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第116回 メキシコの株式市場(その1)

2008年1月21日

今日のまとめ

  1. 現在のメキシコ株式市場の水準は米国経済の減速をかなり織込み済
  2. メキシコ企業の多くはアメリカでADRを出している
  3. アメリカ・モバイルのリスクは監督当局のルール変更
  4. セメックスは米国経済の鈍化の影響を最も受けると考えられている

メキシコ株式市場の現況

今年のメキシコのEPS成長率は12%を予想しています。これは去年の19%成長より低いですが、今年は世界中の国で同様のEPS成長率の鈍化が見られる為、とりわけメキシコだけが悪いということではありません。実際、下のグラフのようにEPS成長率の減速幅はどちらかといえば軽微な方だと思います。

メキシコの現在のPERは約14倍です。去年、メキシコの株式市場は約10%しか上昇しなかったためブラジルをはじめとする他市場との比較では出遅れ感があります。米国の投資家は「米国経済が減速すると先ず真っ先にその影響を受けるのはメキシコだ」と考えており、これが特に去年後半、メキシコ市場が低迷した原因です。ただ、現在の株価水準はかなりそうした悪材料を織り込んだ水準になっていると思います。

メキシコのADR

メキシコ企業は古くから米国でADRを出してきました。このため個別に買えるADRの種類も比較的豊富です。

ティッカー 銘柄 時価総額 PER 利回り PBR
AMX アメリカ・モバイル 93498 12.4 4.2 6.8
TMX テルメックス 31953 9.3 3.4 2.8
CX セメックス 15849 8.2 3.3 1.09
FMX フェムサ 12390 14.9 2 1.55
TV グルーポ・テレビザ 12090 14 3.2 3.2
KOF コカ・コーラ・フェムサ 8730 13.5 1.6 2
ICA イカ 3034 25 0 1.43
HXM ホーメックス 2630 11.7 NA 3.3
PAC ギャップ 2280 16.7 3.8 1
ASR アスール 1720 19 1.2 1.3
SIM グルーポ・サイメック 1478 7.5 0 1.1
GMK グルマ 1440 9.8 2.7 1.03
OMAB オーマ 1097 17.3 4.5 1.4
VTO ヴィトロ 513 52 1.9 1

そこで今回と次回の2回にわけて代表的なメキシコのADRを紹介してゆきたいと思います。

アメリカ・モバイル(AMX)

アメリカ・モバイルはラテン・アメリカ最大の携帯電話会社です。同社は2000年にテルメックス(TMX)からスピンオフされました。2006年末の時点で1.25億人の加入者数を誇っており、その多くは所謂、プリペイド契約です。主な地域としては:

  • メキシコ 『テルセル』(第1位)
  • ブラジル 『クラーロ』(第3位)
  • アルゼンチン 『CTIモバイル』
  • チリ 『クラーロ』
  • コロンビア 『コムセル』

などが挙げられます。売上の46.6%がメキシコ、16.9%がブラジルから上がっています。同社株は潤沢なキャッシュ・フローや安定した成長など、大口の機関投資家が好みそうな特長を多く揃えています。メキシコの携帯電話市場に於けるアメリカ・モバイルの支配力の強さは下の市場占有率のパイ・チャートからも明らかです。

カルデロン政権はポピュリスト的な政策を標榜しており、その一環として大企業の寡占を摘発してゆく構えを見せています。このため携帯電話通話のターミネーション・チャージ(他社の電話ネットワークに回線を接続することに対して支払われる電話会社間の使用料の決済)が見直しされる可能性があります。現在のターミネーション・チャージは下記のようなスケジュールで漸次引き下げられてゆく予定です。しかし今後の展開によってはこのスケジュールにとらわれず一気に料率が引き下げられることも考えられます。

ターミネーション・チャージの大幅変更は必ずしもアメリカ・モバイルにとって一方的に不利になるとは限りませんが、政治的に不透明感が増していることは投資家にとってはマイナス材料でしょう。アメリカ・モバイルの売上高は今年約17%程度の成長、EPSは23%程度の成長が見込まれています。

テルメックス(TMX)

同社は1820万人の加入者を誇るメキシコ最大の固定電話会社で国内の市場占有率は93%です。1990年代前半に同社株がニューヨーク証券取引所に上場された際はメキシコ株ブームの火付け役となりました。しかしアメリカ・モバイルをスピンオフしてからは低成長の公共株として評価されています。テルメックスは2004年にブラジルの長距離電話会社であるエンブラテルを買収しました。現在はテルメックスの海外の資産を別会社として上場する計画が進行中です。同社の今年の売上高成長はほぼゼロで、EPSは8%程度の成長が見込まれています。

セメックス(CX)

セメックスはラテン・アメリカ最大のセメント・メーカーです。同社はメキシコのみならずスペイン、ベネズエラ、パナマ、米国などに事業を展開しています。一般にセメントは景気敏感な業種だと考えられており、ラテン・アメリカの株の中ではサブプライム問題に絡む米国経済の減速の影響を最も大きく受ける銘柄であると理解されています。このため同社株は高値から45%程度調整しています。世界的な景気の減速を受けて今年のセメックスの売上、利益成長はかなり苦しいと思われますが現在のPERは8倍程度で取引されており、株価純資産倍率でもほぼ1倍の水準です。同社の経営陣は手堅い経営でウォール街の受けも良いことからいずれ来る景気回復局面では面白い投資機会を提供すると考えられます。今年の売上成長率は約10%程度、EPS成長はマイナスになると予想されます。

フェムサ(FMX)

フェムサはラテン・アメリカ最大の飲料の企業です。有名なビールのブランド、『テカテ』、『ドサキ』の他、関連会社、コカ・コーラ・フェムサ(KOF)を通じて清涼飲料のボトリングを展開しています。さらに『OXXO』というコンビニエンス・ストア・チェーンも展開しています。原料費や操業コストの高騰を転嫁すべくフェムサは現在、製品価格を次々に値上げしています。これがどれだけ数量ベースでの売上に悪影響を与えるかが市場から注目されています。同社のビジネスは景気後退に強いディフェンシブな性格があります。今年の売上成長は12%程度、EPS成長は9%程度が予想されています。

グルーポ・テレビザ(TV)

グルーポ・テレビザは世界最大のスペイン語圏のメディア・エンターテイメント企業です。メキシコが本拠地ですが広くラテン・アメリカに事業展開しているほか米国でもヒスパニック向けの事業を展開しています。同社の事業の中核をなしているのはテレビ放送で、総売上高の54%を占めています。次に重要な部門はスカイ・メキシコという衛星放送のビジネスで売上の約20%を占めています。その他に出版やラジオ局、番組の輸出などを手がけています。同社の今年の売上成長率は10%程度、EPS成長率は20%程度が見込まれています。


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