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第134回 インドITアウトソーシング業界の近況

2008年7月10日

今日のまとめ

  1. インフォシスの決算は市場予想を上回った
  2. 先週の米国金融市場の不安が投資家の期待を下げた
  3. インド・ルピー安の恩恵だけでは上値は追えない

決算シーズンが始まる

インドのITアウトソーシング企業の決算発表のシーズンが到来しました。下のグラフは2009年度第1四半期(=つまり2008年6月期)のインドの主要 ITアウトソーシング企業のコンセンサス予想を示したものです。このうち先陣を切ってすでに決算を発表したインフォシス(ティッカー:INFY)に関しては予想値ではなく、実績の数字を示してあります。

インフォシスの決算を吟味する

先週金曜日に発表されたインフォシスの決算は市場予想を上回る内容でした。

銘柄名 インフォシス ティッカー INFY
6月期売上高実績 11.6億ドル コンセンサス予想 11.5億ドル
6月期EPS実績 54セント コンセンサス予想 51セント
9月期売上高ガイダンス 12.15から2・25億ドル コンセンサス予想 12.1億ドル
9月期EPSガイダンス 55~56セント コンセンサス予想 56セント
08年売上高ガイダンス 49.7~50.5億ドル コンセンサス予想 50.3億ドル
08年EPSガイダンス $2.32~2.36 コンセンサス予想 $2.31

(出典:コンテクスチュアル・インベストメンツ)

しかし、好決算にも関らず金曜日の立会ではインフォシスのADRは▼13.3%も急落しました。これは来期以降のガイダンスが投資家の当初の期待ほど引き上げられなかったのが原因です。このところのインド・ルピー安で「インドのITアウトソーシング企業は少し為替面で楽になっている」という見方が支配的でした。先月までのインフォシスの経営陣の口ぶりもそういう楽観的な見通しを反映したものでした。しかし先週、ファニー・メイ(FNM)、フレディ・マック (FRE)、リーマン・ブラザーズ(LEH)などの株価が急落し、再び米国の金融サービス・セクターの経営の健全性に対する不透明感が台頭しています。そういうニュアンスを微妙に反映し、インフォシス経営陣が今後の見通しをトーン・ダウンしたことが嫌気されたのだと思います。

北米の金融サービスへの依存

インフォシスは引き続き銀行や保険などの金融サービス業の顧客に対する依存度が高いです。下の表は同社の顧客業種別売上高ですが、6月期の売上高に占める銀行業の比率は27.7%でした。通信の比率が下がっているのはインフォシスの最大顧客であるブリティッシュ・テレコムのビジネスが減っているからです。ブリティッシュ・テレコムの総売り上げに占める割合は10.3%から7.9%へと下がりました。

インフォシスの顧客業種別売上比率(%)
  07年6月(LTM) 2008年3月 2008年6月
保険 7.2 7 6.8
銀行 30 26.9 27.7
製造業 13.3 16.4 18.4
小売 10.3 11.9 12.2
通信 20.4 22.5 19.7
公共・エネルギー 5.2 5.2 5.4
運輸 2.2 2.8 2.4
サービス業 7.8 5.5 5.5
その他 3.6 1.8 1.9

(出典:インフォシス)

また地域別では北米への依存度が62%と高いです。この地域別売上構成は近年、余り変動していません。

一方、役務内容別で見るとアプリケーションの開発、保全、ならびにコンサルティング&パッケージ・インプリメンテーションが高い比率を占めています。

インフォシスの役務内容別売上シェア(%)
  07年6月(LTM) 2008年3月 2008年6月
アプリケーション開発 22.5 21.8 21.4
アプリケーション保全 24.6 23.4 22
BPO 5 6 6.3
コンサルティング
パッケージ・インプリメンテーション
22 24.1 23.7
インフラ管理 4.7 4.6 5.7
製品エンジニアリング 1.5 1.8 2.2
システム統合 2.5 3 3.1
テスティング 7.2 7.2 7.4
その他 6.2 4.4 4.3
プロダクツ 3.8 3.7 3.9

(出典:インフォシス)

ブリティッシュ・テレコムからのビジネスが減少しているので大口顧客の成長が鈍化しているように見えますが、実際はブリティッシュ・テレコムを除いたトップ10顧客の今期の成長は3月期比+3.8%と堅調でした。またトップ10以外の顧客の成長率も+3.9%と確りしています。インフォシスは年間売上高のうち約46%を上半期に達成するだろうと予想しています。これは売上の54%が下半期に集中することを示唆しているわけです。しかし下半期の方が上半期より売上が多いのは例年のパターンであり、今年だけが特別下半期への依存度が高いわけではありません。

今期は49の新規顧客が追加されました。これは最近のトレンドより若干多い数字であり、全体としてITアウトソーシングのビジネスがまだまだ健全であることの証拠だと言えます。今期のハイライトとしては製造業、小売業などの顧客からの引き合いが強かった点です。とりわけ製造業はドル安で景気が良かったのが活発な引き合いの理由と考えられます。インフォシスのコストの管理は全般に上手く行っていると言えるでしょう。43.3%のグロスマージンは平常通りと言えます。従業員の給与引き上げのプレッシャーも上手く管理出来ていると思います。一方、役務単価は極めて安定しており、値引きプレッシャーのようなものはありません。

インドの他のITアウトソーシング企業の見通し

インド・ルピーは今後も弱いと考えられることからITアウトソーシング企業にとっては好ましい環境が続きます。インフォシスの経営陣の談話では独立系の BPOは苦しんでいるところが多く、今後、それらの独立系BPOが大手ITアウトソーシング企業に買収されるケースが多発するだろうとのことです。顧客から受注した役務をインド国内の従業員を担当につけることでこなしてゆくという、所謂、グローバル・デリバリー・モデルをインフォシスは提唱しています。今後、このような顧客への価値提案が増えると考えられます。


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