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第162回 量的緩和第2弾VSユーロ危機第2弾

2010年11月26日

11月10日のアイルランド金融危機を受けて、ユーロが軟調に推移している。PIIGSの債務問題は今に始まったわけではなく、いわば焼き直しの材料であるが、これらの問題を大きくしている背景にはEUの救済問題の最大の負担を担うドイツの後ろ向きの姿勢がある。
昨日、ユンケル・ユーログループ議長が、「ドイツが徐々に欧州の共通の利益を見失いつつあるのを懸念している」と発言しているが、現在、EUではドイツの主導で「救済時に投資家の債権もカットする」政策が検討されている。この噂で欧州の債券が売られたが、ギリシャ救済以降、メルケルの支持率も急落しており、ドイツでは「なんで他国の放漫財政のツケを我々が払わないといけないのか」という怒りが蔓延している。ユーロ圏内でも自国中心の保護主義が台頭しているのだ。こうなると寄り合い所帯は始末が悪い。

アイルランド政府は当初EUの救済を断っていたが、ポルトガルなどに危機が波及すると詰め寄られて900億ユーロの救済融資を受けることになってしまった。(週明け28日には、アイルランドの金融支援策についてEUとIMFが同意し発表する見通し)この融資の見返りは、格安といわれるアイルランドの法人税率12.5%を引き上げることであったが、アイルランドは今のところ拒否している。アイルランドは安い法人税で企業誘致をして成り立っている国なので、法人税を引き上げるとビジネスモデル自体が崩壊してしまう。アイルランドにとっては、法人税を上げて支援を受けるより、ディフォルトしたほうがよいだろう。

危機の演出に使われる道具はいつも格付けとCDSである。11月24日、S&Pがアイルランドの長期ソブリン格付けをAA-からAへ引き下げ、短・長期の格付けを「クレジットウォッチ・ネガティブ」としたことからユーロは急落した。またアイルランド国債先物の証拠金は11月10日に30%、11月25日には45%に引き上げられている。こういう規制を掛ければ、おカネは逃げていく(買いが入らない)のだが、危機に煽りをかける格好になっている。スペイン・ポルトガル・ギリシャ国債のCDSが売られ、国債利回りが上昇するといういつもの手口で、ユーロ危機第2弾がマーケットテーマに浮上している。

今回のアイルランド危機は銀行が持つ不動産関連の不良債権の増加だが、このような飛ばしの発覚がポルトガルやスペインに波及すれば、ユーロ安は今後大相場に発展する可能性がある。ポルトガルやスペインはヘッジファンドの売りの標的となっており、動向を注視したい。

スペイン IBEX株価指数(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド0.6σ


(出所:石原順)

ドイツが米国の量的緩和第2弾(QE2)を批判した途端に、なぜかユーロ危機の第2弾がやってきて、通貨市場は混迷の相場となっている。ユーロ危機と米金利の上昇で、ドル安はとりあえず止まった。ファンドの決算やリパトリの需給相場の時期(ポジションの巻き戻し)と重なっており、現在の流れが12月以降も続くのかは明確でない。ドルを売るのか、ユーロを売るのか、あるいは金を買うのか、休暇シーズンも相まって何をやっていいのか市場関係者はわからなくなっている。

現在の相場のトレンドを確認してみよう。

ドルインデックス(日足)

上段:14日ADX
中段:21日ボリンジャーバンド1σ
下段:26日標準偏差ボラティリティ


(出所:ストックチャートドットコム)

ユーロインデックス(日足)

上段:14日ADX
中段:21日ボリンジャーバンド1σ
下段:26日標準偏差ボラティリティ


(出所:ストックチャートドットコム)

円インデックス(日足)

上段:14日ADX
中段:21日ボリンジャーバンド1σ
下段:26日標準偏差ボラティリティ


(出所:ストックチャートドットコム)

ドル・ユーロ・円の各インデックスを見れば、現在、投資家がとるべきスタンスは、ドル買い・ユーロ売り・円売りである。短期取引者はこの方向でトレードするのがよいだろう。ただし、上記のチャートをみれば、ADXがあがらず標準偏差ボラティリティだけの片肺飛行となっており、まだ強力なトレンドが出ているとは言い難い。ドル高・ユーロ安が長期に継続するか否かは米長期金利の動向にかかっているが、米国債のトレーダーと話していても、インフレ期待とデフレの共存で非常に難しいという話が聞かれる。

米10年国債金利(日足)


(出所:石原順)

ユーロ・米10年金利差(赤)とユーロ/ドル相場(緑)


(出所:石原順)

皆が迷っている相場なので、ドル/円やユーロ/ドルの相場にも力強さがない。クロス円はトレンドがないといってもよいだろう。

ドル/円(左)とユーロ/ドル(右)の日足

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の日足

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

では、ゴールドでも買おうかとなるが、ゴールド相場も調整中である。

ゴールド先物(日足)ヘッドアンドショルダーの形状が不気味である

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド0.6σ


(出所:石原順)

現在、休暇シーズンで市場の流動性が落ちているが、来週は、1日:11月消費者信頼感指数・11月ADP雇用統計・2日:11月ISM製造業景況指数・10月中古住宅販売成約・3日:11月失業率・11月非農業部門雇用者数と重要経済指標の発表があるので動きが出るかもしれない。クリスマス商戦の報道も注目されよう。本日のFT紙ドイツ版は、ドイツ財務省内部の複数の関係者の話として、「ECBとユーロ圏の多数の国がポルトガルに対して、欧州の救済基金に支援を要請するよう強く迫っている」と報じており、来週木曜日のECB理事会も注目される。

多くのトレーダーが休暇を取る時期であるが、アルゴリズム(トレンドフォロー・カウンター・ブレイクアウトなど)を用いたCTAやファンドの自動売買は24時間休みなく行われている。流動性が落ちる時期なので、こういうロボットの暴走相場には気をつけたい。大幅な損失から身を守るには、とにかくストップロスを置いておくことである。

ドル/円の買いとユーロ/ドルの売りに市場参加者の興味は集中しているが、このトレンドは11月26日現在、ドル/円で82円84銭以上、ユーロ/ドルで1.3600以下のプライスが維持される限り変わらないだろう。考えるほどわからなくなる相場だが、これが筆者のもっとも信頼するトレード・モデルの相場転換ポイントである。

ドル/円 トレード・モデルと売買シグナル


(出所:石原順)

ユーロ/ドル トレード・モデルと売買シグナル


(出所:石原順)

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


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