本章のまとめ
楽観的トレーダーは見るもの全てがチャンスに映る
悲観的トレーダーはチャンスがあっても動けない
現実的トレーダーはルールに基づいてエントリーし、勝率を知っている
トレード日誌では一日全部をカバーする日中足のチャートを印刷し、貼り付けよう
トレードしたときのスプレッドの情報は重要
アメリカのトレーダー・コミュニティーでは、よく3種類のトレーダーが引き合いに出されてトレーダーとしての成長過程※が論じられます。
FXでも先物取引でもトレード対象は何でも良いのですが、個人投資家がはじめてトレードに手を染めると、大体、最初は「楽観的トレーダー」になってしまいます。
楽観的トレーダーは見るもの聞くもの全てがチャンスに見えてしまいます。
「あれも買いたいし、これも買いたい。」
「待つのはじれったいから、いますぐポジションが欲しい。」
こういう態度です。つまりちゃんとした根拠もなく自分が取るポジションが常に勝ちにつながると妄想してしまうトレーダーが楽観的トレーダーなのです。
楽観的トレーダーは根拠もなくすぐに自分のトレードが勝ちにつながると妄想してしまう。
このようなトレーダーは常にトレードしていないと気が済まないし、エントリー、つまりポジションを建てる際の値段に頓着しません。ただ闇雲にポジションを建て、投資資本を消耗してしまうのです。
もちろんトレード日誌をつけないし、どんなシチュエーションで自分が損を出したかをまるっきり覚えていないのです。
当然、自分のトレードを省みて、いけなかった点を反省することもしません。
トレーディング資本が半分以上霧散してしまった後で、「あれ、何かいけなかったかな?」とようやく気が付くわけです。
トレーディングは自分の戦略の微調整と改良の連続です。自動車メーカーが「カイゼン」の精神で常に品質向上を目指すのと基本的には何も変わらないのです。
つまりホームラン狙いでは駄目で、こつこつとした積み上げが差を生むわけです。このためトレードをはじめて間もない投資家が最初にトレードで大きな穴をあけてしまったら、イッパツ逆転は出来ないのです。
ですからトレード日誌をちゃんとつけるということは自分のトレード戦略を編み出す上で最初にトレーダーがつけるべき習慣です。
トレード日誌をつけるのはトレーダーが自分独自の戦略を編み出すために最初にやるべき習慣です。
むやみにトレードして、ある日自分のトレード資本がすごく目減りしていることに気付いた投資家は、今度は「悲観的トレーダー」になります。
悲観的トレーダーは、自分の失敗への反省からようやくトレード日誌をつけはじめます。また、トレードの際の自分なりのルールということについてもだんだん考えながら動くようになります。
トレードする際のエントリーの値段に関しても以前よりうるさくなります。
このように楽観的トレーダーに比べると悲観的トレーダーはかなり進歩するわけですが、今度は新しい悪い癖をつけてしまう場合が多いです。
それはあまりに怖がりになってしまい、チャンスを発見しても勝負をしたがらなくなるということです。
またエントリーを試みる際でも値段にうるさくなりすぎて指値が遠すぎたりするのです。
悲観的トレーダーはチャンスを見ても勝負をしたがらないし、指値にもうるさすぎる。
そして最後にトレーダーが到達する境地は「現実的トレーダー」と呼ばれる投資態度です。 現実的トレーダーは自分のエントリーするトレードの全てが勝ちにつながるのではないということを達観しています。
しかし確率的に言って、「このくらいの勝率で、勝てる」というオッズ(勝ち目)を自分の過去のトレード記録から知っています。
現実的トレーダーはちゃんと自己に課したルールに基づいてエントリーし、利食いメドをたて、損切りを励行します。
現実的トレーダーはエントリーの値段を注意深く決めますし、チャンスが来るまで待ちます。
現実的トレーダーはちゃんと損切りの逆指値を用います。
現実的トレーダーはルールに基づいてエントリーし、勝率を知っています。
それではトレード日誌に記入されるべき事柄とは一体、何なのでしょう?
以下は自分独自のトレード戦略を編み出そうとする「発展途上」のトレーダーが記録すべき最低限のデータです。
ある投資対象のポジションを取って、利食い、ないしは損切りによってトレードが完結したならば、どこでポジションを建てて、どこで手仕舞ったかを日中足のチャートをプリントアウトして印をつけて下さい。
この場合、チャートはすぐプリントアウトするのではなく、まず日誌に銘柄とエントリーの時間(何分まで記録すること)、手仕舞いの時間を書き留めておくこと。そして日中足のプリントアウトは翌朝になってからで良いです。
なぜすぐに印刷せず、一日全部の値動きが出た後でプリントするか? というと、前後の関係がわからなければ自分のタイミングが良かったのか、悪かったのかの判断にならないからです。
トレード日誌には自分のトレードした銘柄のその日の日中足のチャートを印刷し、貼り付けよう。
ポジションを取ったとき、ビッド(Bid)とアスク(Ask)の両方の数字をノートに書き留めておくこと。約定価格も書き留めておくこと。
またトレードを手仕舞った時も同様にビッドとアスクの両方の数字をノートに書き留めて下さい。
なぜビッドとアスクのスプレッド(価格差)を常に記録するかというと、トレードの勝ち負けを後で分析する際にどの要素がどれだけ足を引っ張ったかを把握できるようにするためです。
例えば下のようなノートをつけたとします。
トレード日: 9月23日
時間: 11:49 PM
銘柄: ES(E-mini S&P500)
売り買い: 買い
約定値段: 1130.25
ビッド・アスク: 1130.00 - 1130.25
トレード日: 9月23日
時間: 11:51 PM
銘柄: ES
売り買い: 売り
約定値段: 1131.50
ビッド・アスク: 1131.50 - 1131.75
上の例の場合、売値(1131.50)から買値(1130.25)を引くと1.25の利食いになっています。
つぎにビッド・アスクの差を見ると、エントリーしたときも手仕舞いしたときもスプレッドは0.25でした。
これだと利食い幅がスプレッドの5倍あるわけで、スプレッドと利益の比率は1:5となります。
「なんだかチマチマした話だな」と思われる読者も多いかと思いますが、これはES(S&P500指数先物)だからこそ、これだけ小さいスプレッドでトレードできるわけで、これがもし他の投資対象(例えば日経225)なら、同じ日の同じ時間にトレードしたとしても利益が出ていない可能性だってあるのです。
いま日経225とS&P500は大体同じような動き方をしますから、もしこれで利益が出せなかったのなら、あなたはマーケット・タイミングや相場の方向性を読む能力で負けたのではなく、トレード対象の流動性で負けた、つまり「スプレッド負け」したことを意味するのです。
相場観やタイミングは当っていても、トレードする対象をシビアに選ばなかったがために本来勝てたトレードで負けたわけです。
以上はトレード日誌をつける一例に過ぎませんが、P&L(Profit & Loss=損益)を分析する上でどのような情報が必要か、これでおわかり頂けたと思います。
海外先物取引の価格は対象となっている株価指数や商品等の価格の変動、または金利、通貨、経済指標、政治情勢の変化等、さまざまな要因により上下するため、これにより損失が生じるおそれがあります。とくに海外商品先物取引は、それぞれの商品(コモディティ)に特有なファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)の影響を受ける等のリスクがあります。また、海外先物取引は差し入れた委託証拠金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託証拠金を上回るおそれがあります。委託証拠金率が一定率を下回った場合、ロスカットルール(※)により全ポジションが強制決済されます。市場環境が急激に変動する場合には、ロスカット価格がロスカットルール適用時の価格から大きく乖離して約定することがあり、その結果、損失額が委託証拠金の額を上回る可能性があります。
1枚あたり以下の取引手数料がかかります。
銘柄名 取引手数料(米セント未満切捨て)
株価指数(Equity Index) 米ドル建 4.95米ドル(税込)/枚、円建 ラージタイプ 440円(税込)/枚、円建 ミニタイプ(SGX) 220円(税込)/枚、円建 ミニタイプ(CME) 330円(税込)/枚
エネルギー(Energy)、金属(Metals)、農産物(Agriculture) 米ドル建 ラージタイプ 6.60米ドル(税込)/枚、米ドル建 ミニタイプ 4.95米ドル(税込)/枚、米ドル建 マイクロタイプ 2.75米ドル(税込)/枚
海外先物取引をおこなうには委託証拠金の差し入れが必要です。必要委託証拠金は各外国金融商品取引所または各外国商品取引所が発表するイニシャル証拠金(発注時証拠金)、メンテナンス証拠金(維持証拠金)およびSPAN(シカゴマーカンタイル取引所が開発した証拠金計算方法)をもとに当社が定めます。
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