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第138回 典型的な乱高下(調整)相場

2010年6月11日

ユーロ相場はユーロ圏やIMFからユーロ安歓迎のような発言が出てくると、ユーロ安が止まる(小休止?)という皮肉な展開となっている。ユーロ圏の経済が回復する要因はユーロ安しかない。財政の立て直しや欧州金融機関の不良債権の償却などは、どれも時間のかかる話である。欧州金融機関の不良債権の償却期間中は、銀行の融資厳格化によって貸し渋りが起こるため、ユーロ圏の景気が良くなる可能性は小さいだろう。いずれにせよ、ユーロ圏の経済がどうあれ、相場は循環である。

相場の上げ下げについて毎日後講釈的な材料での解説がされているが、現在の相場に大した材料があるわけではない。NYダウが大きく下げると市場参加者は悲観的になり、大きく上げると楽観的になるといった有様で、相場は投げと踏みの応酬になっている。

結局、今の金融市場はNYダウとユーロ/ドルの動向次第だ。しかしNYダウは(日経平均も同様)現在、26日標準偏差ボラティリティがピークアウトしており、先行きが非常に読みにくい。ADXや標準偏差ボラティリティが上昇している期間がトレンド相場であるが、現在はADXや標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)しており、セオリーからは、「トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった横這いレンジ内での乱高下相場」となる予定である。NYダウも日経平均も現在MACDの買いシグナルが点灯しているが、トレンド相場(売られすぎ相場)の後の自律反発局面にすぎず、相場の方向性に信頼感があるわけではない。

NYダウ(左)と日経平均(右)の日足

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)とMACDのシグナル


(出所:石原順)

ユーロ相場も同様である。ADXがまだ横這い傾向なのが気になるが、26日標準偏差ボラティリティは既にピークアウトしており、乱高下が予想される局面である。ポンド/ドルはより明確なランダム相場となっている。

ユーロ/ドル(左)とポンド/ドル(右)の日足

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)


(出所:石原順)

要するに、今の相場は酔っぱらいが千鳥足で歩いているような局面なので、あまり方向性に賭けるような相場つきではないということだ。この局面で相場の勢いにのって安値を売り込んだり、高値買いをするとひどい目に遭う確率が高い。言い換えると、カウンター的な逆張り相場(相場の流れと逆のポジションをとる)の局面だが、逆張りというのは相場の難易度が高い。日足で適当な逆張りレンジを決めてトレードをしてもうまくいく確率は低い。この局面で逆張りをしたい投資家は、相場の時間枠を縮めて1時間足で順張り(21時間ボリンジャーバンド1σ抜け+ADXの上昇で相場に参入する)を行うのがよいだろう。それが、結果的に日足で逆張りしているのと同じことになる。ただし、現在、日足相場にトレンドがないので、1時間足相場で順張りを行っても大きな収益を上げることが難しいのは言うまでもない。

円相場はNYダウやユーロ/ドルよりも調整相場であることが明確な動きとなっている。現在の円相場は、上がっても下がっても大した意味はないということだ。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の日足

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)


(出所:石原順)

ポンド/円(左)とドル/円(右)の日足

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)


(出所:石原順)

日足ベースで相場の方向性に賭ける取引者は、次にADXや標準偏差ボラティリティが上昇する局面を待つのが良いだろう。

ドルが売られても、ユーロが売られても、株が売られても買われているという最強通貨? ゴールド相場も、世間で騒いでいるほど強い方向性が出ている相場ではない。大きくみると乱高下しているだけである。注目すべきは、現在、ADXや標準偏差ボラティリティの調整(下落)がかなりいいところまで進んでいることである。ここからADXや標準偏差ボラティリティが上昇に転じたときの動きには、素直についていくのがセオリーだ。

標準偏差ボラティリティやADXを使った相場のトレンド判定は、株式・通貨・債券・コモディティなどあらゆる相場に有効である。トレンド期間ともちあい期間を判別することによって、投資家は相場に対し優位性を持つことができる。これがわからないと、大相場に乗りにくいし、思い切ったポジションも持てないのである。

ゴールド(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)


(出所:石原順)

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