楽天証券ニュース

2014年3月30日

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楽天投信は、楽天グループの資産運用会社として、資産運用における個人投資家の「エンパワーメント」（インターネットを通じて人々と社会に力を与えること）に向け、投資を考え、実践していく会社です。誰もが無理なく投資の成功を得られるように―――そんな願いを込めながら、投資の基本的な考えや商品に触れたお話を2週間に1回、お届けしてまいります。

前回、長期投資におけるリターン（価値の積み上げの度合い）とリスクの対比について、米国の高格付債券とハイイールド債券を例にとって見てみました。今回はそれに株式を重ねるとともに、全体感の整理をします。

まず、前回の、米国の高格付債券（国債および高格付企業）と、格付が低い代わりに利回りも高いハイイールド債券を対比したグラフに、米国株式も重ねてみます。

米国の投資資産の推移

高格付債券：バークレイズ米国総合インデックス
ハイイールド債券：バンクオブアメリカ・メリルリンチ米国ハイ・イールド・マスターⅡ指数
株式：S&P500指数配当込（データの都合上86年8月から87年7月までは配当無）
1986年8月末～2014年1月末。ドルベース。始点を100として指数化。
Bloomberg.のデータをもとに楽天投信投資顧問にて作成。

ご覧いただければ一目瞭然ですが、高格付債券⇒ハイイールド債券⇒株式の順に、リスクを取る（ブレ具合を許容する）ほど長期リターンも高くなるという、いわば投資の教科書的な対比が実現しています。

投資啓蒙書や各金融機関発行のパンフレット等で、投資初心者のためにいろいろな説明がされていますが、投資に関することは一概に言えないことがあまりにも多く、漠然とした記述も多々見られます。そのため、リスクとリターンについても、結局どう考えたらいいかわからない、というご意見を良く伺います。

ですので、あえて踏み込んで、大雑把に、各資産のリスク順に、期待できる長期リターンの具体的な水準を並べてみました。結果、以下のようになります。

1.最も投資リスクが低いのは、信用格付けが高い債券・債権の短期金利

米国や日本のように先進国の場合、要するに自分の国の短期国債や、預金保険が適用される普通預金を意味する。

・期待リターン：経済環境・インフレ動向等によるが、近年は各先進国における利回りはほとんどゼロ

2.次にリスクが低いと位置づけられるのは、信用格付けは高いが、満期までの年限が長い債券

金利動向によって保有期間中の債券価格がそれなりに変動する。

・期待リターン：経済環境等によるが、短期金利＋1～5%くらいの利回り

3.債券でもリスクが相対的に高いとされるものとしてあげられるのは、信用格付けが低い代わりに、利回りも高いハイイールド債券

・期待リターン：経済環境や市場の需給等によりかなり幅があるが、一般的には短期金利＋4～10%くらいの利回り

4.そして、リスクも期待される長期リターンも最も高いのが、株式

・期待リターン：企業収益の積み上げ、すなわちROE（Return On Equity/企業の資本に比してどれくらいの利益を上げたかの指標）は、景気低迷期を除くと短期金利＋10～15%くらい

※株式の長期的な収益は、企業が株主から投資された資金（株主資本）に対してどれだけの収益を上げるかに依存する。

という順番です。
いかがでしょうか？我が国においては、自国の株式がつい最近まで長期低迷を続け、またグローバル投資をしても為替の影響でなかなか安定的な長期投資収益につながってこなかったため、リスクとリターンの関係や具体的レベル感が掴みにくいのが実情です。しかし、米国の資産の過去における大まかな全体感は、実はちょっと拍子抜けするくらい単純かつキレイな序列になっています。

このコラムで「予想を当てるのではなく長期的に収益を目指す仕組みに投資」しよう、と申し上げているのは、円ベースでもこうしたリスク・リターンの整理ができるようにして、自分が取れるリスクの範囲で長期投資しよう、ということにほかなりません。

さて、実はそれほど難しくないはずの長期投資ですが、一方で「課題」もあります。続きは次回に。

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