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第147回 中国は世界を救えるか?

2008年11月17日

今日のまとめ

  1. 4兆人民元の景気刺激策への市場の反応はいまひとつだった
  2. 景気刺激策の財源がどう確保されるのかという問題がある
  3. 国民のマインドの萎縮を防ぐため「株式買い支えファンド」案も浮上
  4. 新興国が先進国の景気後退を喰い止めたという例は過去に無い

中国の景気刺激策

先週、中国政府は4兆人民元にのぼる大型の景気刺激策を発表しました。この発表に対する市場関係者の反応は残念ながらいまひとつでした。

これには幾つかの理由があります。先ず4兆人民元の予算のうち、1~2兆人民元はかねてから計画されてきたものであり、新規積み増し部分はそれほど多くないと指摘する向きがあります。

加えて景気刺激策から繰り出される資金はどちらかといえば来年以降に比重が偏っており前倒しの支出により景気後退を未然に食い止めるというシナリオは望み薄になったことも関係していると思います。

いずれにせよ今回の景気刺激策がもたらす中国GDP成長率押上げ効果としては1~2%と見るエコノミストが多いです。

一方、実態経済の減速を示す状況証拠はどんどん積み上がっています。中国の10月の工業生産は+8.2%と9月の+11.4%から大幅な減速になりました。とりわけ鉄鋼の生産は▼17%と落ち込みが激しいです。また発電に関しても過去10年で初めてマイナス成長となりました。

景気刺激策に投入される資金の財源の問題

次に4兆人民元の景気刺激策がいまひとつ好感されなかったもうひとつの問題として、その財源をどうするのかという問題があります。

これについてはバンカメリカのエコノミストのように「中国政府は自分のポケットからその予算をやりくりできる」という主張があります。

その一方で中国政府が保有している米国財務省証券を市場で売却し、その原資にするというやり方がいちばんスッキリした方法だという意見も多く聞かれました。その場合、米国政府の資金調達コストは上昇するでしょうし、住宅ローン金利も上昇しかねません。

「株式買い支えファンド」?

こうした中で中国政府はもっと直接的に株式市場に働きかけ、中国人のマインドの萎縮を防ぐべきだという主張も勢力を増しています。先週、これに関して「株式買い支えファンド」の準備を政府が進めているという観測が浮上しました。

中国社会科学院の世界経済研究所に「政策提言」と題された匿名の提案書が送られてきました。

その「政策提言」によると中国の株式市場の暴落を防ぐために6000~8000億人民元を投じ市場で50銘柄の主力株を買い支えるべきだと主張されています。出動のタイミングとしては上海総合指数が1500を割り込んだ時だとしています。

中国社会科学院世界経済研究所の幹部はその「政策提言」の存在を肯定するとともに同レポートは中国の金融界から好意的に受け入れられ、世界経済研究所にもこれに賛同する多くの声が寄せられことを認めました。さらに「中国の金融当局はこのレポートで主張されているような投資ファンドの設立をかねてから検討してきた」とつけ加えました。

このレポートによれば最悪のケースでは上海総合指数は800から1000まで下落する可能性もあるとしています。そうなってから政府の救済ファンドが出動したのでは遅すぎます。パニック売りを未然に防ぐため政府は指数が1500になったら速やかに出動をかけるべきだとその「政策提言」は論じています。

この「政策提言」の著者によれば上海総合指数が1500の水準では9300億人民元あれば流通株の殆んど買いきることができるが、流通玉の3分の1程度を買えば市場を安定化することは可能だとしています。つまり実際には3000~4000億人民元あればよいわけです。

このレポートはさらに向こう3年にわたってもともと非流通株だった政府の持ち株で最近の非流通株改革によって流通可能となった分に関しては今一度ロックアップし直すことを提言しています。

また同レポートは上海総合指数が1500を割り込んだら生保や社会保障基金などの機関投資家が株式比率を下げることを禁止すべきだと主張しています。

(出典:EEO)

いずれにせよ上海総合指数が先週後半に持ち直した理由は4兆人民元の景気刺激策の発表を好感したと言うよりはむしろ「株式買い支えファンド」の材料に勇気付けられた面が大きかったのです。

過去の景気後退局面との相違点

さて、今回が90年代のアジア通貨危機などの状況と違う点について考えてみると、先ず今回は全世界が同時に景気後退に直面しているという点が挙げられます。過去の新興国の危機ではかならず世界のどこかに経済がしっかりしている地域があり、それが救いとなりました。今回は世界が「中国に頑張ってもらうしかない」と期待しているわけであり、それは重い負担です。実際、新興国が先進国の景気後退を喰い止めたという例は過去にはありません。

次に今回は中国の産業構造がこれまでとは違っているという面も指摘されるべきです。具体的には中国は近年、重工業への傾斜をどんどん進めてきました。それは中国経済が資本集約的な体質になってきていることに他なりません。資本集約的なビジネスに於いては収益性の確保のためには操業度を落とすわけにはゆきませんから売上高、換言すれば出荷量をなんとしてでも確保するということが極めて重要になります。

従って公共事業などを増やすことで国内需要を創出することも重要ですし、先進国における需要が減退してくれば輸出税の還付などの「補助金」を増やす必要も出ます。実際、来月から3700の品目について輸出税の還付を増やすことがすでに発表されています。それは外国との貿易摩擦が今後激化することを意味するのではないでしょうか。


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