本章のまとめ
株価指数先物をトレードする第一のメリットはレバレッジにある
金利コスト、借株コストもない
売りから入れるメリットもある
証拠金率は市場の荒れ具合によって改変されることがある
読者の皆さんの中には日経225やダウ工業株価平均指数などのような株価指数が大豆や原油と同様に先物として取引されていることを不思議に感じる方もいらっしゃると思います。
しかし実際にはどんな投資対象でも現物と自由に交換可能(このことをfungibleといいます)であれば先物を作ることはできるのです。
たしかに株価指数には収穫時期とか貯蔵とかの心配をする必要がありませんのでその意味では先物が考案されたもともとのメリットはあまり関係ないかも知れません。しかし、それ以外にも株価指数先物を利用するメリットはあるのです。
株価指数先物をトレードする第一のメリットはレバレッジが効かせられるということだと思います。
また信用取引と違い金利コストや借株コストもかかりません。
売りから入れるというメリットもあります。
株価指数先物のメリットはレバレッジが効かせられること、金利コストや借株コストがないこと、売りから入れることである。
これらの特性から株価指数先物は機関投資家がヘッジ目的で売買したり、トレーダーがスペキュレーションをしたりするのに好適なトレード対象なのです。
多くのフィナンシャル・フューチャーズはCMEで取引されています。しかし、ダウだけは例外としてCBOTです。但しCBOTは今ではCME傘下に入っていますので、取引所の差異はあまり問題にはなりません。
なによりもE-miniと呼ばれるミニサイズの株価指数先物はCME Globexと呼ばれる電子市場で取引されている点が重要だと思います。
楽天証券の海外先物で取扱いのある株価指数先物はいずれも電子市場となります。
ここで代表的なコントラクトを紹介したいと思います。
銘柄 | 乗数 | コントラクト・サイズ | 最小ティック価値 |
---|---|---|---|
E-mini S&P 500 | $50 | $50×株価指数 | $12.5(0.25ポイント) |
E-mini Dow 30 | $5 | $5×株価指数 | $5(1ポイント) |
E-mini Nasdaq 100 | $20 | $20×株価指数 | $5(0.25ポイント) |
例えばE-mini S&P500の場合、株価指数が1,130だとしたら:
$50 × 1,130 = $56,500
で1コントラクトを買った(ないしは売った)ときの建玉の大きさは$56,500になるわけです。
乗数(マルチプライヤー)というのはコントラクト・サイズを計算するときに使用する倍率の意味です。
コントラクト・サイズは1枚(1コントラクト)の株価指数を取引したときの建玉の大きさを金額(ドル)であらわしたものです。
先物取引では証拠金を最初に証券会社に差し入れると、それを元手として自分の所持金より大きい金額のポジションを建てさせてくれます。つまりレバレッジが提供されるわけです。
ある先物のポジションを建てるのにどのくらい証拠金を要求されるのか? という問題ですが、楽天証券の場合、2010年10月25日時点では、取引所のイニシャル証拠金とメンテナンス証拠金に1.2を掛けた数字となっています。それに基づいて計算すると、E-mini S&P500の楽天証券の発注時証拠金は6,750ドルとなります。
E-mini S&P500の例
$56,500(建玉) ⇔ $6,750(2010年10月25日時点の楽天証券の発注時証拠金)
最小ティック価値(Minimum Tick Value)とはそれぞれのコントラクトの最小の刻み値だけ動いた場合、それがいくらの儲け、ないしは損になるかを示したものです。
次にE-Mini Dow Jones Industrial Averageの場合を見ると、仮にいまダウ工業株価平均指数が10,700だとして:
$5 × 10,700 = $53,500
になることがわかります。つまり建玉の大きさ(コントラクト・サイズ)は$53,500というわけです。
このトレードに対して要求される楽天証券の発注時証拠金は$7,800です。
E-mini Nasdaq100の場合、株価指数が2,000だとします。すると:
$20 × 2,000 = $40,000
つまりコントラクト・サイズ(建玉の大きさ)はちょうど$40,000になるわけです。
このトレードに対して要求される楽天証券の発注時証拠金はは$4,200です。
いま仮に1ドル=82円としてザックリとした計算をすると:
銘柄 | 建玉($) | 証拠金($) | 建玉(円) | 証拠金(円) |
---|---|---|---|---|
E-mini S&P | 56,500 | 6,750 | 約463万 | 約55万 |
E-mini Dow | 53,500 | 7,800 | 約439万 | 約64万 |
E-mini Nasdaq | 40,000 | 4,200 | 約328万 | 約34万 |
という感じになるわけです。
なお証拠金の要求額はボラティリティ(=相場のブレのこと)などを勘案しながら取引所が決めることですから、マーケットの荒れ具合によって改変されます。ですから上はレバレッジを自分で計算するときの考え方を示したまでに過ぎず、実際にはその時々で要求される証拠金は変わってきますから、必ず最新の情報をチェックするよう心がけてください。
海外先物取引の価格は対象となっている株価指数や商品等の価格の変動、または金利、通貨、経済指標、政治情勢の変化等、さまざまな要因により上下するため、これにより損失が生じるおそれがあります。とくに海外商品先物取引は、それぞれの商品(コモディティ)に特有なファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)の影響を受ける等のリスクがあります。また、海外先物取引は差し入れた委託証拠金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託証拠金を上回るおそれがあります。委託証拠金率が一定率を下回った場合、ロスカットルール(※)により全ポジションが強制決済されます。市場環境が急激に変動する場合には、ロスカット価格がロスカットルール適用時の価格から大きく乖離して約定することがあり、その結果、損失額が委託証拠金の額を上回る可能性があります。
1枚あたり以下の取引手数料がかかります。
銘柄名 取引手数料(米セント未満切捨て)
株価指数(Equity Index) 米ドル建 4.95米ドル(税込)/枚、円建 ラージタイプ 440円(税込)/枚、円建 ミニタイプ(SGX) 220円(税込)/枚、円建 ミニタイプ(CME) 330円(税込)/枚
エネルギー(Energy)、金属(Metals)、農産物(Agriculture) 米ドル建 ラージタイプ 6.60米ドル(税込)/枚、米ドル建 ミニタイプ 4.95米ドル(税込)/枚、米ドル建 マイクロタイプ 2.75米ドル(税込)/枚
海外先物取引をおこなうには委託証拠金の差し入れが必要です。必要委託証拠金は各外国金融商品取引所または各外国商品取引所が発表するイニシャル証拠金(発注時証拠金)、メンテナンス証拠金(維持証拠金)およびSPAN(シカゴマーカンタイル取引所が開発した証拠金計算方法)をもとに当社が定めます。
※海外先物取引について、必要な証拠金に対する取引金額の比率は、銘柄によって異なるため記載することができません。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
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