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第155回 円高阻止の処方箋

2010年10月8日

ドル安が止まらない。米国のさらなる量的緩和観測でドルを売って他の資産に乗り換えるドルキャリートレードが進行中である。ドルと交換する資産としてゴールド・ユーロ・豪ドルが人気を集めている。そうしたなか、昨日、豪ドル/ドルは27年ぶりの高値、ユーロ/ドルは1.40を示現した。

日本の介入は世銀やIMFから牽制され、「7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)前に介入はできないだろう」という観測からドル/円は15年ぶりの円高水準に張り付いている。円高を止めるには介入では効果が限られる。現在のドル安はFRBの追加量的緩和観測がマーケット・テーマになったことから起こっているが、結局、通貨の強弱は中央銀行のバランスシートが決めているのだ。

世銀のゼーリック総裁が10月7日に、「われわれは今日、通貨をめぐる緊張に直面している。適切に対処しなければ、緊張が問題に発展する可能性がある。近隣窮乏化政策に未来がないことは歴史によって示されている」と発言しているが、通貨安競争となっている現在、為替介入は近隣窮乏化政策、価格操作、失業の輸出などの批判を受けやすい。

日銀も10月5日に「包括緩和」と称する量的緩和に舵をきった。ブログ『石原順の日々の泡』でも書いたが、日本が円高を止める気があるなら、現在の日銀のバランスシートを2倍にすればよい。こういうことを書くと、トンデモ理論だとか、中央銀行の信任が落ちるとかの批判を受けるが、米・英の中央銀行のバランスシートはリーマン危機後2倍以上に膨らんでいるのである。「米・英のまねをして金融政策を行っています」とコメントすれば、日本が強い批判を受けるいわれはないだろう。

中央銀行のバランスシートの変化 2007・4Q~2010・3Q


(出所:フィナンシャルタイムズ)

米FRBのバランスシート


(出所:クリーブランド連銀)

BOE(英中銀)のバランスシート


(出所:BOE)

通貨安(量的緩和)競争がマーケット・テーマになっているので、金融緩和が止まっているユーロ圏や、金融緩和の量が足りない日本の通貨が通貨高になるのは自明の事である。筆者はリーマン危機後にFRBのポートフォリオが2.5倍になったことに驚いていたが、米投資銀行からもらったレポートには4倍まで膨らませることが可能と書かれており、腰を抜かしてしまった。米国の素晴らしいところは「何でも早く片付けてしまう」ことである。欧米では借金など屁とも思っていないのである。日本人の規律を守ろうとする姿勢やまじめさは美徳ではあるが、悲しいかな、それは世界の金融・経済の仕組みや常識からは大きく逸脱している。

インドネシアの株が史上最高値を更新したが、1997年のアジア危機でひどい目にあったタイ・インドネシア・韓国などは通貨安をテコにその後大きな経済成長を遂げている。世の中は何が幸いするかわからないものだ。危機というのは再生の第一歩である。相場でも経済でもジリ貧というのは最悪だ。ジリ貧というのは、長く強いトレンド相場だからである。いずれにせよ、中国の1人当たりのGDPが日本のそれと釣り合うまで、日本にはデフレ圧力がかかり続けるだろう。

IMFのストロスカーン専務理事が、「このところ通貨戦争について耳にする。やや軍事的な響きだが、多くが通貨を武器とみなしているといっても差し支えないだろう。これは明らかに世界経済にとり好ましくない」と発言し、ECBトリシェ総裁も「為替の無秩序な動きは望ましくない」と通貨安競争に苦言を呈すなど、昨日から通貨を経済戦争の武器にするなという報道が目立ってきた。これで、週末のG7は「通貨安競争回避」のための議論の場となりそうだ。ここにきて、決算前の儲かっていないファンド連中が、レバレッジを上げてドル売りの短期取引(ドタバタ商い)を行っており、ドルは急激に売られすぎている。アヤ戻し的な反動高にも警戒が必要である。

本日は雇用統計が発表される。ADPの発表後から下振れ懸念が強くなっているが、雇用統計の数字がどうであろうと、米国債の金利が上がらないことにはドルの戻りは鈍いだろう。

米10年国債金利(日足)


(出所:石原順)

筆者がこの連載や『石原順の日々の泡』でウォッチしてきたユーロ/ドルや豪ドル/ドルは、素晴らしいトレンド相場に発展した。ボリンジャーバンドの1σの外だけで取引することで、リスクを抑えながらトレンドをとるという「Bollinger Bands 1σTrigger with ADX(STD)」の手法は、有効に機能していると言えるだろう。

相場で成功する確率があまり高くないのは、相場の動きが酔っぱらいの足取りのようにランダム(無秩序)だからであるが、相場で勝つにはランダムな相場の中から「ランダムでない部分」を取りだして取引しなければならない。相場に絶対の法則は存在しないが、現在の相場にトレンド(方向性)が「あるのか」、「ないのか」ということは、14日ADXや26日標準偏差ボラティリティがある程度は教えてくれる。

2010年のユーロ/ドル相場は既に4回も大きなトレンドが発生し、今年最高のトレンド商品となっている。現在、ユーロ/ドルと豪ドル/ドルの買いポジションを保有しているが、相場がNYクローズで21日ボリンジャーバンドの1σの内側に入ったら手仕舞うだけだ。今後も「勝つ確率の高い局面」を探し、淡々と取引していきたい。

2010年のユーロ/ドル相場とトレンド期間


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

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