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2014年8月21日

第5回 NISAで始める「負けにくい投資」
「トレンド・アロケーション・オープン」インタビュー

NISA(少額投資非課税制度)で投資デビューした投資家、投資信託を初めて購入する投資家の間で人気を集めている国際投信投資顧問の「トレンド・アロケーション・オープン」。弊社の特集、「最初に買うならこの1本」のうちの「おまかせの1本」でもある同ファンドについて、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの吉井が目論見書には書いていない運用の裏側に迫る。

吉井
こんにちは。今回は「おまかせの1本」で紹介している「トレンド・アロケーション・オープン」についてお話を伺いたいと思います。2012年3月に設定以来、好調な成績をおさめていますね。好調の要因はどこにありますか?

図:設定来の運用実績グラフ

※ファンドマネージャー(以下、FM)

FM
ありがとうございます。設定から2年3カ月が経過しましたが、まずまずのパフォーマンスを残していることを嬉しく思います。好調の要因は、当ファンドの主戦略であるトレンド・アロケーションによる資産配分が奏功した結果と分析しています。設定来、世界的な金融緩和を背景に、特に先進国株式市場が上昇してきましたが、その価格トレンドを上手く捉えられたことが好調の要因です。
吉井
とはいえ、この2年間の市場環境は簡単ではなかったと思います。特に昨年5月は米FRB議長(当時)のバーナンキ氏が金融緩和縮小を示唆した発言をしたことからマーケットが急落しました。そのような環境下においても「トレンド・アロケーション・オープン」は損失を抑えながら堅調に推移してきましたね。
FM
そうですね。当ファンドの狙い通りの運用ができていると思います。下図は各資産クラスと当ファンドのパフォーマンスの期間別対比を示したものです。過去12カ月間において最も上昇したのが欧州株式の19.0%、最も振るわなかったのが英国国債の0.0%になりますが、「トレンド・アロケーション・オープン」の成績は6.5%とちょうど真ん中あたりを推移しています。この位置取りが当運用戦略の狙うところです。ある年は最上位、ある年は最下位ではなく、どんな環境下においてもそれなりのリターンを獲得していくことが投資家の安心感につながると考えます。ご指摘のとおり、バーナンキ発言のあった2013年第2四半期についても比較的小さな損失で乗り越えることができました。

図:各資産クラスと「トレンド・アロケーション・オープン」の期間別収益率の比較

出所: アリアンツ・グローバル・インベスターズ
(年初来のパフォーマンスのみ 2014年6月12日現在)

吉井
投資信託は長期投資に適した金融商品と言われますが、投資家が安心できなければ長期に保有することはできません。そういう意味では、当ファンドは投資家が平常心を保ちながら投資を続けることができる商品といえるかもしれません。リーマンショックを契機に、当ファンドのように市場環境に応じて資産配分を変えてくれるファンドに資金が流れていると聞きますが、その理由はどこにあるのでしょうか?
FM
資産配分を機動的に変えてくれる運用(アクティブ・アセットアロケーション戦略)に資金が集まる理由は2つあります。一つは、世界的な低金利環境を背景に、これまで安定的なリターンが得られた先進国債券の利回りが低下し、債券だけでは目標とするリターンを獲得するのが難しくなったこと。もう一つは、より高いリターンを得るために債券から株式などのリスク資産に資金を移さざるを得なくなるなかで、リーマンショックや欧州債務危機のような短期的に大きく値下がりするようなイベントが数年おきに発生し、一時的に大きな損失を被る可能性が増えてきたこと。この2つの理由を背景に、より安定的な運用を求める欧米の機関投資家を中心に、当ファンドのような運用戦略の商品に資金が集まってきています。ご参考までに、アリアンツ社における同様の運用戦略の運用資産残高は2005年から2014年の間に約3.5倍に拡大しています。

図:アクティブ・アセットアロケーション戦略の運用資産残高の推移

吉井
実質的な運用を行うアリアンツ社について、マルチアセット運用のチームメンバーだけで77名、メンバーの平均運用経験年数が16年とのことですが、他社と比較してもかなり大規模かつ充実した運用体制という印象を受けます。

図:トレンド・アロケーション・オープンの運用体制

FM
はい。マルチアセット運用のチームとしては欧州最大規模、特に動的な資産配分による運用を行うチームとして有数の一社ではないかと認識しています。

ファンドアナリストの視点①

リスク・リターンの目標、資産配分決定のルールはあるか!?

吉井
当ファンドの運用戦略は、先進国の国債などの低リスク資産と株式などの高リスク資産をそれぞれの価格トレンドに応じて投資比率を調整してくれるという特徴があります。この特徴だけを聞くと、市場環境の変化によって、ファンドの値動きの大きさや目標とするリターンが大きく変わってしまうのではないかと考えてしまいますが、基準となるリスク・リターン目標や資産配分などはあるのでしょうか。
FM
はい。当運用戦略では、年率で「短期金利+4%程度」のリターンを目指す(当ファンドの公式な運用目標ではなく、当ファンドの運用者がイメージする当戦略リターン水準)一方で、下落リスクへの対応(ダウンサイド・リスク・マネジメント)として過去1年の高値からの下落率が15%以内に収まるよう管理することを想定しています。資産配分については、長期的かつ平均的な傾向を見ると、低リスク資産と高リスク資産が5:5の割合で投資する傾向にあります。価格トレンドに応じて資産配分を調整するのが特徴ではありますが、何のルールもなく資産配分を変更しているわけではなく、規律に基づいて運用を行っています。また、低リスク資産および高リスク資産内における各資産クラスの配分についても市場規模や流動性を勘案した上で随時基準を見直しています。価格トレンドが強いからといって、特定の高リスク資産に集中投資するようなことはないのでご安心ください。

ファンドアナリストの視点②

各資産クラスの価格トレンドは、どのくらいの期間の値動きを捉えるのか!?

吉井
直近は、好調な株式市場の価格トレンドを反映して、高リスク資産の割合が6~7割程度で推移していますね。当ファンドは、各資産クラスの価格トレンドを捉えて資産配分を調整していますが、この価格トレンドというのはどれくらいの期間の値動きを捉える傾向にあるのでしょうか。
FM
トレンド・アロケーションの運用戦略は、過去1カ月間、過去2カ月間・・・過去12カ月間まで、12期間の価格トレンドを積み上げて、その魅力度を判定しています。こうした分析の特徴としては、比較的短期のトレンドが強く反映され、おおむね過去3~6カ月程度の価格トレンドを捉える傾向にあるとお考えください。
吉井
よくわかりました。目論見書では知ることのできない運用の裏側まで教えていただき大変参考になりました。これからも好パフォーマンスを期待しています。本日はありがとうございました。

インタビュー後記

「トレンド・アロケーション・オープン」の運用のポイント

  • 長期投資を続けるに適した目標リターンとリスク
  • ルールに基づいた資産配分の決定(規律ある運用)
  • 短~中期の価格トレンドを捉える仕組み

NISA開始以降、長期投資を浸透させる狙いから資産配分を柔軟に変更するファンドが増えている。これらのファンドはその運用コンセプトだけを聞くと、とても魅力的な商品と感じる投資家も多いだろう。しかし、これらのファンドの運用実績を見るかぎり、リターンを追求するあまりリスク管理が上手く機能しない、リスク管理を重視するあまり思ったほどリターンが出ないというファンドも少なくない。これらのファンドの良し悪しを見極めるには、何を目標として運用しているのか、リターンを獲得する考え方がしっかりしているか、規律に基づいてリスクが管理されているかというポイントを見極めることが重要だ。今回のインタビューでは、これらのポイントについて約2時間にわたり運用担当者に話を伺った。

インタビュー後の感想としては、「トレンド・アロケーション・オープン」は長期投資を続けるための工夫が盛り込まれた商品だという印象を受けた。まず目標とするリターンは「短期金利+4%」を目指しているが、この水準はインフレヘッジ+αを求める投資家にとって控えめ過ぎず、欲張り過ぎず、心地よい水準といえるのではないか。また、リスク管理については、過去1年の高値から15%以内に収まるよう下落リスクをコントロールするということだが、これも絶妙な水準だと考える。

あくまで私の経験上の話になるが、これまで多くの投資家の失敗談を聞くかぎり、値下がりに耐えられず保有商品を売却してしまったときの損失は、投資元本から2割以上値下がりした水準であった。おそらく、その売却した商品も長期保有していれば価格が回復し、リスクに見合ったリターンが得られたかもしれない。しかしながら、その下落リスクに耐えられなければ長期保有はできないのだ。そういう意味で、「トレンド・アロケーション・オープン」の15%程度の損失に抑えるというリスク管理の目標は、特に投資初心者にとって長期投資を続けるに絶妙の水準ではないかと思われる。

当ファンドの運用について心配していたことがある。それは価格トレンドを追い求めるあまり、リスクの高い資産に集中投資することがあるのではないかということだ。しかしそれも杞憂に終わったようだ。上述のとおり、当ファンドでは価格トレンドを意識しつつも各資産クラスの市場規模や流動性を考慮しながら規律をもって資産配分を決定しており、想定以上のリスクを取る可能性は低いと思われる。

もう一つ興味があったのは、どれくらいの期間の価格トレンドを捉えるのかということ。一口にトレンドといっても、超短期、短期、中期、長期、超長期とその期間は様々だ。当ファンドでは3~6ヵ月の価格トレンドを捉えるような設計になっているが、この期間を短期と捉えるか長期と捉えるかは投資家の考え方次第だ。一つ言えるのは、あまりにも短すぎるとトレンドを捉えること自体が難しいのと売買コストが上がる可能性があり、長すぎるとその間の価格の上下に投資家の心が揺らぐ可能性があるということだ。投資信託の運用成果は長期で判断することが望ましいが、当運用の特徴でもある価格トレンドをしっかり捉えているかどうかを判断するには、3~6ヵ月という期間はちょうど良い期間といえるのではないだろうか。

資産配分を機動的に変えてくれる運用というのは、これまでの伝統的な(資産配分を固定した)運用と比べるとまだ歴史が浅く日々進化している。当ファンドを通じて長期投資を続けていくなかで、新たな運用コンセプトの進化を見極めながら、資産運用を楽しんでもらいたい。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

吉井崇裕

ファンドマネージャーインタビュー

楽天証券経済研究所のファンドアナリスト 吉井崇裕によるファンドマネージャーへの直接インタビュー、定量・定性の両側面から分析したレポートです。

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