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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2012年4月16日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

4月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(4/13終値)
前週末比
(4/6比)
日経平均 9,637.99 -50.46 -0.52%
NYダウ 12,849.59 -210.55 -1.61%
金利・為替 週末終値
(4/13終値)
前週末比
(4/6比)
長期金利 0.940% -0.045%
ドル/円 80.93  
ユーロ/円 105.73  

宴の後と見るか、単なる中休みか?

前週の総括

■強気筋は何処へ行った?

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。今年度初めの頃に聞こえた「日経平均株価は早晩11,000円や12,000円をトライする」と言った強気筋は一転どこに行ってしまったのかというような展開の一週間となりました。4月10日に開かれた日銀の金融政策決定会合で追加の金融緩和策が発表されなかった(どれほどまで市場が期待していたかは定かでありませんが…)ことを受けて為替市場で80円台半ばまでの円高が進むと、円安メリットによる企業業績の回復を期待していたシナリオが瓦解(がかい)、市場は一気に9,400円台をも下回る水準まで下落する展開となりました。先週の安値は4月11日(水曜日)につけた9,388.14円、週末の終値から振り返ると△2.59%も安いことなり、前週末比では△3%以上も下落した場面があったということになります。

 もうひとつ強気筋の居場所をなくした理由は、予想どおり再び欧州債務危機の再燃が危惧され始めたことにあります。ギリシャ問題でいったんは欧州債務危機を目先解決したかに捉えた市場でしたが、スペインの10年国債の利回りが6%をうかがう展開になり始め、ユーロ圏で経済規模第4位の同国の信用が揺れ始めたことで、再びリスクオフの姿勢が投資家に芽生え始めました。こうした流れを受けて、ユーロは一時対ドルで1.3033まで売られ、対円でも一時105.46円(11日)にまで下落しました。週末のNY市場での終値は105.83円ですから、いったんは107円台まで日本時間で戻りかかった状況も、再び悪化しての週末という状況です。

 スペイン国債の利回り上昇を受けてのNY市場の反応は今年最大の下落幅となる213ドル超の下落(10日)となり、2月2日以来2カ月ぶりの安値(12,710.64ドル)となりました。またこれを受けて米国10年債金利は急低下(債券は買われる)し、約1カ月ぶりの2%割れとなりましたが、週末の終値もやはり1.9823%と週を通じた安値界隈にまで低下しています。米国で始まった1-3月期の企業決算はアルコアの決算が市場予想を上回るなど良好なものとして始まりましたが、市場を牽引するには力不足のようです。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価のこの1週間の推移です。----------最安値は9,300円台です。>

■欧州債務危機再燃

 前述のとおり、先週の市場動向で懸念されたネガティブ・ファクターの主たるものはスペイン国債の利回り上昇です。週末の終値は5.977%となっていますが、先週6%を超えての取引が10日以降、何度か発生しています。また週末にはスペイン国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは498bpと過去最高を更新しました。こうした流れを受けて同国10年債利回りのドイツ国債に対する利回り格差は420bp〜430bpにまで拡大しており、これは昨年秋に市場が欧州債務危機に揺れた頃に次ぐ水準となります。当時のスペイン債利回りは6%台後半にまで上昇していますから、現状の6%絡みという水準はまだ低いとも言えますが、一度動き出すと一方通行にもなりやすく、注視される展開となってきました。少なくともスペイン経済の現状については住宅バブルの崩壊や失業率の上昇など、残念ながらいい話は伝わってきていません。

 問題はこうした流れの中で、欧州債務危機が先月のギリシャ向け第2次支援決定で3月20日のギリシャ国債の借換えが上手くいったという小手先のことでは片付いていないという不安を市場が再度共有し始めたということです。楽観論に一度は傾きつつあるかに見えましたが「火のないところに煙は立たない」とばかり、再びこの問題が危惧される流れに変わりつつあります。あまり報道にも取り上げられていませんが、ポルトガルの信用不安も火が消えたわけではありませんし、イタリアも熾火のようなものかもしれませんが、燻っているのはたしかです。つまりPIIGS問題自体はまだまだ鎮火していないはずです。


(出典:Bloomberg.)

<ドイツ国債とスペイン国債の利回り格差です。----------上段のグラフは両国のそれぞれの金利推移で、下段のチャートはその差の推移を示しています。>

 ポイントの一つは緊縮財政が続く南欧諸国の情勢が、グローバル経済の失速を招き始めているという事が、確認され始めているということです。中国景気のスローダウンはあきらかに欧州向け輸出の減少が原因ですし、中国向けの資源輸出で潤うはずの豪州景気のスローダウンは、その連鎖の流れが拡大していることを端的に証明しているものです。中国が元の変動幅を拡大することを週末に決定したことも、こうした流れが背景にあります。

 そしてもうひとつは5月6日と言われる、ギリシャの総選挙とフランス大統領選挙です。前者が緊縮財政を受け入れたギリシャの現政権の約束を違えるようなポピュリズムに走る新政権が誕生すること、あるいは後者が自国経済優先の人気取りに走る大統領政策に変わることなどが懸念されています。政治が国民世論の顔色をうかがって厳しい政策を打ち出さないことは万国共通だと思われますが、火種の発端となった国のそれと、ドイツと共にユーロを支える経済大国のそれとが期せずして5月の頭に何らかの結論が出るということに、市場は当面臆病にならざるを得ないとも言えます。

■S&P500種、週間ベースで年初来最大の下げ

 この1週間のNYダウの下落は幅にして△210ドル、率にして△1.61%となりましたが、市場全体を表すとも言われるS&P500種のそれは幅にして△27.82pts、率にして△1.99%となり週間ベースでは年初来最大の下げとなりました。ただ、下落率だけで見るとNASDAQのそれは△2.25%で、こちらは年初来最大ではありませんがS&P500種のそれをさらに上回ります。つまりNYダウのようにわずか30銘柄で構成される特異な指数以外はかなりな下落を演じたという事が確認できます。先週はアルコア(AA)ヒューレッドパッカード(HPQ)など、NYダウ採用30社の一部の企業に好材料が出たからということも、各株価指数の下落率の差異を生んだ背景かも知れません。これは日経平均株価TOPIXの関係であるNT倍率と同じタイプの考え方です。今週から本格化する米国企業の決算発表は大いに注目されます。


(出典:Bloomberg.)

<ユーロの対ドルでのこの一年間の推移です。----------現状水準よりユーロが売られるようだと、再び違う段階に入ったことになるかもしれません。>

■米消費者マインド指数に陰り?

 13日に発表された4月のトムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は75.7と前月の76.2から低下し、エコノミスト予想の中央値76.2よりも低い内容となりました。週末のNY株式市場が下落した理由の一つはこれです。米国マクロに対する楽観論にやや警鐘を鳴らすものと受け取られセンチメントの足を引っ張ったと言えます。

 市場はあきらかに「米国経済回復への期待」という一本足打法で多くの問題点を見て見ぬふりをしてきた昨今の流れですから、前回の雇用統計発表以降、米国マクロのネガティブな数値には神経質になりつつあるものと思われます。日本市場もこれから始まる2012年3月期決算の発表とそれに伴う今期見通しの発表に向けて、どこまで楽観的な企業業績予想を展開できるか注目したいと思います。

今週のポイント

■少しは国政状況も考えますか

 「(本当に発射された場合の政府の対応は)駄目だろうな」と多くの市場関係者は端から期待していなかったと思いますが、それでも13日に北朝鮮によるミサイル発射に対する日本政府の対応にはいちように落胆が隠せなかったと思います。「まさかここまで酷いとは…」というのが本音だろうと思います。つまり朝7時39分には米国の早期哨戒衛星からミサイル発射の連絡が防衛省にあり、その3分後には石垣島の自衛隊駐屯基地でさえ2発の信号弾による警戒連絡が行われるまでに現場認識は高まっていたにもかかわらず、日本政府が国民向けにミサイル発射の事実確認を発表したのは、米国の民間メディア報道よりもはるかに遅い40分後だったということです。もし北朝鮮が首都圏向けにいきなりミサイル発射を強行した場合、着弾して領土内の被害が確認されるまで、国民には何も知らされないばかりか、それ以前に迎撃する意思決定が政府で行われないだろうということが露呈したことに他なりません。「緊急事態に瞬時に即応する意思決定システム」がなければ、有事対応は不可能です。そもそもPAC3を配備してあったとは言え、超高速で落下してくる弾道ミサイルを迎撃できる可能性は物理的にも100%ではないことは証明されています。東日本大震災の時、それに続く福島原子力発電所事故の時に見せた首相官邸の危機管理能力についても同様ですが、残念ながらこの国の危機管理システムはかなり憂うべき水準にあると考えざるを得ません。かと言って、国民一人一人で自警できるレベルの話かと言えば、到底それも無理な話です。

 問題はこの後、国威発揚を狙ったミサイル発射が失敗した北朝鮮の新指導部が、どのようにして名誉挽回を図ろうとするかです。ここで試される我が国の対応力は国連への働きもさることながら、関係各国への外交手腕です。米国もこの問題には大変憂慮しているのは事実ですが、直接米国本土まで核ミサイルが飛んでくる可能性があった段階と、今回の失敗でとりあえずそれは無理だということが証明された現段階とでは、おのずとその危機管理のプライオリティが変わってきています。ゆえに関心はすでにイランを始めとした中東情勢の方に向かっています。

 しかし日本と韓国はそうはいきません。両国は残念ながら今現在で北朝鮮の射程圏内にすでにあります。そして韓国はミサイルの発射を即座に確認していますが、日本政府は着弾するまで事実確認ができないような意思決定メカニズム(決して自衛隊の防衛システム自体が物理的にそれが不可能なわけではありません)でしかないということです。今後、これらが地政学的リスクとして認識された時、外国人投資家にとって日本が従来どおりの「安全な投資先」と見なされるかどうかもわからなくなったかもしれません。

■ソニーの経営方針説明会には失望

 12日夕刻からソニー(6758)の新CEOである平井社長による「経営方針説明会」が行われました。その模様は同社のWebページ上でもプレゼンテーション資料と共に開示されていますから、すでにご覧になった方も多いかもしれませんが、正直なところその内容には失望しました。具体的なものがひとつもなかったということです。また前経営陣の体制のどこにどのような問題点があったと認識し、それをどのように改善した(する)から今後のソニーは株主として期待が持てるのかという説明もありませんでした。妙に「徹底して」とか「貫きます」というような精神論的な単語が多かったことと、カタカナ英語による言い回しが多かったという印象しか残っていません。「従来のソニーの経営方針決定システムでこの不合理な無駄を取り除きましたので、決定プロセスが2割早くなりました」という具体的なFACTに対する説明はなく、単に「徹底して加速させます」と決意表明されても、それが前経営体制と比較してどの程度改善されたものなのか、あるいは前経営体制は逆に「何を徹底していなかったのか」というような疑問が起こります。90年代に米国流の経営システムを日本企業としていち早く取り込み始めた初期の段階では、カタカナ英語が散りばめられるプレゼンは「やはり国際企業だな」とスマートさを感じましたが、公用語を英語にする日本企業まで登場する現代、中途半端なそれはむしろ滑稽に映りました。

 例えば『One Sony』という話がありましたが、いつまでに「ひとつのIDでソニーのすべての商品やサービスが利用できるようになるのか」というような具体的なマイルストーンは示されていません。ただ大きな水色のまるの中に『One Sony』と書かれているだけです。また『One Management』という説明がありましたが、それに続く新経営体制の説明を聞いていると、残念ながら「ひとつのマネージメント」になるという様子は感じられませんでした。少なくとも会場から出た質問にもありましたが、コンテンツを仕切る米国Sonyのマネージメントは日本国内のそれとは別立てで存在する印象です。「ハードとコンテンツの融合をOne Managementのもとで行う」という具体的な変革が示されなかったのは、投資家として残念に感じました。これでは翌日13日の市場で前日比△5.5%安になるのも頷けるというものです。

■海外生産加速に懸念

 最近、毎日の新聞に必ずと言っていいほど、日本企業の海外進出の話があります。日本企業の生き残り策としては海外進出は当然のことだと思うのですが、生産を海外移管するという内容のものがそのほとんどを占めていることにあらためて強い危惧を感じています。国内空洞化という話です。この辺りはまた機会をあらためて綴りたいと思います。

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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