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第105回 ATRと損切りのモノサシ・値頃感という恐怖への対応

2009年10月23日

相場はエントリーしなければ、収益は発生しない。宝くじが買わなければ当たらないのと同様に、相場はポジションを取らなければ(損もしないが)儲からないのである。豪ドル/円相場は10月2日の76円35銭を底に10月21日には84円85銭まで上昇した。この間、8円50銭の上昇である。

豪ドル/円(日足) 10月2日から10月21日までの上昇値幅


(出所:石原順、ブルームバーグ)

豪ドル/円(日足)とチャンネル・ブレイクアウト(レンジ抜け)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

「Aさんは、豪ドル/円を75円85銭で買い指し値して相場をずっと観ていたが、豪ドル/円はスルスルと84円まで上がってしまって儲かりませんでした」「Bさんは買い指し値をずっと上げて相場についていったが、追いつかずにポジションがとれませんでした」というのはよくあるケースである。相場が上がったときには常に買いポジションを、相場が下がったときには常に売りポジションを持っているのが投資家の理想だが、なぜポジションがとれないのだろうか?それは買われすぎや売られすぎという「値頃感」が邪魔をするからである。

AさんもBさんも「豪ドル/円は上がる」という見通しを持っていたのである。実際、指し値もしていた。でも買えなかったのである。相場の実践は「相場観が当たっても儲からない」という非情な世界で、上げ相場で買えなかった、あるいは下げ相場で売れなかったというくやしい思いを、われわれは毎日のように味わっているのであるが、この問題を解決しないかぎり今後も後悔が続いていくことになる。相場の参入(エントリー)の仕方と利食い・損切り(イグジット)が、ルールに基づいてある程度システマティックに行われないと収益を上げることはむずかしい。

古今東西、こうした問題を解決する(相場に乗り損ねないようにする)ために、いろいろなアイデアが練られてきた。最もシンプルなものは「トレード・チャンネル」のブレイクアウトで、いわゆるレンジ抜け・抵抗線の突破である。また、この連載でたびたび取り上げているボリンジャーバンド1σのブレイクアウト(1σの外への飛び出し)もその1つである。ブレイクアウト手法は「高値を買ってさらに高値で売る」、「安値を売ってさらに安値で買い戻す」というある意味“ナイーブ”な手法なので、知性のある人や頭の良い方には非常に抵抗を感じる手法である。しかし、相場はアホになって素直に取り組まないと、上記のケースのように「買えない・買えていない」という現実しか残らない。

買われすぎ・売られすぎという心理的抵抗感を排除するには、ポジションを小さくする、取引時間枠を短くするのが一般的な方法だが、究極は「損切りオーダー」をあらかじめ置いておくことである。ブレイクアウトの取引はダマシにあうことも日常茶飯事である。これを何度か経験すると、痛い目にあいたくないという気持ちから「値頃感」が浮上してくる。「値頃感」というのは値段になれていないというだけの話で、本来ナンセンスなものだ。そもそも為替相場には理論値などないのである。古典的な購買力平価説に始まるいくつかの理論があるが、相場がその理論値通り動くことは稀である。

豪ドル/円(日足)と1σのブレイクアウト


(出所:石原順、楽天証券)

それでは損切りをどこにおくかという問題が発生する。これは投資家の懐具合やリスク許容度の問題と関わってくるが、証拠金がなくなってしまえば相場を続けることはできない。そのため、相場を続けていくための計画が必要となる。たとえば、100万円の資金で20万円まで損をしてもよいと思っている人は、取引1回あたりの損失を2万円として、相場観に関係なく1回の取引で2万円損したらやめてしまうのである。そうすると、10回連続損をしたところで20万円の損となる。逆に言えば、この人は10回連続損をするまでは相場を続ける事が出来る。資産管理の問題は単純に言えばこういうことになる。あとは、相場の動的な変動幅(1日にいくら動くか・1カ月にいくら動くか等…)にあわせてレバレッジを調整し、資産管理を行っていくしかない。

さて、マーケットスピードVer8.2には新しいテクニカルツールとして「ATR」と「平均足」が搭載される。これまでの連載ではATRを円キャリートレードの道標として解説してきたが、本来ATRはシステムトレーダー(機械的に取引する人)がストップロス(損切り)やプロフィットカット(利益確定)の目安として使っているツールである。マーケットスピードVer8.2ではATRの値が画面の右下に表示される。

10月23日(レポート執筆時)の豪ドル/円の20日ATRは1円19銭である。教科書的な一般論では、日足ベースのスウィング・トレーダーは持ち値から2ATR(ATRの2倍)離したところに損切り注文を置くのがよいと言われている。つまり、持ち値から2円38銭離したところに損切り注文を置くことになる。そして、「2ATRの損失額が1回の取引で証拠金の2%以下になるようにポジション金額を決める」のが、投資集団“タートルズ”のルールであるが、資産管理方法や損切りルールに興味のある方は『ザ・タートル 投資家たちの士官学校』を読んで頂きたい。

筆者は20日ATRを好んで使っているが、一般にATRは14日を使う人が多く、トレードで使用している移動平均のパラメータを使う人も多い。10月23日の20日ATRは1円19銭であるが、日計り専門の短期取引者(デイ・トレーダー)は最大でもその半分の60銭以下のリスク(1/2ATR)しかとらないのが普通である。

下のチャートは豪ドル/円の「1時間足」の平均足と14時間ATRの推移である。10月23日 AM6:00現在の豪ドル/円(1時間足)の14時間ATRは24銭(0.24円)である。保守的なデイトレーダーは持ち値から2ATRの48銭下にストップをおくのが一般的である。また、移動平均線で取引するトレーダーは(X時間移動平均値-1/2ATR(ATRの半分))をストップロスに置いている人も多い。どこに損切りを置くかという問題は、取引通貨や取引手法、あるいは取引時間枠によって最適値はまちまちなので、ここでは基本的な話だけに留めておく。

豪ドル/円(1時間足)10月23日 AM6:00現在の豪ドル/円の平均足と14時間ATR

グリーンのラインは豪ドル/円(1時間足)の終値


(出所:石原順)

ATRの値は動的に変化していくので、ストップ注文もそれに合わせてスライドさせる必要があるが、きりがないので1日1回でいいだろう。いずれにせよ、ATRは相場変動の輪郭と相場変動リスクを教えてくれる有効なツールであることは間違いがない。リーマンショック時と現在の相場では、同じポジションでも取っているリスクは全然違うが、それを簡単に教えてくれるのがATRである。

今回はややテクニカル的で難解な話になってしまったが、11月4日(水)のセミナー「テクニカルチャート講座(MS ver8.2最新機能を使用)」-平均足・ATR・フィボナッチを使ってFXトレード-では、ATRや平均足の相場実践における使い方を簡単に説明する予定なので、興味のある方はご覧ください。

楽天FX マーケットスピードVER8.2の参考画面

[豪ドル/円(日足)の平均足と20日ATR]
(※注意:現在、最終テスト中でチャートは直近のデータではありません)

画面右下にはATRの値が表示されている(赤枠)


(出所:石原順、楽天証券)

こちらは10月23日 AM6:00現在の豪ドル/円(日足)の平均足
ピンクのラインは豪ドル/円(日足)の終値


(出所:石原順)

相場の「分析や予測」と「実践」には大きな壁がある。「値頃感からは買いたくない、しかし売るのもこわい」というのが現在の外為・株式・商品市場の共通した投資家心理であるが、これでは動きようがない。何もしないのも相場だが、それでは収益が得られない。このような問題を解決するには、相場のブレイクアウト局面では損切りを置いて、とりあえず相場に乗ってみるしかないのである。そして、相場についていくという順張り手法の多くに有効なのは「1時間足」というタイムフレームであることを付け加えておきたい。

円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年10月22日まで)

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

豪ドル/円(左)とユーロ/円(右)の20日ATR


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ポンド/円(左)とドル/円(右)の20日ATR


(出所:石原順、ブルームバーグ)

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


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