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第347回 ブラジル企業の近況

2013年5月7日

今日のまとめ

  1. アムベブはカーニバル期間の天候不順で悪決算だった
  2. ペトロブラスはリオデジャネイロ沖油田開発の先行投資に苦しんでいる
  3. ナショナル・スチールは多額の負債を抱え、利払いに不安を残す
  4. バーレは中国の景気の鈍化で過大投資が露呈
  5. バンコ・ブラデスコは堅実に経営されている

アムベブ

アムベブ(ティッカー・シンボル:ABV)はブラジル最大のビール会社です。同社の国内市場占有率は69%です。

4月30日に発表された同社の決算は同社らしからぬ、悪いものでした。

EPSは市場予想0.81ブラジル・レアルに対し結果0.75ブラジル・レアル、売上高は市場予想815億ブラジル・レアルに対し結果727.7億ブラジル・レアルでした。

ビールの出荷量が前年比-6.8%と落ち込んだ事が悪い決算になった主な原因です。とりわけブラジル国内の出荷量は-7.1%と急激に落ち込みました。

例年よりカーニバルの開催期間が早いタイミングだったこと、折悪く悪天候に見舞われたことなどが消費低迷の原因だとされています。

3月に入ってもこの天候不順は続き、ビールの消費量は低迷しました。加えて食品価格のインフレが加速したこと、可処分所得成長率が鈍化したこともビールの消費量に悪影響を与えました。

良いニュースとしては4月以降、ビールの売れ行きが少し持ち直してきている点です。

アムベブはコスト削減プログラムを打ち出し、利益を確保するとともに、限定的な特売戦略によりビール消費を促す計画を持っています。なお2013年のビール成長率は0%からマイナス4%を見込んでいます。

同社はパッケージを刷新した新製品を続々出す計画であり、それも需要を刺激すると思われます。

長期でみるとアムベブはしっかりと経営されてきました。1997年に僅か20%台だったEBITDAマージンは現在46.3%になっています。

最近の業績低迷は経営上の失敗と言うより外部環境によるものと考えて良さそうです。

来年はFIFAワールドカップがブラジルで開催されることもあり、ビールの消費量は持ち直すと見られています。

アムベブ(ABV、データ出典:シー・エス・アイ)

ペトロブラス

ペトロブラス(ティッカー・シンボル:PBR)はブラジル政府が議決権の61%を所有する石油会社です。

2012年の石油ならびに天然ガスの生産実績は260万バレル/日で、これはアメリカのシェブロン(ティッカー・シンボル:CVX)にほぼ匹敵する生産高です。

また確認埋蔵量(米国証券取引委員会基準)は123億BOEで、上場企業としてはエクソン・モービル(ティッカー・シンボル:XOM)の252億BOE、BPの168億BOE、ロイヤルダッチ・シェルの133億BOEに次いで、第4位となります。

4月29日に発表された第1四半期の決算発表では純利益が市場予想70億ブラジル・レアルに対し結果76.9億ブラジル・レアルと予想を上回りました。

売上高は725.4億ブラジル・レアルで前年同期比+10%でした。

今期は予め計画されていた保全作業のため一部の油田を休止点検したため、生産高は前年同期比-5%でした。

1月30日付けでブラジル国内のディーゼル販売価格が+5.4%、ガソリン販売価格が+6.6%値上げされました。

ペトロブラスは石油の探索・生産などの川上部門だけでなく、精製・販売など所謂、川下部門も手掛けています。売上比率で言えば川下部門の方が大きく、国内で探索・生産される石油で賄いきれない部分は輸入に頼っています。

リオデジャネイロ沖のプリサルト層に巨大な油田が相次いで発見されており、それらの油田の開発・生産に向けて高水準の先行投資を行っています。2013年から17年にかけての投資額は2,367億米ドルが予定されています。目下はこの莫大な先行投資が同社の業績を圧迫し、それが株価低迷の一因となっています。

現在、プリサルト層からの生産は全体の7%程度に過ぎません。しかし2016年頃からリオデジャネイロ沖のルラ油田の本格生産が開始されると、プリサルト層からの生産は全体の30%に達すると見られています。

それらの油田が生産を開始すれば川上・川下のバランスが改善し、収益性が改善するものと思われます。

ペトロブラス(PBR、データ出典:シー・エス・アイ)

ナショナル・スチール

ナショナル・スチール(ティッカー・シンボル:SID)は1941年に創業されたブラジルを代表する製鉄会社のひとつです。

同社は鉄鋼生産に必要な鉄鉱石やエネルギーなどを自前で供給できる、垂直統合されたビジネス・モデルです。

売上高の約55%が鉄鋼部門、35%が鉄鉱石部門、残りがセメントやエネルギー部門からもたらされています。

同社の鉄鋼部門は所謂、フラット(鋼板)ではブラジル第2位です。

同社の顧客を見ると建設・インフラが売上高の22%、自動車産業が15%、パッケージングが9%、家電やメーカーが12%、卸売が42%となっています。

なお、同社のバランスシートには157億ブラジル・レアルの負債が載っており、2012年の利払いコストだけで22.5億ブラジル・レアルかかりました。純負債対EBITDA(利払い・税・償却前利益)比率は3.47倍で、債務の負担は大きいです。

製鉄業のビジネスは極めて市況や景気に左右されやすく、景気が悪くなるとたちまち利払い能力が問題になってきます。

その意味ではナショナル・スチールは投資対象としては、片時も安心出来ない、ハイリスクな銘柄と言えます。

ナショナル・スチール(SID、データ出典:シー・エス・アイ)

バーレ

バーレ(ティッカー・シンボル:VALE)はブラジル最大の鉄鉱石の会社です。2012年の通年の売上高は465億ドルでした。

同社の鉄鉱石は主に中国に輸出されています。従って、同社の株価は中国の景気と密接な関係があります。

長期的にみて中国からの鉄鉱石の引き合いがまだまだ増大すると判断したバーレは、近年、先行投資を拡大しています。過去5年間の累積先行投資額は676億ドルにものぼります。

その関係もあって2012年末の時点で同社のバランスシート上には244億ドルもの負債が載っています。

あいにく足下の中国の景気はいまひとつで、鉄鉱石の需要も強くありません。ただ増産の判断は、ひとたび投資の意思決定をしてしまうと、簡単には翻せません。このため同社の業績はブラジル国内の景気云々に左右されるというより、拡張し過ぎてしまった事業計画をどう下方修正するかということにかかっていると言えます。

言い換えれば「ブラジルの経済成長を買う」という切り口で投資する対象としては、問題のある銘柄だということです。

バーレ(VALE、データ出典:シー・エス・アイ)

バンコ・ブラデスコ

バンコ・ブラデスコ(ティッカー・シンボル:BBD)は1943年に創業されたブラジル第3位の銀行グループで、最も堅実に経営されている銀行です。同行はまた保険部門も持っています。

同行の総資産は2013年3月末の時点で8,945億ブラジル・レアルです。ブラジル全体の要求払い預金残高の16.9%、セービング口座預金残高の13.9%、貸付残高の11.3%の市場占有率を誇っています。

支店数は4,687店舗です。

バンコ・ブラデスコの2013年第1四半期の時点での純金利マージンは7.2%、株主資本利益率は19.8%、総資産利益率は1.3%です。またティアワン・キャピタル・レシオ(バーゼルII)は11.0%です。

貸付ポートフォリオ全体に占める支払遅延(90日以上)ローン比率は4.0%で、2012年6月以来、この数字は減少しつつあります。

バンコ・ブラデスコ(BBD、データ出典:シー・エス・アイ)


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