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第18回 金融危機とゴールド市場

2011年10月14日

英国がQE2(量的緩和第2弾)に踏み切った10月6日にキング英中銀総裁がテレビ出演し、「これから1930年代の大恐慌を超える金融危機が起こる可能性がある」と発言した。そのシナリオは「欧州危機が世界中に飛び火する可能性が大きい」との観測に基づいている。

危機やインフレへのヘッジとして認識されてきたゴールドが、「リスク資産」という認識に変わってしまった背景には、金融危機が深刻化していることが背景にある。欧米の銀行はリーマン型の危機を回避するために、資産の圧縮と貸し出しの圧縮を迫られている。そういう切羽詰まった状況では「運用どころではない」というのが実情であろう。

オバマ政権発足後、銀行は「ボルカールール(銀行の自己勘定取引を制限するための金融規制)」に対応するため、自己勘定部門の縮小に動いた。しかし、それは表面的な動きであって、実際にはファンドへの融資や出資という形をとってリスク資産の運用を行っていた。しかし、2011年7月~9月期の金融危機の深刻化とともに銀行の自己資本の毀損が進み、金融機関は一斉に脱レバレッジの方向に向かっている。

ファンド勢の懐は、「今年の7-9月期は2008年のリーマンは破綻以降で最悪な四半期だった」と言われているように、相当傷んでいるようだ。運用成績の悪いファンドには解約が殺到し、さらなる運用資産の圧縮にせまられる。ゴールド相場の上値が重いのは、こういったファンドの解約懸念や、金融機関の資金引き上げ懸念が市場に蔓延しているからである。「金融不安観測」のうちはゴールドが買われるが、「金融危機が本格化」するとゴールドは売られるという皮肉な結果になっている。

さて、実践的な相場の話に移ろう。ゴールド相場のボトム(周期的な底)は「いつもファンドが投げた(損切りした)時である」というのが、ファンド業界の定説だ。ゴールドの代表的なETFである「SPDRゴールドシェア」の出来高は、ゴールドのボトムでいつも大きな出来高を記録している。先物の出来高や取り組みの動きをみていても同じ事が言える。即ち、ファンドが投げた時こそ、ゴールドの買い場が到来しているということだ。

SPDRゴールドシェア(日足) 相場急落する時はいつもファンドの損切り(青丸)

上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド0.6σ・出来高


(出所:ストックチャーツ)

そのファンドの動向であるが、「サブプライムローン市場の崩壊や金価格の高騰に賭けて大儲けしたことで知られる著名ヘッジファンドマネジャーのジョン・ポールソン氏は、最近の運用パフォーマンスが著しく悪化し、これまでのキャリアで最も困難な状況に直面している。ポールソン氏の最大のファンドの一つは今年になってパフォーマンスが50%近いマイナスとなったほか、他のファンドも多額の損失を被っている。その結果、ポールソン氏のファンだった多くの富裕層顧客が資産を引き揚げており、年末までに解約請求が数十億ドルに達する可能性がある」「ポールソンのファンドの顧客は解約請求を行うかどうか10月31日までに決める見通し」「多くの金融関係者は、ポールソン氏の運用資産は今後2~3カ月で大幅に減少すると予想している」(10月11日ロイター)と報道されているように、ゴールドETFの8%を保有していると噂されるポールソンのファンド解約懸念が消えてない。

前回のレポート「ゴールド市場の構造変化」で「市場関係者はゴールド相場最大の仕手筋と言われるポールソンがゴールドを売却したのではないかという噂をとても気にしているようだ。ポールソンはSPDRゴールドトラス」を2011年6月30日時点で3150万口を保有していたが、彼が売りに回ったとなれば機関投資家が追随する可能性がある。ファンド勢は11月決算のところが多く、10月相場は「45日ルール」による「ファンドの解約売り」に気をつけたい」と述べたが、ポールソンがゴールドETFを売却するのではないか? という懸念が市場を覆っているため、投資家の腰が引けているのが現在の相場である。それは、9月以降の出来高を観れば一目瞭然であろう。

現在のゴールド相場は、13日~21日間の市場参加者のコストである13-21日移動平均バンドの中に入っており、売りでも買いでもない中立の状態にある。投資家に人気のMACDは「買い」を示唆しているが、1~3カ月の市場参加者のコストを示唆する移動平均リボンが覆い被さる1,700ドル超は上値が重くなる可能性がある。一方、1,600ドル前半では中国・インドなどアジア勢の買いが散見されており、目先の下値として意識されている。

トレンドの状況を観てみよう。ゴールド先物の日足・週足とも標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井打ち)しており、典型的な調整相場と言えそうだ。乱高下を交えながらも、目先は1,600~1,700をコアレンジとした調整相場が続くと思われる。

ゴールド先物12月限(日足) 出来高が増えてくるのは11月以降か?

上段:13-21日移動平均バンド
下段:出来高


(出所:楽天証券マーケットスピード)

ゴールド先物(日足)

上段:MACD
下段:移動平均リボン(緑)・MACDの売買シグナル


(出所:石原順)

ゴールド先物(日足) 典型的な調整相場

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・フィボナッチのリトレースメント(赤)


(出所:石原順)

ゴールド先物(週足) 典型的な調整相場だがボラティリティレベルは高い→乱高下にご用心

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・フィボナッチのリトレースメント(赤)


(出所:石原順)

ゴールド先物(日足)とギャンのファンライン


(出所:石原順)

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