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2016年10月20日

第473回 「チャートでみる株式・通貨・原油・金利市場の方向性」

ポンド安・英国株高も一服

米国が利上げを模索し、日・欧の金融緩和の限界が指摘される中、夏以降の相場は英国が日・欧に加わる形で金融緩和路線に動き出したことで、バブル相場が延命している。2016年10月20日現在、S&P500のPERは18.70倍と決して割安な水準ではない。NYダウも17.04倍と同様である。日経平均は14.29倍で米国と比べると割安ではあるが、日銀のETF買いで相場のダイナミズムが失われ、GPIFも日銀が上値を買ってしまうので出番がない。<当局の買い>だけの需給相場になっていることや、先進国の市場では考えられない露骨な株価買い支えが海外投資家に嫌気されて、稀にみる閑散相場となっている。

夏以降の世界の株式相場を引っ張ってきたのはポンド安による英国株の上昇であったが、英国株もポンド安が一服していることで上値が重くなってきた。

FTSE100先物(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

原油価格の上昇がリスクオン要因に

それでも株式市場が堅調なのは、原油価格の上昇に負うところが大きい。今年の1~2月の株式市場の急落がオイルマネーの売りだったことから、現在の相場では原油価格の上昇がリスクオン要因として働いている。エネルギー関連株の多い米国株式市場は原油価格の上昇を好感している。

原油価格下落による国家財政の悪化で、サウジアラビアは公務員給与削減など追い込まれている。サウジアラビアはシェールオイル潰しをやっている間に、自分の尻に火がついてしまったようだ。20年間にわたりサウジのエネルギー相をつとめていたヌアイミが、サウジアラビア副皇太子の側近であるファリハと交代した今年5月からは、サウジアラビアの原油戦略に変化が生じ、これまでの減産拒否路線を転換したと言われている。NY原油の先物価格は買いトレンド相場となっており、テクニカルには50ドル台半ばまでのリバウンドも噂されている。

NY原油先物(日足)
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

米国株売り・ブラジル株買い

とはいえ、筆者の周辺のファンド運用者は、「米国株はPERなどが高すぎて買えない。また、ボラティリティレベルが低すぎて気味が悪い。トランプリスクはないと思っているが、12月の利上げを織り込んでいるのかはわからない。世界が景気後退に向かっている環境で利上げなどしてよいのか?」と株式市場には慎重な構えを崩していない。

米国株の先物を売っている運用者やリバース型のレバレッジ3倍ETF(NYダウが下がれば儲かるETF)を購入している運用者も多く、「相場が2か月間の市場参加者のコストである52日移動平均線の下で推移しているのも気になる」と述べている。NYダウを売っている一方で、彼らはブラジル株やアジアの一部の株式市場のインデックスを買っている。

新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックはCNBCで「S&P500が2130を割り込めば弱気転換の合図である」という趣旨のことを述べていたが、現在の相場の位置は大きなレンジ相場の上限なのかも知れない。

S&P500(週足) 広いレンジ相場を超えてきたが上値は重い

(出所:石原順)

NYダウ(日足) ボラティリティレベルが低い・・
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

NYダウ(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
相場は52日移動平均線の下での推移が続いている
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

DJ-UBSコモディティ価格とブラジル株価(ドルベース)

(マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート 2016年10月号『マイナス金利の呪縛』)

ブラジルボベスパ指数(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

日経平均は200日EMAを明確に上抜けてきた

日経平均は明確に200日EMA(指数平滑移動平均線)を上抜いてきた。これは、テクニカル的には大きな変化で、相場が200日EMAの上で推移している間は逆張りの押し目買いが基本戦略となる。日本の長期金利がなかなか上がらない現状で、運用難の機関投資家の資金が日本株に流入しているようだ。

日経平均(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
ようやく200日EMAを上抜いてきた
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

日経平均(日足) 久しぶりに買いシグナルが点灯
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

日本10年国債金利(日足)

(出所:石原順)

ドル高トレンド相場に翳り

直近の通貨市場ではドル高トレンド相場が展開されてきたが、米10年国債金利の上昇に一服感が出てきたことから、ドル高相場も一服している。ここから標準偏差ボラティリティやADXがピークアウトすれば、ドル高トレンド相場は調整相場に移行しそうだ。投機筋が群がっているのはポンド円相場だけで、クロス円相場は豪ドル/円を除けば、現在は明確なトレンドが発生していない。

米10年国債金利(日足) 金利上昇も一服・・
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ポンド/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段;21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

世界経済が減速しそうなのは間違いない

いずれにせよ、年内の相場は11月8日の大統領選挙後と、12月14日のFOMC後の相場の動きが注目されている。それまでは相場に参戦しない理由を探すモラトリアム相場となりやすい。

恐らくFRBは12月14日に利上げするだろう。しかし、世界経済は長期停滞中である。10月4日、IMFのチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は声明で「世界経済は総じて停滞している」、「低成長が長引けば低所得者層を置き去りにし、すべての問題をグローバル化のせいにする政治的な動きが強まる」、「あまりに長く成長が低迷し、多くの国においてごくわずかしか恩恵が及んでいない」、「政治的な反動が世界経済の成長をさらに下押しする可能性が高い」とし、反グローバル化の動きに懸念を示した。

筆者はクローバリーゼーションの巻き戻しが起こっていると言い続けているが、ブレグジットや米大統領選、欧州の移民問題をみても明らかなように、どの国も内向きの自国優先主義に転換している。即ち、米国も自国優先のドル安政策を志向している中で、現在の米金利上昇=ドル高という相場の持続性も考えなければならない状況にある。筆者は、年内の相場にはどちらかというと慎重であり、ストップロス注文をかならずおいて、相場と対峙している。

現在、世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオは「FRBは短期的な景気サイクルにばかり目をとられている。しかし、長期債務サイクルに目を向けるべきであろう。世界経済の現状は、格差やポピュリズムの台頭といった点で、1930~40年代と似ている。日本や欧州の金融政策は経済刺激の限界に近く、米国や中国はまだ余裕がある。しかし、世界経済が減速しそうなのは間違いない。現在、リスクは圧倒的にダウンサイドにあり、混乱の引き金を引きかねない利上げをすべきではない」と、警鐘を鳴らしている。

NYダウ週足とフィルター付き逆張り売買のシグナル
NYダウは26週移動平均線(赤)が重要なライン

(出所:石原順)

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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石原順

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海外のヘッジファンドを運用する現役のファンドマネジャーが、相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークを利用した「生」の情報を提供いたします。

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