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2014年12月11日

第377回 ドル/円はどこまで下がるのか?

原油の下落が止まらない。12月10日にOPECが2015年の原油需要見通しを引き下げたため、原油先物は5年5カ月ぶりの安値である60ドル台まで下落した。<原油安=ドル買い>という図式で語られることが多いが、ここにきて原油安の負の側面にも焦点があたってきたようだ。

原油先物(日足) 5年5カ月ぶりの安値

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドルインデックス先物(日足) ドル高も一服か?

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

現在の原油安は石油メジャーとOPECが画策する<シェール業者潰し>や<ロシア・イラン包囲網>によるものと言われてきた。ところが、ここにきて「原油安をロシアも容認している」という観測が広まり、原油安で大きな収益を上げている投機筋がさらに原油売りを加速させているという。なぜ、自国の経済を破壊する可能性のある原油安をロシアが容認しているのかというと、ロシアもサウジアラビアのシェールオイル潰しに加担しているのだという。

シェールオイル関連株は5月高値から急落している。「原油安を受けて米国のシェールオイル業界が経営難に追い込まれるのではないか?」という観測が広まり、米株式市場ではエネルギー関連株が軟調だ。問題はシェール業界の経営が悪化すると、シェールオイル業界が発行した債券の一部がおかしくなるのではないかと懸念されていることだ。

投機筋の一部で、「シェールオイル業界の業績悪化からコベナンツライトローン(財務制限などの緩い融資)やハイイールド(ジャンク)債市場にも影響がおよび、米国の債券バブルが崩壊する」という観測が出ているが、ロシアのプーチン大統領はシェールオイル潰しと米国つぶし(第二のサブプライム危機)を狙っているのだという。シェールオイル業者を潰せば原油価格は上昇する。まさに魑魅魍魎の世界だが、直近の相場ではシェールオイル関連の投資後退懸念や原油安を受けた米金利の低下(利下げ後退観測)で、ドル売りが出ているのだという。

Eog Resources(日足)

Eog Resourcesはシェールオイルの優良企業で採算コストは40ドルと言われている

(出所:石原順)

米10年国債相場(日足) 良好な雇用統計を受けても金利は上がらず・・

(出所:石原順)

現在、ドル買いが一服しているのは、ユーロ/ドルの下げが止まってしまったことも大きい。1月にQEに踏み切るのではないかと言われていたドラギECBのQEは、「3月までない」という観測が多くなっている。

ユーロ/ドル(日足) ドラギがQEに踏み切るのは3月か?

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

円安一服の理由は基本的に急激な円安の調整である。だが、あるグローバルマクロファンドのレポートでは、総選挙での<自民党勝ちすぎ観測>が嫌気されているのだという。『与党大勝となれば2015年のアベノミクスは第一の矢ではなく、第二の矢(公共事業のバラマキ)がメインになると思われる。公共事業をばら撒けば自民党内で安倍首相に反旗を翻す勢力を黙らせることが出来る。選挙で自民党が大勝すれば第三の矢(成長戦略)は骨抜きとなり、いよいよ本命の第四の矢(集団的自衛権や憲法改正)が表面化してくるであろう。それを実現するために、日銀や年金を使った株価維持政策は継続されるだろう』という内容だが、「自公3分の2超す勢い 民主70台、共産倍増も 衆院選中盤情勢」と今日の朝日新聞で報道されているように、「自民は単独で300議席を上回る勢いで、公明とあわせて定数の3分の2(317席)を確保しそう」だという。

筆者は黒田日銀のバズーカ2は事実上の通貨切り下げ政策と財政ファイナンスであり、円安傾向は変わることはないと思っている。だが、そこは相場であり、常に行き過ぎとその反省を繰り返すことになるだろう。現在はその反省局面だ。

先週のレポートで、『バブル相場にロジックはない。ドル/円相場は「イケイケドンドン!」というノリと勢いの相場になりつつある。相場にオーバーシュート(行き過ぎ)はつきものだが、そこはスイング売買で対処し、筆者は「ドル/円の120円超の相場では、中期的なポジションのとりあえず半分は利食っておこう」と思っている』と書いたが、「60カ月移動平均線の乖離水準を考えると、120円レベルではとりあえず半分は利食っておく」この戦略は功を奏した。

ドル/円(月足)と60カ月移動平均線乖離(エンベロープ)

10%乖離(緑)・20%乖離(青)・30%乖離(紫)

(出所:石原順)

ドル/円(月足)と60カ月移動平均線乖離(エンベロープ)拡大図

10%乖離(緑)・20%乖離(青)・30%乖離(紫)

(出所:石原順)

さて、ここからの焦点は現在の調整円高相場がどこでとまるかだが、ブローカーや運用者の意見を集約すると、「117円あたりではないか」という声が多い。「10月は4円89銭の円高相場があったが、今回の円高も概ね5円幅の117円近辺となるのではないか?」「10月の下げ幅-4.44%を今回の相場に当てはめると、116円43銭となる」など、市場関係屋の多くは116円~117円レベルを想定しているようだ。「10月安値から12月高値の上げ幅の38.2%押しの115円半ばまでの押しを想定している」という意見もあるが、いずれにせよ、調整後はドル高に復帰するという見方が大勢である。

ドル/円(日足) 14日RSIが70以上で推移している相場はトレンド相場

上段:14日RSI(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)・パラボリック(青)

(出所:石原順)

ドル/円(日足)とフィボナッチのリトレースメント

(出所:石原順)

欧州や中国がバブル戦争に参戦し、「異常低金利・低インフレ」のバブル環境が2015年も続きそうだ。現在のポジション調整が一巡すればドル円は再度円安を試すことになるだろう。ポジション調整相場がどこで終わるかは米国株の動向次第と思われる。円安は米国債金利ではなく米国株と連動しているのである。

NYダウ(左)とS&P500(右)の日足

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

石原順

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海外のヘッジファンドを運用する現役のファンドマネジャーが、相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークを利用した「生」の情報を提供いたします。

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