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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2012年5月21日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

5月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(5/18終値)
前週末比
(5/11比)
日経平均 8,611.31 -342.00 -3.82%
NYダウ 12,369.38 -451.22 -3.52%
金利・為替 週末終値
(5/18終値)
前週末比
(5/11比)
長期金利 0.830% -0.020%
ドル/円 79.02  
ユーロ/円 100.99  

準備は進んでいますか?

前週の総括

■ギリシャのユーロ圏離脱を織り込む

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。今週も日経平均株価は前週末対比大きな下落となり、率にして△3.82%の下落となる8,611.31円まで下落して一週間の取引を終えました。2012年大発会の初値は8,549.54円ですから、間もなく今年の値上がり分をすべて吐き出すところまで“いってこい”となってしまいました。シカゴの日経平均先物の終値が8,555円ですから、まずはその水準で今週はスタートとなるはずです。前回もバリュエーション的には“妥当な水準”にまで低下したとご案内しましたが、今週はさらにそれが低下し、日経平均の今期予想PERは11.39倍にまで低下しています。この水準は市場が一斉に強気に傾いていた3月中旬から3月下旬、日経平均株価が10,000円の大台を回復していた頃の半分以下にあたります。現状水準から1,500円以上も上値、率にして17〜18%も上値で、バリュエーション的にも2倍の水準にあった状況で日本株の割安性と上昇期待を唱えていた強気ロジックはどこにいったのでしょうか?

 背景にギリシャ問題が大きく影響していることは言うまでもありませんが、市場はようやくギリシャのユーロ圏離脱の可能性を踏まえてそのリスクを織り込み始めたという感じです。ただギリシャ問題に関してここで確認しておきたいことは、このメルマガでも何度もお伝えしてきた通り、ギリシャ向け第2次支援策が決定した時点でも、ギリシャ国内世論の緊縮策反対の市民デモや暴動は一向に終息する気配を見せず、またパパデモス暫定政権が総選挙により覆り、新政権が緊縮財政策の受入れを反故にする可能性の高さはずっと指摘されていました。市場はギリシャ総選挙において「賢明な判断がされるはずだ」と安易な期待を抱いていたのかもしれませんが、それは単に市場にとって都合が良い“賢明な判断”を想定していただけのようです。事態は6月中旬の再選挙の結果をみるまでは、やはり何とも言えない状況になってしまったと言えます。残念ながら現時点において、ギリシャのユーロ圏離脱による影響については、まだ充分なコンセンサスは得られていません。すなわち影響度合いがどこまで拡大するのか、スペインやイタリアにまで拡大するのか、あるいは欧州圏の景気鈍化がどの程度新興国経済にマイナスの影響をもたらすのか、などについては市場のコンセンサスはまだ得られていないという意味です。急速に疑心暗鬼も含めて市場マインドは委縮する方向でその可能性を織り込もうとしていますが、着地点はまだ見えていない状況ですので、当面は落ち着かない状態が続くと思われます。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価のこの一年間の推移です。----------8,500円に絡むようだと、今年前半の上昇分がすべて剥げ落ちます。>

■ユーロ安進む

 先週のユーロの安値は対ドルで1.2642と前週末5月11日の水準1.2917よりもさらに売り込まれる結果となりましたが、週の終値では1.2782とやや値を戻しています。対円でも最安値は100.21円となりましたが、NYでの週末終値は100.99円と若干戻して終了しています。単なる週末のポジション調整による動きかもしれませんが、最安値のまま終了していないことぐらいが小さな朗報かもしれません。ギリシャのユーロ圏離脱シナリオと、相次ぐ欧州系銀行の格下げなどにより、通貨ユーロの信用度は一気に剥落しているというのが大きな流れですが、おそらく最悪シナリオまでを織り込む水準で一旦は足踏みを始めると思います。現時点ではまだ早いと思いますが、週末にこうした戻しがあるのは、その兆しが出始めているのかもしれません。

 その視点から見ると、週末の米国債券市場もさすがにリスクオフによる安全資産への逃げ込みという流れだけの債券買いに疲れが出たのか、1998年以来となる9週連続の金利低下とはなりましたが、最安値の1.6971%からやや切り返し1.7226%で週を終えています。しかしながら、前週末5月11日に比べると0.115%の金利低下です。米国の景気回復の流れにも黄信号がつき始めており、やや慎重な動きになってきているのかもしれません。


(出典:Bloomberg.)

<米国10年債金利の過去5年間の推移です。----------今がどのくらい異常な低金利なのかはご覧の通りです。>

今週のポイント

■現状、欧州債務問題の行方は誰もわからないはず

 さて、当面は市場参加者にとって一番注目すべき問題は欧州債務問題であり、その中心にいるのがギリシャです。ただ誰が主人公になるのかは全員がわかっていますが、残念ながらその台本もシナリオも何も誰にもわかっていません。「インビジブルハンド(見えざる手)」が何とかギリギリの線で最悪のシナリオを回避するように働くというストーリーを期待したいのは山々ですが、今はそのシナリオを誰が書くのかさえも決まっていない状況ですので、この先、物語がどのように進行するのかは神のみぞ知るというのが偽らざる実態のはずです。あきらかなことは、安易な楽観論を振りかざすことの無意味さだと思います。現実に、5月6日のギリシャの総選挙においては、ギリシャ国民の賢明な選択がなされると誰もが高をくくっていたのですから、次回は違うかもしれませんが、同じことになるかもしれません。個別に世論調査をすればEU離脱反対を唱えるギリシャ国民も、ひるがえって自分自身が先頭切って重荷を背負い込めるのかといえば、違っても当然です。我が国の情勢に当てはめてみれば、そうなることは議論の必要さえありません。

 EU離脱の是非についても、こういう時は歴史を紐解くのもひとつのヒントになりますが、じつは歴史上ではギリシャはヨーロッパではないという見方ができます。ギリシャが西欧諸国と一緒に行動をするようになったのは第2次世界大戦後、チャーチルとスターリンが東西の線引きをするという段階でギリシャ・ブルガリアの国境で線引きをしたという事実に遡ります。しかし、宗教的な背景や文化的な流れを見ると、他の西欧諸国とは随分と趣を異にするのです。すなわち、今の時点から見るとギリシャのEU離脱というのは突飛な話でも、70年も遡れば当然のことなのかもしれません。

 そもそもユーロという欧州統一の実験通貨が誕生した背景からして歴史を紐解かないと今回の問題の基本はわかりにくいと思うのですが、今現在で望むべきシナリオはユーロが暴落しないことに他なりません。ギリシャ危機がまた混迷を深める中で、すでにギリシャの銀行から預金が流出していることが伝えられています。もし、この話がスペインやイタリアに拡散するということになれば、ユーロを売って、ドルを買うというような流れも当然起きえます。その時、ユーロはどこまで売り込まれるのか?そんな仮定の中で想定されるシナリオはかなり悲観的なものになりますが、繰り返しになりますが、ポイントはどれが正しいのかは誰もわからないということです。少なくともギリシャの再総選挙が終わるまで。

■米フェイスブック上場について想うこと

 交流サイト大手の米フェイスブック(FB)が18日、米NASDAQ市場に株式を上場しました。新規株式公開(IPO)の売り出し価格を1株当たり38ドルに設定し、取引開始直後に公開価格を11%上回る42.05ドルの初値をつけましたが、その後は振るわず、日中取引の大半は公開価格の38ドル前後で推移し、結局終値は公開価格からわずか0.6%高の38.23ドルとなりました。新規株式公開(IPO)に伴う資金調達額は約160億ドルとなりインターネット関連企業では過去最大となりましたが、ややこの騒ぎには市場関係者として違和感を感じています。

 たしかにフェイスブックには私も1日に何度もアクセスし、書き込みもしますし、友人や知人の投稿から情報を得たり、「いいね」と押しながら共感を覚えたり、新しいコミュニケーションのあり方として非常に楽しく使わせてもらっていますが、ただそれが投資家の眼として見た時に、アマゾン・ドット・コム(AMZN)マクドナルド(MCD)と同程度の時価総額を持つほどに経済的な付加価値を世の中に(将来性も含めて)与えるものかというと、やや疑問に思っています。まず、私はパソコンからもスマホからもフェイスブックを使うそれなりなヘビーユーザーだと思いますが、有難いことに1円も同社へは支払っていません。これはGoogleなどと同じように、企業の宣伝広告費でまかなわれるものなので、ユーザー自体は利用料金を支払わないで済むというのが同社のビジネスモデルだからです。

 SNS自体の利便性や楽しさを否定する気は毛頭ありません。だからこそ、全世界ですでに9億人以上のユーザーがこれを利用しているであり、ジャスミン革命と呼ばれた民衆革命が起こったきっかけもSNSがあったからだと言うことも充分に理解しています。しかし、これをビジネスとして収益がアマゾンドットコムやマクドナルドに匹敵するほどに挙げられるものになるのかどうかについては、誤解を恐れずに敢えて本音を語れば「わかりません」というしかないのです。まだベンチャーに毛が生えた程度のヤフー(YHOO)をシリコンバレーで訪ねた時も、まだ資金繰りに汲々とし、ジェフ・ベソスCEOの破産の噂が何度も聞かれたアマゾン・ドット・コムをシアトルで訪問した時も、そのビジネスモデルには目から鱗が落ちるような驚きと納得感がありました。単なるWebのポータルサイトだと思って私たちがキーワードを入力して閲覧したいWebページに飛んでいく時に残していく足跡が、マーケティング・ツールとしてはどんなに効率的なデータなのかを教えてくれたのがYahooでした。またウォーレン・バフェット氏でさえも「わからないものには投資しない」とアマゾン・ドット・コムへの投資は躊躇されている頃(ITバブル崩壊後に初めて投資開始)でしたが、郊外のモールに店を構えるバーンズ&ノーブルなどのリアル店舗と比較して、本の宅配というサービスが、まずはどれほど米国本土でニーズがあるものなのか、その可能性を間違いないものだと納得するまでにたいして時間はかかっていません。コンビニでガムをひとつ買うのにもクレジットカードを使うお国柄と、インターネットにクレジットカードの番号を登録するなんて「セキュリティー上の問題で何が起こるかわからない」と躊躇するお国柄との違いを強く認識したのもこの時でした。

 しかし、話は元に戻ってフェイスブックについてですが、グーグル(GOOG)がIPOの際に集めた資金約19億ドルの約8倍超の約160億ドルもの大金を集められるほどに、本質的な投資価値が高いかどうかについては正直疑問だと思っています。

 SNSはたしかに従来にはないサービスだとは思いますが、絶対的に生活の中でなければならないものかと言えば、そうとは言えないと思うからです(この時点でもしかすると、私はすでにフェイスブックに投資すべき投資家層ではないのかもしれませんが…)。もし課金サービスとなった場合は、今の段階では私はおそらく同サービスを使わなくなると思います。現在はリアルの世界で直接面識のある人とだけ繋がるような設定にしてありますので、不特定多数の人とのコミュニケーションとか、繋がりが増えるということはありませんが、逆に言えば、本名を晒している以上、そうまでしてプライベートを出す必要もないのかなと思っています。つまりオープンな様で、案外クローズドな世界。果たしてメディアとして可能性はどこまであるのでしょうか? そして何より、今まで一度もフェイスブック上のスポンサー広告を見て、何らかの購買行動を起こしたことがないということがポイントです。Googleなどの検索エンジンの場合、検索した物についての紹介ページなどに飛んで、結果として「ついで買い」をしたことは少なからずあります。しかしSNSではそれがありません。私の年齢がそうした対象から外れる層になってしまっているのかもしれませんが、どうも今回のIPOは騒がれ過ぎなような気がしています。引受金融機関の手数料が約1億7,600万ドルにも及ぶということもあまり良い話とは思えません。いずれにしても根拠なき熱狂に終わらないことを祈ります。

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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