本章のまとめ
先物取引は失ってもよい余裕資金でトレードを楽しんでください
資金力に限りがある投資家は小さなポジションに徹してください
先物は長期投資には適しません
最終売買日が近づいたら早目にトレードを手仕舞ってください
いちばん活発にトレードされている限月を自分もトレードする習慣をつけること
先物取引は大きなリスクをともないます。投資資金の一部または全部を失うことも珍しくありません。さらに、投資資金以上の損失を被ることもあります。取引に際しては先物取引のリスクや商品性をよくご理解のうえ、トレードしてください。
先物取引をはじめるにあたり重要なことは余裕資金で口座を開けてほしいということです。
将来、マイホームを購入するとか子供の学資のための貯金や老後のための蓄えなど、なくなってしまっては困るお金で先物取引をしないでください。
これはどうしてかというと先物取引はレバレッジ※がかかっているしトレード対象によっては価格変動が激しいので大きなリスクを伴うからです。投資資金の一部または全部を失うことも珍しくありません。さらに、投資資金以上の損失を被ることもあります。
先物取引はレバレッジがかかっているしトレード対象によっては価格変動が激しいので大きなリスクがあります。
リーマン・ショックや2010年の5月の「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれる瞬間的な急落など、マーケットは時として我々の予期しない動きをする場合があります。その場合、先物取引ではレバレッジがかかりますので大きな損失を被ることがあります。
また建玉の大きさと含み損の具合によっては追加で証拠金を入れなければならなくなる場合もしばしばあります。
追加証拠金は気分の良いものではないですし、だいいちトレードのリズムを乱してしまいます。
追証がしばしば発生するトレーダーは自分の限度を超えた無謀なポジションを取っている場合が多いです。また見切るべき商いをサクサク損切りする規律ができていない場合も追証を招きやすいです。
このような状況に陥るリスクを減らすため資金力に限りのある投資家は小さなポジションに徹することが好ましいです。
追加証拠金は気持ちの良いものではないし、追証が発生するということは何か自分がやっていることが間違っているわけで、反省するとともに原因を究明してください。
先物には限月があります。最終取引日が迫った限月は反対売買することにより処分しなければいけません。従って先物取引は仕組み上、長期投資には向かないのです。
加えて第2章でも説明しましたが先物はアセット(財産)ではなくライアビリティー(義務)です。
先物取引はその仕組み上、短期のトレードでこそ持ち味を発揮します。
先物の買い手(バイヤー)は最終取引日が過ぎれば大豆や原油などの現物を引き取る義務があります。このため食品会社や石油精製業者などの事業会社である場合を除けば97%の市場参加者は最終取引日直前のトレードを敬遠します。
大部分のトレーダーが早目に手仕舞ってしまうということは、愚図愚図していたら出来高が細ってきた状態で反対売買をかけなければいけなくなることを意味します。その場合、ビッド(Bid)、アスク(Ask)のスプレッドは大きくなりがちです。自分の有利な値段でポジションの処分ができなくなるリスクがあるわけです。
最終取引日が来ると取引所(CMEなど)が最終清算値(SOQ)と呼ばれる清算値段を決めます。これは中立な立場である取引所がフェアだと思われる値段を一定の手続きに基づいて決めるわけですから一見すると問題ないように思われます。
しかし実際にはマーケットで売り手と買い手の競り合いによってついた値段ではないため、どうしても最終清算値の恣意性が気になってしまいます。
恣意性が入る余地がなぜ発生するかといえば株価指数の場合、かならずしも全ての銘柄が寄り付きの時間に取引開始されるとは限らないからです。銘柄によっては数分から場合によっては一時間以上も商いが成立しないケースもあります。このため実際に以下のケースではその日の公式な株価指数のレンジ(高安 high & low)の中に最終清算値が収まらなかったのです!
株価指数のレンジの外で最終清算値が決まった例 |
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2004年12月 |
2005年 6月 |
2006月 3月 |
2007年 9月 |
2008年 9月 |
2009年 3月 |
2009年 9月 |
2010年 3月 |
(出典:CMEグループ)
どうですか? 意外に多いですよね。
このため年季の入ったトレーダーは価格を取引所の判断にゆだねることを避けると言われています(もちろん、農家や石油精製業者など実際に現物を受け渡しする必要のある市場参加者はこの限りではありません)。
プロは最終清算値でトレードの勝ち負けを第三者の判断にゆだねることを嫌います。
先物には配当もありません。このことも先物のコントラクトを長期で抱いておいても得なことはないもうひとつの理由です。
よく限月を気にするのが嫌だという理由でずっと期先のコントラクトを取引しようとする個人投資家がいますがこのトレード戦略はお勧めできません。
なぜなら先物でずっと期先のコントラクトを売買しているのはプロ中のプロだけだからです。農家の人が収穫をヘッジするとき、あるいは投資銀行が大口機関投資家のための特別仕様の店頭デリバティブを組成した際、それをヘッジする目的で期先のコントラクトを手当てするなどがこれに相当します。
そういう事情通と勝負したって勝てる見込みは少ないし、第一、出来高が少ないのでビッド(Bid)、アスク(Ask)のスプレッドが極端に開いていて自分のイメージ通りの値段では約定出来ません。
いちばん活発に取引されている限月をトレードすること
そのスプレッドの大きさに比べれば、期近の流動性の高いコントラクトをトレードした方が遥かに良いです。
その場合、時間切れになるまでに上手く利が乗らなかったなら一度反対売買してまた次の限月に乗り換える(=ロール・オーバー)方がコスト的には安上がりです。(普通、期先のコントラクトのスプレッドの大きさより証券会社の手数料の方が安いから。)きびきびしたリズムで反対売買をする癖をつけてください。
期先のコントラクトを長期投資のつもりでトレードするとスプレッドで思わぬ高い買い物につく場合がある。面倒でも期近のコントラクトを先ず選び、ロール・オーバーする習慣をつけること。
先物取引はゼロサム・ゲームです。ゼロサム・ゲームというのは儲かっている人の陰に必ず損している人が居るということを指します。しかも限月があるわけですから入り方を間違えたトレードでは時間の経過がミスをおぎなってくれるということはありません。
海外先物取引の価格は対象となっている株価指数や商品等の価格の変動、または金利、通貨、経済指標、政治情勢の変化等、さまざまな要因により上下するため、これにより損失が生じるおそれがあります。とくに海外商品先物取引は、それぞれの商品(コモディティ)に特有なファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)の影響を受ける等のリスクがあります。また、海外先物取引は差し入れた委託証拠金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託証拠金を上回るおそれがあります。委託証拠金率が一定率を下回った場合、ロスカットルール(※)により全ポジションが強制決済されます。市場環境が急激に変動する場合には、ロスカット価格がロスカットルール適用時の価格から大きく乖離して約定することがあり、その結果、損失額が委託証拠金の額を上回る可能性があります。
1枚あたり以下の取引手数料がかかります。
銘柄名 取引手数料(米セント未満切捨て)
株価指数(Equity Index) 米ドル建 4.95米ドル(税込)/枚、円建 ラージタイプ 440円(税込)/枚、円建 ミニタイプ(SGX) 220円(税込)/枚、円建 ミニタイプ(CME) 330円(税込)/枚
エネルギー(Energy)、金属(Metals)、農産物(Agriculture) 米ドル建 ラージタイプ 6.60米ドル(税込)/枚、米ドル建 ミニタイプ 4.95米ドル(税込)/枚、米ドル建 マイクロタイプ 2.75米ドル(税込)/枚
海外先物取引をおこなうには委託証拠金の差し入れが必要です。必要委託証拠金は各外国金融商品取引所または各外国商品取引所が発表するイニシャル証拠金(発注時証拠金)、メンテナンス証拠金(維持証拠金)およびSPAN(シカゴマーカンタイル取引所が開発した証拠金計算方法)をもとに当社が定めます。
※海外先物取引について、必要な証拠金に対する取引金額の比率は、銘柄によって異なるため記載することができません。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
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