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第67回 金融株と外為市場

2009年1月30日

最近の外為市場は森を見ずに、木や枝葉をみて相場をやっているので、日中の相場変動が激しくなっている。この理由は、信用収縮によって金融機関・ファンド・オイルマネー等のリスクテイク能力が著しく低下しているためである。リスクテイクのできなくなった運用者は当然「売買ターム」と「ポジション」を縮小する。このため、現在の外為市場は短期取引者だらけで、中長期のフローというのがよく見えない状況にある。

昨今の株式・外為市場は、後ろ向きの理由(レバレッジの解消・リバランス・解約売りなど)がメインのフローとなっている。マーケットテーマは依然として信用リスクである。先週は信用リスク問題でポンドが急落したが、ファンド勢は弱いところや悪いところを突いて果敢に攻めてくる。1月19日に英銀のロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)は「2008年度の損失が280億ポンドに達する」と発表したが、RBS株はこの日67%も急落し、同時にポンド売りに拍車がかかった。

株式・債券保有者及びCDS の受け手、仲介ブローカーの信用リスクに対するヘッジ手段は、(マーケットの流動性を考えると)金融株を売ることしかない。そのため、1日に7割も株が下落するということが容易に起こってしまう。このようなヘッジのメカニズムをファンド勢は熟知しており、著名ヘッジファンドの「ポールソン」はバークレイズやRBS、ロイズTSB、HBOSに対して取っていた空売りポジションにより、約3.93億ポンドのリターンを上げたと報道されている。その翌日には英銀のバークレイズが「2008年通年の業績は税引き前利益を計上できる」と発表したことでバークレーズ株が大暴騰しポンドも買い戻しとなったが、これは欧州系の金融機関のヘッジはずしとファンドの売りポジションの買い戻しである。

RBS株(左)ポンド/ドル(中央)バークレイズ(右)の日足


(出所:ブルームバーグ、石原順)

相場の流れはバブルの敗戦処理がメインであり、過去にリスクテイクされていた金融商品の戻り売りが基本となるが、短期的かつ柔軟に対処しないと相場の急変動で思わぬ損失を負うリスクを抱えていることに注意が必要である。金融機関の決算に関しては、今後も神経質な展開が予想されるので、金融期間の決算発表スケジュールをチェックしておきたい。


(出所:ブルームバーグ、石原順)

国際通貨基金(IMF)が1月28日に2009年の世界の経済見通しを発表したが、米国のマイナス1.6%成長予想に対して日本はマイナス2.6%である。ちなみに英国はマイナス2.8%、ユーロ圏はマイナス2.0%となっている。米国よりも日本の落ち込みがひどいという予想だ。また本日発表となった日本の失業率も4.4%(失業者数270万人)となっており、このようなファンダメンタルズを考慮すれば円は買える通貨ではないだろう。しかし、現在はバブルの敗戦処理が需給を左右しているので、日本のファンダメンタルズに関係なくグローバリゼーションの巻き戻しによって円が買われやすい環境にあることを強調しておきたい。現状の相場は、円が買われるにせよ、売られるにせよ、日本経済の動向とはまったく関係がないのである。円キャリー取引の巻き戻し、ドル資金のリパトリ(本国回帰)による米国への還流など、ファンダメンタルズが促す「需給」を中心に考えないと現在の相場は理解しにくい構造となっている。

ドバイに代表される中近東のバブル崩壊やスペインなどの不動産バブル崩壊の数字がいつまでたっても出てこないが、欧州系金融機関は米国と税制が異なるため処理が遅れている。これはユーロ相場の将来の重荷になってくるだろう。1月29日にトリシェECB総裁が「欧州は異例の警戒継続を」とコメントしたことで、ユーロ圏の利下げ観測からユーロが売られている。主要国がマイナス成長予想となっているなかで、金利の「ノロシロ」がある国の通貨は売られやすい。経済成長がマイナス予想なのに、経済成長の配当である金利が高いことは理屈に合わないからだ。

ユーロ/ドル(日足)と移動平均リボン(1~3カ月の市場参加者の平均コスト)


(出所:ブルームバーグ、石原順)

米下院は1月28日に「バイ・アメリカン」条項を承認したが、これは公共事業で使用する鉄・鉄鋼を米国製に限定する内容となっている。すかさず、欧州委員会が対抗措置をとるとコメントしているが、過去に自動車の貿易摩擦を経験している日本にとっては嫌な話である。また、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場の取引の大半が禁止になるようなデリバティブ規制法案の草案が28日に明らかになっているが、主要国が自己中心的なご都合主義に向かっていると感じるのは筆者だけであろうか?

金利と通貨の切り下げ競争によって自国優先の近隣窮乏化政策が世界的に拡大すると、1930年代のような大不況を招く恐れがあるが、2月13日・14日に予定されているローマG7でどのような議論がなされるのか注目したい。

豪ドル/円(1時間足)
移動平均の傾き(緑色)と21時間ボリンジャーバンド1σの外の相場(黄色)


(出所:楽天証券、石原順)

ユーロ/円(1時間足)
移動平均の傾き(緑色)と21時間ボリンジャーバンド1σの外の相場(黄色)


(出所:楽天証券、石原順)

円相場の相場変動幅(ATR)の動向(データは2009年1月29日まで)

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリー取引はリスクが高くなる。筆者はデイトレードおよびスウィングトレードでも緑の期間は円売り、黄色の期間は円買いを中心にしている。2008年相場ではうまく機能したが、我々は現在長期円高サイクルの最終波動のなかにいるのである。当面は円高バイアスがかかり続けるので過信は禁物である。また、過去にはATR上昇で円安、ATR下落で円高となった局面も多いので注意されたい。

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:ブルームバーグ、石原順)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:ブルームバーグ、石原順)

ポンド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:ブルームバーグ、石原順)

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