第15回 株式と債券のリスク比較(最終回)

今回は、株式と債券の主要なリスクの比較を紹介いたします。

目次

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リスクの種類

「第13回と14回 外国債券のリスクについて」に続き、今回は、株式指数と個別株、および本国債のリスクの日米比較をご覧いただきます。最後に、株式と債券のデフォルト・リスクについて、例を用いてデフォルト時の回収(リカバリー)率のお話をします。

株価変動リスク(為替リスク抜き)チャート

ここで選択した調査対象は、国内では日経平均と最近の組入比率が高いファストリテイリング株、国外ではニューヨーク・ダウ平均と組入比率が高いボーイング株としました。

出所:ブルームバーグのデータを用い、楽天証券が算出

日経平均にくらべ、概ねダウ平均(為替リスク抜き)のリスクの方が低い水準であることが見られます。これは、日経平均にくらべダウ平均の時価総額は約2倍、出来高は約12倍で市場効率が高い(流動性が高い)ことが理由であると考えられます。指数は個別株の寄せ集めであることから、個別株のリスクは指数より高い傾向にあり、特にファストリテイリングは、チャート始点時点では時価総額が今の数分の一程度しかなかったこともあり、リスク量が特に高い時期もありました。

債券単価変動リスク(為替リスク抜き)チャート

次に、債券のリスクと比較いたします。チャートに関する詳細は「第14回 外国債券のリスクについて(後編)」をご参照ください。

出所:ブルームバーグのデータを用い、楽天証券が算出

上段の同じ期間の株のチャートでは、日経平均のリスク量は低い時で10%台半ば、ダウ平均は10%程度の水準となっていることに対し、日本国債は高い時で10%程度、米国債は10%台前半と、株式指数と比べてもリスク量は概ね低めといえます。個別株のリスクと比較すると、大きく違うことが見て取れます。

米国株価に係る為替レート変動リスク・チャート

出所:ブルームバーグのデータを用い、楽天証券が算出

前述の米国株価リスクのチャートは、為替リスクを加味しない米ドル単位での株価変動リスクを示しましたが、今度は為替リスクを含めた円貨での株価のリスクをチャートにしました。一番の特徴はリーマンショックの影響で、株価が急落した場面でのリスク量は、為替も乱高下したことからショック前の水準と比べ、数倍のレベルまで急増し、ダウ平均のリスク量も一時は50%超となりました。

米国債に係る為替レート変動リスク

出所:ブルームバーグのデータを用い、楽天証券が算出

一方、債券のリスク量は、チャート右側の満期に近づくにつれて債券単価の変動が低位に収束することで、為替レート変動リスクの影響が色濃くなり、円貨建て米国債リスクと為替リスクの動きが段々と同調する傾向があります。一方、上段の株価リスク・チャートでは、期間を通して、為替リスクの影響は強弱はありますが、債券ほど同調しませんでした。これは株に満期(償還期限)がないことや、米ドル建て株価リスクが、為替リスクより大きいことが反映されています。

デフォルト・リスク

第13回 外国債券のリスクについて(前編)」では、大手格付け機関のS&Pが公表する過去のデフォルト率データをご紹介しました。今回は、デフォルト・リスクは債券保有者と株保有者には格差があることを簡素化した例を使って紹介します。
例:以下の状況にある架空の上場企業「ABC社」が、資金繰りができず突如倒産(デフォルト)し、会社清算したことを想定します。

総資産:
100億円
負債総額:100億円
(負債は債券調達した金額のみ)
総資産(株主資本):20億円

会社清算の結果、残余財産50億円が現金で残ったとします。この場合、現金50億円は、すべて債券保有者へ対する負債の弁済に充当(返済50億円/債務80億円=リカバリー率62.5%)され、株式保有者への充当はゼロとなります。これは、債券の方が、株式に比べ弁済順位が高く、株より優先して弁済に充当されるためです。もし、残余財産が90億円あれば、債券にかかる債務を弁済しても、残った10億円が株主に戻ります。
このように、債券にとっては、デフォルトの場合のリカバリー率は重要な要素となります。株式にも同じことは言えますが、優先順位が一番低いため債券ほどは期待できないでしょう。

最後に
過去データを用いており将来を予測するものではありませんが、債券と株式のリスク量、およびデフォルト・リスクの影響の差を紹介しました。株でも債券も為替でも証券投資には必ず何らかのリスクがあります。リスク低減のためにも、分散投資をお勧めします。

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