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第41回 大変動相場と今後の注目点

2008年9月12日

ポールソン米財務長官が「バズーカ砲」と呼ぶGSEの救済が発表された。筆者はこの「バズーカ砲」によって、少なくとも今週の前半はドル/円やユーロ/円・豪ドル/円などのクロス円相場のアヤ戻し(短期的な上昇)があると思ったが、見通しが甘かったようだ。

テクニカル的には、先週金曜日にhammer=たくり足が出現し、今週は相場の短期的な転換点となる可能性があったが、その後の相場は円強含みの乱高下相場となっており予断を許さない展開が続いている。この動きをみていると、第39回「Cash is King 資産デフレと現金のバブル」で述べた信用収縮による米国マネーのリパトリ(本国回帰)圧力は、この先も相当強いといわざるを得ない。

豪ドル/円(左)とドル/円(右) たくり足の出現もリバウンドに失敗


(出所:石原順、ブルームバーグ)

(注):たくり足とはローソク足の下ヒゲが長く実体の小さなもの(チャートの黄色の部分)で、相場が十分に下落した所で出れば買い場となる確率が高いといわれている。

ここ連日、金融市場はGES救済よりも米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの救済に焦点が当たっている。リーマンが破綻するようなことになれば、想定元本5京9,000兆円といわれるデリバティブ市場(金利スワップ・クレジットデフォルトスワップ(CDS)・エクイティデリバティブなどの複雑な金融派生商品の市場)に大きな影響を及ぼすことになり、米金融当局はなんらかの形で救済せざるを得ないだろう。取引所で取引されている金融商品は相場が暴落しても金融システムには影響を及ぼさないが、相対で取引されている店頭市場の金融商品は、相手方の会社がなくなってしまうと受け渡し不能となってしまい、金融システムが破綻してしまうのである。上記のような処理が難しい取引が大量に存在するため、「システミックな金融リスク」回避のためにFRB と財務省は問題解決に向け必死になっている。

(注):システミックな金融リスクとはA社が債務不履行になると、A社からの資金を当てにしていたB社が破綻するといった連鎖がC社、D社と連鎖していくこと。結果、健全な会社まで金融収縮で資金繰りがつかなくなり資産が売却されることになる。

9月11日にウォールストリート・ジャーナルが「リーマンの買い手候補に米銀2位のバンク・オブ・アメリカが含まれる」と報道し米国株が急騰しているが、リーマンの買収交渉がなかなかまとまらないのは、帳簿(バランスシート)の中身がわからないからであろう。特にクレジットデフォルトスワップ(CDS)関連の損益については米国の信用リスクの指標である「マークイットCDX北米投資適格指数」がすでに機能しておらず、誰も本当の損益はわからない状態にある。9月7日には「国際スワップデリバティブ協会(ISDA)が米住宅金融投資会社ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の公的管理はクレジットデフォルトスワップ(CDS)の決済を必要とする事由と見なされる公算が大きいとの見解を示した」「CDSの大手ディーラー13社が全会一致で、ISDAが両社債CDSの決済プロセスを設定するべきだとの見解を示した」(ブルームバーグ)との報道があったが、この CDS市場の規模の問題が現在の金融不安の根底にある。62兆ドルと言われるCDS市場が動揺すれば取引先リスクが増大し、さらなる金融収縮をもたらすだけに、今後のCDS関連の報道には注意したい。

(注):CDSは保証金を支払うことによって、債務不履行が起こった時に損害額を保証してもらう、あるいは保証金を受け取ることによって、債務不履行が起こった時に損害額を保証する取引である。前者は倒産保険の加入者、後者は連帯保証人と言い換えてもよい。CDSについては、第30回「インフレと景気減速の綱引き」、第31回「レバレッジの解消とセーフティネット」でも触れているので、そちらも参照されたい。

来週からの金融機関の決算発表も含め、当面、金融不安がらみの報道で相場が乱高下する展開が続きそうだ。GSE救済に関しては米上院銀行委員会が9 月16日に、米下院金融委員会が9月24日に公聴会を予定している。ポールソン米財務長官と米連邦住宅金融局(FHFA)のロックハート局長らが証言するらしいが、ここでGSEがらみの悪材料が出てくることを想定しておきたい。また24日に予定されている米上下両院合同経済委員会でのバーナンキFRB議長の証言も市場の注目を集めよう。証言内容は「クレジットクランチ、住宅危機、インフレ問題のほか、景気下降という現在の経済状況などによる影響」となっている。


(出所:石原順、ブルームバーグ)

現在、シカゴ市場で話題となっているのは、ユーロの売りポジションである。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した9月5日時点のシカゴIMM通貨先物のポジションは、対ドルでユーロ発足以来の最大のユーロ売りとなっている。ファンダメンタルズからはユーロを買う理由はないが、何かをきっかけにこれらの売りポジションが巻き戻されると急反発する可能性もあるので注意したい。現在のような相場変動率が高い局面では、売り・買いのいずれもストップ・ロスを置いておかないと思わぬ損失を被る可能性がある。信用収縮でファンドを中心とした米国マネーのリパトリ(本国回帰)が続いており、2000年から始まったドル安・円安・原油高といったバブル相場が猛烈な勢いで収縮している最中にあって、値頃感からの売買は通用しなくなっている。上げ幅も大きかった分、その反動も大きい。現在の市場は2000年以降のバブル相場(上げ幅)の全修正相場となっているので、思わぬ大変動で資産を減らさないように資産管理に重点をおくデフェンシブな運用を心がけたい。

ユーロ/ドル(日足) 支持線と抵抗線


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足) 支持線と抵抗線


(出所:石原順、ブルームバーグ)

豪ドル/円(日足) 支持線と抵抗線


(出所:石原順、ブルームバーグ)

WTI原油先物(日足) 支持線と抵抗線


(出所:石原順、ブルームバーグ)

円相場の相場変動幅(ATR)の動向

ドル/円およびクロス円市場は「円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する」という市場の構造を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージトゥルーレンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。黄色の期間は円の売り放置やキャリートレードはリスクが高くなる。筆者はデイトレードおよびスウィングトレードでも緑の期間は円売り、黄色の期間は円買いを中心にしている。2008年相場ではうまく機能しているが、ATR上昇で円安、ATR下落で円高となった局面も過去には多いので注意されたい。

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ランド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯


(出所:石原順、ブルームバーグ)

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