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第151回 インド株投資家の信頼を揺さぶる買収

2008年12月17日

今日のまとめ

  1. サティヤムが本業と関係ない事業を買収すると発表した
  2. 買収先企業がサティヤム経営陣の関連会社だったので利害相反が出た
  3. サティヤム株の暴落を見て発表は取り消しになった
  4. 「インド株式会社」のイメージ・ダウンは避けられない

ITアウトソース企業が不動産業に進出?

12月16日にインド株式投資家にとって「寝耳に水」の事件が起こりました。それはITアウトソーシングの大手であるサティヤム・コンピュータ(SAY)が一度に建設会社と不動産会社を買収すると発表したのです。

ひとつ目の買収ターゲットは道路、橋梁、鉄道などを建設する上場会社、メイタス・インフラです。サティヤムはメイタス・インフラの51%を3億ドルで買収すると発表しました。 二つ目の会社は団地や商業モールを開発する非公開会社、メイタス・プロパティーズです。同社は所有土地面積で見るとインド最大手の不動産会社、DLFの約60%程度の規模です。サティヤムはメイタス・プロパティーズの100%株式を13億ドルで取得すると発表しました。

この発表に際してサティヤムの創業会長、Bラマリンガ・ラジュは「本業のITアウトソーシングのリクスを除去するために建設業と不動産業に進出する。これで先進国の不況からサティヤムを守れる」という旨の発表をしました。

ITアウトソーシングの企業に投資する心算でサティヤムの株主となった投資家がこの発表に黙っているわけはありません。この発表を受けてサティヤムの株はニューヨーク市場で55%の暴落となりました。

大荒れのカンファレンス・コール

この発表に続いて執り行われた買収説明のカンファレンス・コールは私が過去に聞いた多くのカンファレンス・コールの中でも最も荒れた内容になり、アナリストが経営陣に罵声を浴びせる場面が延々と続きました。それもその筈、今回サティヤムが買収すると発表した2社はサティヤムの経営トップがサティヤムとは別に経営する事業だからです。つまりサティヤムにこれらの企業を買収させることで経営トップはこれらの企業を「売り抜ける」ことになるわけです。経営陣の説明では「これらの買収は取締役会の満場一致での承諾を得ている」との事でしたが、アナリストや投資家からは「なぜこのような大事な買収が株主投票に付されないのか納得がいかない」という声が上がりました。

会社側は慌てて買収を中止すると発表

昨日の株価暴落とカンファレンス・コールでの投資家の反応ぶりを見て驚いたサティヤムの経営者は引け後、「投資家の意見に従って、この買収発表を取り下げる」との声明を出しました。このためサティヤムの株価は引け値の$5.70から約50%程度アフター・マーケットで騰がり、$8.8近辺の気配となっています。それでも前日の引け値の$12.55からは30%近く下落した計算になります。

さて、この買収が取り下げになるのであれば明日からまた何事も無かったかのように普通の取引に戻れるかと言えば、それはそうとも言えないと思います。なぜならカンファレンス・コール中、サティヤムの経営陣は「現在の先進国の厳しき不景気を考えるとITアウトソーシング事業にはもはや適当な買収案件は無い。」と本業の見通しの暗さを完全に認めるコメントをしたからです。また、「本業ではいままでの成長を維持するのは困難だ」というコメントも出ました。

「インド株式会社」に対して上がる疑問の声

インドの企業は他の新興国の企業に比べて、一般にコーポレート・ガバナンスがしっかりしているという評価があります。しかしその中で弱点があるとすれば同族的な経営になっているグループ企業間での資本取引です。例えばインド屈指のタタ財閥の傘下企業であるタタ・スチールが去年、欧州の鉄鋼メーカー、コーラスを買収すると名乗り出たとき、ITアウトソーシング企業、TCSの株主は大きな売り物が出るのではないか?と気が気ではありませんでした。なぜならタタ・スチールが背負い込む負債をやりくりするためにタタ財閥がTCSの株式を処分するのではないかという観測が出たからです。

このように同族的経営が問題になるのは今回が初めてではありません。しかしカンファレンス・コールの中でひとりのアナリストが叫んでいたように「いまこんなに市場環境が悪いときに何故インド企業のイメージ・ダウンになるようなことをするのだ!」という感想は今回の事件を見たインド株投資家の誰もが持ったのではないでしょうか?


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