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2017年1月19日

第486回 「現在の円高はいつまで続くのか?・2017年の日本株は米国株より良い成績となりそう?」

トランプのドル高牽制とイエレンの2017年前半利上げ示唆

ウォールストリート・ジャーナルが1月17日にトランプ次期大統領のインタビューを掲載した。トランプはドル高が進んだ場合には、「価値を引き下げる必要があるかもしれない」と述べ、ドル安誘導の可能性に言及した。過去、大統領が為替水準に言及したのは、「円高を望む」という発言(政権一期目)をしたビル・クリントンだけであり、大統領が為替への言及を避けるという伝統はトランプには関係ないようだ。米国は第二期クリントン政権の時代からは、「強いドルは米国の国益」という表向きの看板を掲げていたが、本音のトランプ政権は「強いドルは国益」という看板を下ろす可能性が高く、今後のドル相場はトランプの発言に振り回されそうだ。

1月17日の相場はトランプのインタビュー記事でドル相場は全面安となったが、翌18日にはイエレンFRB議長が、「米経済が完全雇用に近づき、インフレ率がFRBの目標とする2%に向かうなか、緩やかな利上げを実施していくことは理にかなう」と述べたことで、市場はドルの買戻し(ショートカバー)に動き、相場が乱高下する事態となっている。

ドルインデックス先物(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

イエレンはサンフランシスコで行った講演で「中立的な金利に向け動き始めるのを待ち過ぎれば、過度のインフレ、もしくは金融不安定、またはこの双方というリスクに将来的に見舞われる可能性がある」、「こうしたシナリオの下では、FRBは急激な利上げを余儀なくされる可能性があり、そうなれば経済は新たなリセッション(景気後退)に陥る恐れがある」(19日 ロイター)と述べた。

この発言からは、イエレンがトランプ政権に不安を抱いているのが見てとれる。FRBとしては2019年にかけて毎年数回利上げを行う腹積もりらしいが、うまくいかないだろう。歴史的な割高水準まで買い進まれている米国株が、FRBの金融引き締め(複数回の利上げ)に勝てるとは思えないからである。

米国株とそれを除く世界株(1950~2016年) 米国株は買われ過ぎか?

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポートファーバーレポート 2017年1月号『これからどこに行くのか、これまでどこに行ってきたのか?』・掲載は代理店の許可を取っています)

日経平均と日本株の空売り比率(2008年~2016年) 日本株は米国株に比べると割安?
マーク・ファーバーの予測では2017年は日本株・欧州株・新興国株のほうが米国株よりも良い成績となりそうだという

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポートファーバーレポート 2017年1月号『これからどこに行くのか、これまでどこに行ってきたのか?』・掲載は代理店の許可を取っています)

S&P500とPSR(株価売上倍率)中央値
レーガノミクスの再来と言われているトランプノミクスは完全雇用・株価割高の状況で発動される。米国株は支離滅裂なバブルに発展するのか・・?S&P500のPSR(株価売上倍率)中央値からもレーガン時代初期の株価が現在に比べて非常に安かったのは明らかである

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポートファーバーレポート 2017年1月号『これからどこに行くのか、これまでどこに行ってきたのか?』・掲載は代理店の許可を取っています)

家計・NGO純資産の対可処分所得比(1950~2015年)
家計純資産の対個人所得比をみると、80年代初めの資産は所得からみて高くはなかったといえる。一方、現在の資産価格は所得からみると高い

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポートファーバーレポート 2017年1月号『これからどこに行くのか、これまでどこに行ってきたのか?』・掲載は代理店の許可を取っています)

1982年と2016年の米主要経済・金融指標
トランプノミクスはレーガノミクスの再来と言われているが、経済状況は全然違う

(出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポートファーバーレポート 2017年1月号『これからどこに行くのか、これまでどこに行ってきたのか?』・掲載は代理店の許可を取っています)

現在、株もドルも大きく下げないのは、まだ、米国の金利上昇の初期段階だからだ。米国の景気や経済指標は悪くないということで、金利が上がってもドルも米国株も買われるという金利高とドル高と株高の共存は、<利上げ3回目までは続く>からである。米国株が大きく下がらない限り、リスク回避の円高の動きも限定的であろう。米国株は現在、次のトレンド待ちの状況となっているが、仮に売りトレンドが発生して米国株が下げでもそれはヘルシー・コレクション(健全な調整)であり、1月~2月半ばまでの相場の下落は、「ボラタイルなトランプノミクス相場(米国中間選挙までの2年間)の中で、目先の押し目買いの好機となるのではないか?」とみている株式運用者は多い。

NYダウ(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)・±2シグマ(赤)

(出所:石原順)

ゴールドマンサックス(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

NYダウ(週足)と米国の金融政策
「トランプは不動産屋。自分の事業が損をするような政策をするはずがない」という思惑でバブル相場がスタートしている。米利上げ3回目までは基本的にリスクオンか?

(出所:石原順)

トランプ大統領の就任式は織り込み済の材料に市場がどう反応するかが焦点

今週の注目材料は20日に予定されているトランプ第45代大統領の就任式であろう。「大統領就任式の盛り上げ役はデモ隊か?」と揶揄されているが、それはワイドショーレベルの話であって、運用者でもトランプ就任式を神経質に観る向きがあるようだ。

「トランプ次期米大統領は就任初日の20日に四つか五つの分野で大統領令を発令する方針を決めた。スパイサー次期大統領報道官が18日、明らかにした。トランプ氏が高い優先事項とする課題が含まれるといい、重要政策が発表される見通し。メキシコ国境の壁建設による不法移民対策や環太平洋連携協定(TPP)からの離脱など、選挙中に唱えた主要公約のうちいずれかを検討しているとみられる」(19日 ワシントン共同)と報道されているように、11日の記者会見とは違い、政策発表を行う見通しである。トランプの経済政策については、その<不確実性>が問題であり、織り込み済の材料に市場がどう反応するかが焦点となっている。より重要なのは2月の<予算教書>であり、就任式はただのセレモニーに終わる可能性もある。

現在の円高はいつまで続く?

先週のレポートに書いたように、現在の円高は買われ過ぎの反動という需給要因である。著名投資家のラリー・ウィリアムズは、「一般投資家が大量の(円売り)ポジションを抱えていて、ポジションを抱えたまま吹き飛ばされるとマーケットが転換します」と年初に述べて、1月の円高転換を注意喚起していた。その通り円高になったが、こうした需給相場はポジションの調整が終わればいったん終息するだろう。現在の円高は1月いっぱいの動きではないかと筆者はみている。トランプが政策的に<ドル安誘導>を打ち出さない限りは、長期に続く動きではないだろう。

シカゴIMM日本円通貨先物(日足)
(シカゴの日本円通貨先物は1円いくらという価格表記 上昇=円高・下落=円安)

(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)1月16日・掲載はラリーおよび代理店の許可を取っています。著作権の関係で画像の一部を隠しています)

シカゴIMM日本円通貨先物(日足) 

(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)1月16日・掲載はラリーおよび代理店の許可を取っています。著作権の関係で画像の一部を隠しています)

トレーリングストップ注文の有効性

直近の相場では、ドル/円、ポンド/円、ユーロ/円は売りトレンドが発生した。売りトレンドが発生したが、このトレンドは現在故障(消滅)している。

今週はメイ英国首相の会見、イエレンの講演、トランプ大統領就任式とビッグイベントが続くので、±1シグマラインのストップ注文を使わずに、トレール注文を置いて資産管理を徹底することを推奨していたが、今後もボラタイルな相場が予想される局面では、順張りの手仕舞いはトレール注文での決済が良いだろう。

<注:トレール注文とは>

逆指値(ストップロス)注文を、より効率的に用いるための注文方法でトレーリングストップ注文とも呼ばれます。ストップロスのための逆指値注文を置いておくだけではなく、実勢の取引レートとほぼ同じ値幅間隔で、ストップ注文の指定レートを徐々に有利な方向へ自動的に追尾してくれます。買いポジションの場合は、相場の上昇に合わせてストップロス注文の指定レートを切り上げてくれます。逆に売りポジションの場合は、相場の下落に合わせてストップロス注文の指定レートを切り下げてくれます。このように損失の最小化と利益の最大化をはかる注文方法がトレール注文です。

ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ポンド/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

石原順

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海外のヘッジファンドを運用する現役のファンドマネジャーが、相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークを利用した「生」の情報を提供いたします。

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