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第33回 ドル売り・原油買いの巻き戻し

2008年7月25日

原油相場が急落している。7月11日に147ドル台まで買われた原油もトレンドを決すると言われる33日移動平均線を大きく割り込んだ。現在、原油価格の下落でヘッジファンド・商品投資顧問(CTA)・投信、そして新たな収益の柱としてコモディティ部門を拡大していた投資銀行の大幅な損失が噂されている。米国の原油先物市場はマーケット規模が13兆円程度の市場なので簡単に暴騰・暴落が起こりうるが、「上海株につづくバブル崩壊相場となるのではないか」と投機筋の注目を集めている。

WTI原油先物(日足) 33日移動平均ボリンジャーバンド


(出所:石原順、ブルームバーグ)

原油市場急落のトリガーとなったのは、7月15日に米証券取引委員会(SEC)のコックス委員長が発表した空売り規制措置である。コックス委員長は「証券会社やフレディマック、ファニーメイの株式空売りを規制する緊急制度を導入する」と述べ、15日公布の空売り規制措置は7月21日から同月29日まで適用されることとなった(適用期間は土日を含む30日間に延長される可能性もある)。すでに6月17日から米議会下院が原油先物投機についての調査を開始し、「持ち高制限」や「証拠金の引き上げ」の法案が提出されるとの噂で上値の重くなっていた原油市場だが、この空売り規制措置に慌てたのはヘッジファンドである。ここ数カ月は長期投資家である年金の原油(ETF)のポジション縮小で需給が悪化する中、原油上昇を牽引してきたのはヘッジファンドを中心とするファンド勢である。ヘッジファンドの多くは一貫して「ドル売り・インフレ買い」のポジションをとってきた。すなわち、「株売り・ドル売り・原油買い」である。とくに「株売り・原油買い」は裁定取引の形で売買されているため、株式市場の空売り規制措置はこのポジションの巻き戻しを誘発し、今週の市場は「株買い・原油売り」で反応した。

ドルインデックス(青・目盛を反転させているので上昇するほどドル安)とWTI原油先物(赤)の価格推移 2002年からの「ドル売り・インフレ買い」相場は反転するか?


(出所:石原順、ブルームバーグ)

今回の原油価格の下落やドルの上昇は投機筋の損切りや買い戻し主導であり、短期間で終了するとの見方もあるが、ここから2ヵ月程度の原油価格の動向には最大の注意を払うべきであろう。原油価格がさらに下落すれば、世界規模でポートフォリオの組み換えが起こるからだ。これまで産油国はドル安で購買力が目減りした分を原油価格上昇で補てんしてきた。しかし、原油価格の上昇ももう限界に近いとみた一部のファンドは、ここ数年続いてきた「資源国買いトレンド」や「ドル売りトレンド」が反転する可能性に懸けたポジションの構築している。

現在、米国は大量の流動性供給と大幅な金融緩和政策を採用しており、ポリシーミックスからはドル高は持続不可能の状況にある。前回のレポートで述べたように持続可能なドル高は利上げか、実弾介入しかない。今年後半の相場はFRBおよび米国政府の政策と実体経済悪の闘いとなるだろう。

相場の不確実性が増大している現在、外為市場の最も明確な道標となるのは「米国の金利」である。米金利上昇でドル高・米金利低下でドル安となるが、米国の投資銀行のレポートを読むと判で押したように「今後商品相場は下落に向かい消費不況でインフレ懸念は後退する可能性が高い。FRBは年明けにも<利下げ>を行う」との見通しになっている。この見通しが当たるなら3月からのドル高の持続期間は、長くて2008年末までの修正高ということになる。プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁のように「政策の反転は遅れるよりは早めに開始すべきであり、FRBはもっと総合インフレに気を配るべきだ」とタカ派の意見もあるが、恐慌阻止がプライオリティーのバーナンキFRB議長は当面政策金利を動かさないと筆者はみている。それゆえ2008年のドルの上値は限定的なものとなろう。

米国2年国債金利とドル/円(週足) 米国金利連動相場が続いている


(出所:石原順、ブルームバーグ)

現在はあらゆる市場が相場の分岐点にあるといってよいだろう。中長期の観測からはこの2~3か月の動きは大変重要である。ここで相場を読み違えると大きな損失を被る局面である。先週のレポートで述べたドル/円相場の「フラクラル・パターン」もここまではぴったりであるが、空売り規制措置が7月29日まで続くなか、来週以降の相場で108円60銭を抜いて110円を目指す相場となるのか、あるいは反落するのか、相場の転換点が接近していると思われる。

2007年からのドル/円相場


(出所:石原順、ブルームバーグ)

先週は変動率が低い位置から上昇し、久々にトレンド(方向性が)でるかと思われた外為市場であったが、世界中景気の減速で「悪さ比べ」となっているため簡単にトレンドは出ないようだ。対円相場のATRは再び低下している。変動率が上がらないと、外為市場の焦点は金利差とその方向性予測に収斂していく。ファンダメンタルズからは全通貨売りの状況にあり、2国間の取引である外為市場は気迷い状態にあるといってよいだろう。米国も日本も景気はよくない。24日に財務省が発表した日本の6月の貿易収支は原油価格の上昇をうけて88%減少の1386億円となった。予想の5000億円を大きく下回る数字である。貿易黒字は円高を唱える人達の最大の根拠であるが、「低金利・貿易黒字減少」では円を積極的に買う理由はなくなってしまう。ここ数週間の外為市場は長期プレーヤーが様子見を続けるなか、ファンド筋の短期売買ばかりが目立っている。7月からはなんだかんだいって往来相場の展開が続いており、相場の方向性は確認されていない。この先、空売り規制措置の反動も予想される。波乱含みの原油市場の動向や外為市場の方向性が明確になるまでは「決め打ち」は避けて、短期売買とポジションの縮小に徹するべきだろう。

豪ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ユーロ/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ランド/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

ドル/円(日足)とATR 緑のATR低下期間が円売りの有効時間帯
(注:ATR上昇でも円安トレンドが発生することはある)


(出所:石原順、ブルームバーグ)

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