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第154回 「インド版エンロン事件」サティヤム・コンピュータのスキャンダル

2009年1月8日

今日のまとめ

  1. サティヤムの会長が長年に渡って虚偽の会計報告をしていたことを告白
  2. サティヤムを巡る一連のドタバタがなぜ起こったのか疑問が氷解した
  3. ソフトウエア導入など、プロジェクト毎の契約が多いのでサティヤムの顧客リストに大きな価値があるとは思えない

サティヤムのスキャンダル

最近、このコラムで取り上げることが多かったサティヤム・コンピュータ(SAY)ですが、この事件はとんでもない結末を迎えました。

1月10日の取締役会を直前に控えた昨日、サティヤムの創業者で会長であるB.ラマリンガ・ラジュが過去数年に渡って架空の売上高を計上していたこと、バランスシート上に載っている筈の500億ルピーのキャッシュは実は存在しないことなどを告白する公開状を取締役会とインド証券取引委員会に提出しました。このニュースを受けてムンバイ市場ではサティヤムは77%の暴落、SENSEX指数そのものも7%の急落となりました。

最初はちょっとした操作だったのが、どんどん雪だるま式にウソが大きくなり、最後には隠し切れなくなって破綻したいきさつは先の米国のヘッジファンド・マネージャー、バーニー・メードフの事件やエンロンのスキャンダルを彷彿とさせます。こうして全てが明るみに出てしまうと去年の年末から起こった同社を巡るいろいろな「珍事」がなぜ起こったのか?という疑問が氷解します。

ラジュの粉飾手法

ラジュはサティヤムが売上目標を達成できなくなると架空の売上を計上し、ガイダンスを達成したことにしました。しかし実際には顧客からの入金が無いのでバランスシート上に積みあがっていることになっているキャッシュは存在しません。

サティヤムの株価が低いままに放置されると他のITアウトソーシングのライバルから買収提案が出される恐れがあり、敵対買収が成立した場合、ラジュのウソが発覚します。そこでラジュはサティヤムの株価評価を吊り上げるため、ますますライバルの他社より業績が良いように数字を操作するとともに彼の所有するサティヤム株を担保として金融機関に持ち込み、それを借金のかたに2.5億ドルの「見せ金」のキャッシュを作ったわけです。(前回のレポートでサティヤムのアナリスト・コンセンサス予想の推移が抜きん出て良い点を指摘しました。)

不正の発覚

しかしそうやって「見せ金」を作るやり方も限界に来たので、ラジュの2人の息子が経営する建設会社と不動産会社をサティヤムと合併させ、粉飾を続けようと試みたわけです。しかし一般の株主の目から見れば「IT会社が建設業に進出する」などと言うのは滑稽極まりないビジネス戦略で、投資家がそんな暴挙を許す筈がありません。結局、買収提案の説明のために開催されたカンファレンス・コールは大荒れになり、サティヤムの株価は暴落、その日の引け後にラジュは建設会社と不動産会社の買収をやめると発表しました。

しかしサティヤム株の暴落で借金の担保に供出していたラジュの持ち株は「どうやら銀行によって場で叩き売られてしまったらしい」という噂が出ました。当初12月末に予定されていた取締役会の延期はそういう疑惑が蔓延する中で慌しく決められたことです。

取締役が続々辞任

この取締役会の延期に前後してサティヤムの取締役の辞任が相次ぎました。実はサティヤムは元インド工科大学(IIT=アメリカのMITに匹敵すると言われるエリート校です)のディレクターや、インドの元内閣書記、ハーバード大学の教授(2名)、インドのビジネス・スクールの学長、インテルのペンティウム・チップの設計者など、きら星のような重役が名前を連ねています。この役員構成を見るとまさかサティヤムに深刻な企業統治上の問題があることなど普通の投資家なら知る由も無いでしょう。

世界銀行のスキャンダル

そしてクリスマスの前後にサティヤムの顧客である世界銀行が「請求書が無い支払いが発覚し、一部職員がアウトソース契約から利益を蒙った疑いがある」という理由でサティヤム・コンピュータを向こう8年間、「出入り禁止」にすると発表しました。

ラジュはメリルリンチをアドバイザーに立てて株価てこ入れ策を模索すると発表しましたが、今回の発表の直後、メリルは「アドバイザーを降りる」と宣言しています。

今後の展開

さて、サティヤムはソニー、ネスレ、ゼネラル・エレクトリック、キャタピラー、日産自動車など錚々たる顧客を抱えています。同社の主業務は大企業向けソフトウエアの導入支援です。BPOなどと違ってこれらの役務はプロジェクト毎であるケースが多いと思われますので、今回のスキャンダルの後、一体、どれくらいの顧客がサティヤムとの取引関係を維持するかは疑問です。また、長年に渡る粉飾決算でサティヤムの企業価値を査定するのはかなりむずかしい作業になると思います。


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