油高を理由に利上げしていることからこういう話が出てくる)。

ユーロの上昇に拍車をかけたのは原油高で、私の周辺にいるファンドは「原油買い」と「ユーロ買い」をセットで同時に行うことが多いが、それは原油高→物価上昇→ECBの利上げというロジックに起因している。

また、英国も今週発表されたBOE議事録で、利上げを主張した委員が前月の2名から3名に増えたことで、BOEに対する早期の利上げ期待が高まり、ポンドは堅調な展開となっている。

金利差と危機回避の複合相場のなかで、クロス/円相場は特にややこしいが、昨日、豪ドル/円、ニュージーランド/円が筆者の「逆張りポイント」水準に到達した。具体的には豪ドル/円が21日ボリンジャーバンド-2σ水準に下落し、ニュージーランド/円は13日移動平均-3%水準に下落したということだ。

この「逆張り」のロジックは、先週のレポート「第174回 相場の動く範囲とテクニカルツール」で説明しているので、そちらを読んで頂きたい。現在の環境では、これらの逆張り商いも短期勝負とならざるを得ないが……。

ニュージーランド/円(日足) 逆張りはストップロス注文必須です

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均3%乖離(橙色)

豪ドル/円(日足) 逆張りはストップロス注文必須です

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド2σ(青)・13日移動平均3%乖離(橙色)

金利差相場はどうなるかわからないが、中東・北アフリカ情勢不安が続いているうちは、基本的にスイス買い・円買いという流れが続きそうだ。日々の相場の動きについては、ブログ『石原順の日々の泡』で更新しているが、最近のアクセス者数の多さに筆者も驚いている(どうか、あくまで参考意見としてご利用ください)。

中東・北アフリカ情勢の緊迫化を睨んで、リスク回避型相場が続いている。現在の相場は「何が起こるかわからない」環境なので、かならずストップロス注文を置いておきたい。資産を守ってくれるのは、情報ではない。ストップロス注文だけである。

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


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