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第94回 ドル紙幣の大量プリンティングは終わるのか?

2009年8月7日

現在のバブル相場は景気が良くてバブルになっているわけではない。経済指標は一部に好転がみられるが、これは低金利・量的緩和と財政出動のダイレクトな影響であり、実態経済に“乗数効果”が及ぶには至っていない。企業業績も好転しているが、景気対策による需要の先食いと時価会計が棚上げのなかでの“数字”なので、その前途はきびしいといえよう。

現在のバブル相場は官製バブルであり、中央銀行バブルだ。7月31日に発表された日銀の金融市場レポートでは「安定しているようにみえる現在の市場は、中央銀行の非伝統的な政策によって支えられているのであって、市場が正常な状態に戻っているとは言い難い」との認識が示されている。現行のバブル相場は中央銀行の政策に左右されている。

中央銀行頼みのバブル相場のトレンドを探る上で重要な材料である8月6日の英中銀金融政策委員会(MPC)で、イングランド銀行は「資産買い取りプログラムの規模を500億ポンド(約8兆400億円)拡大し1,750億ポンドとする」ことを決定した。これでバブル収縮の2つの懸念材料のうちの一つである英国の量的緩和政策は3ヶ月の延長となり、あとは来週8月11~12日のFOMC待ちとなる。

MPCに対する事前予想は、1,250億ポンド(約20兆円)の現行枠がなくなった後、「休止するか・拡大するか」で市場の見方が分かれていた。8月5日のロンドン市場では「BOEは資産買い取りプログラムを休止する」との噂が流れポンドが上昇したが、8月6日の相場は上記の決定をうけポンドは急落した。(これは紙幣の印刷による需給という単純なロジックで現在の相場が動いていることを示唆している)

現行のバブル相場は2009年3月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBが向こう半年間で3,000億ドル(約29兆円)の国債を買い取る計画を決定したところからスタートしている。3,000億ドルの国債の買い取りなどといわれてもピントこないが、簡単に言えば「3,000億ドル(29兆円)分のドルを印刷する」ということだ。米国政府がドルをどんどん印刷してくれたおかげで金融市場がジャブジャブになり、現在のバブル相場は成り立っているのである。ドル安・株高・資源高はこの結果である。

米国債買い取りの累計(上段)と米S&P500株価指数(下段)の推移

(米国債の買い取りが終了すればドルを印刷しないのでバブルは収縮の方向に‥)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

現在の株高や金融バブルを延命させるには、米国のリフレ(バブル)政策の持続が必要条件となってくるが、その意味で来週のFOMCは相場の大きなトレンドを決する重要なイベントといえよう。元FRB理事でマクロエコノミック・アドバイザーズ副会長のローレンス・マイヤー氏は8月4日に「FRBが進めている最大3,000億ドルの米国債買い取り計画は、予定通り9月半ばで終了となる公算が高い」と予想している。金融バブル相場の一番おいしいところはスタートから半年間である。仮に、米国債買い取りが9月で終了となれば、現在の過剰流動性に大きな変化が生じ、秋には相場の潮目が変わる可能性が大きい。FOMCの決定に注目したい。

本日は米雇用統計の発表がある。雇用統計の発表で毎回相場が大きく振れるが、筆者はあまり重視していない。すでにオバマ政権は「失業率は10%を超える」という認識で雇用創出計画を行っているし、雇用統計が悪くても現在のバブル相場には影響がない。むしろ、今後雇用が大きく回復すると「出口政策」がマーケット・テーマに浮上してくるので相場的には面倒な材料となる。

2009年の米失業率=水色の部分

(7.6%から9.5%まで上昇したが、株式相場やリスク商品は大きく上昇した。)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

来週は米国で過去最大規模となる総額750億ドルの四半期定例国債入札(11日に3年債370億ドル、12日に10年債230億ドル、13日に30年債150億ドル)が行われる。FOMCと併せてドル相場に大きな変動をもたらす可能性があり注意が必要だ。直近の相場は、米系ファンドなどからイベント前のポジション整理や利食いが出ており、クロス円の上値は重くなっている。中・長期のポジション構築はFOMCがどのような決定を下すのかを確認してからでも遅くはない。それまでは短期売買で様子をみるのが良いだろう。

円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年8月6日まで)

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。

(ATR・ボリンジャーバンド・標準偏差ボラティリティのトレード手法については、5月13日・6月17日・7月29日のネット勉強会の動画配信をご覧ください)

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(出所:石原順、ブルームバーグ)

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