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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2012年4月2日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

4月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(3/30終値)
前週末比
(3/23比)
日経平均 10,083.56 +72.09 +0.72%
NYダウ 13,212.04 +131.31 +1.00%
金利・為替 週末終値
(3/30終値)
前週末比
(3/23比)
長期金利 0.985% -0.030%
ドル/円 82.87  
ユーロ/円 110.55  

注目の2012年度が始まりました

前週の総括

■震災後の戻り高値更新というが…

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。日経平均株価は週の半ば27日に東日本大震災後の戻り高値(7月8日:高値10,207.91円)更新となる10,255.15円をつけましたが、日経平均株価の配当落ち約88円相当の下落分も重なり週末終値は10,083.56円となりました。ただ日経平均株価が震災後の戻り高値更新となる一方で、市場全体の動きを現すと言われる東証TOPIXの方は震災後の戻り高値879.48を抜くことはできていません。この状態を「指数だけが先行して上昇しているだけだ」と取るか、あるいは「市場全体にはまだ上げ余地がある証拠だ」と取るかは、現時点の投資家のスタンスによって違うだろうと思われますが、私の受け取り方は前者です。

 一方、米国株式市場の方は主要株価指数揃っての上昇でNYダウは13,200ドル台を維持して終わり、S&P500種も1,400pts台を維持して週末を迎えています。ナスダックは週前半に乗った3,100ptsは維持できなかったものの、3,091ptsと前週末よりはしっかりと上昇して終了しています。引値でこそ599.55ドルとなってしまいましたが、アップル(AAPL)の株価が一時は621.45ドルと上場来高値を更新し続けたことなどが、ハイテク株全般の印象をとても明るくしていると思われます。

 日本の長期金利は、上昇した前週とは反対に下落(債券が買われる)、対前週末比では△0.030%となる0.985%で終了しています。ただ米国10年国債の利回りも2.2317%から2.208%へとおおよそ△0.030%と同程度下落しており、日米金利差の縮小という結果にはならず、従って為替市場もドル円では前週末82.35円に対して82.87円とほとんど変らない水準で終了したと言えます。


(出典:Bloomberg.)

<東証TOPIXの2011年初めからの推移です。----------日経平均株価とはだいぶ違う印象です。>

■円高修正に一服感

 前回、週末23日のNY時間でドル円為替が一時81円台を付けたことはご案内済みですが、週明け日本市場に戻ってきてからの最初の3日間はやや落ち着きを取り戻したものの、29日、30日と共にドル円は一時81円台を付ける展開となり、一時期続いた“円高修正”の流れに一服感が出ています。前週はややリスクオンの姿勢に陰りが出たことが原因でしたが、先週のそれは日本企業が海外での収益を円に固定するための期末要因が中心であり、流れは変わっていないとの見方が大勢です。しかし逆に言えば、このあたりの水準がいったんの迷いどころになる水準であるとも見て取れます。前週23日に81円台を付けたのは瞬間的な印象が強いですが、先週のそれはあきらかに前週とは違った長さの滞空時間で81円台に留まっています。すなわち何らかの理由でリスクオンに懐疑的な見方が出れば、やはりまだ80円台半ばを目指すには時期尚早であり、かといって80円を超える円高にもなり難いということだと思います。


(出典:Bloomberg.)

<直近7営業日のドル円相場です。----------81円台での滞空時間は前週よりは明らかに長いです。>

■原油高、やや修正か

 イラン情勢の緊迫化を受けてこのところ続いていた原油高ですが、ようやくやや落ち着きを取り戻してきたようです。1バレル124ドルの状態が続いていたドバイ産原油においても、週末は120.17ドルとやや低下して終わっています。ただ国内で消費実感として感じるものは、いまだにレギュラーガソリンで160円を超えていますし、灯油の値段も上昇したままになっています。航空各社はジェット燃料高騰の影響で6月以降発券の航空運賃は燃料サーチャージ引き上げの影響により値上がりを示唆しており、また国土交通省の予測では、このゴールデン・ウィークの高速道路の渋滞予測は短くなっているようです。原油価格高騰の騰勢は弱まったものの、水準が下がってこない限り、消費への影響は免れないと思われます。

今週のポイント

■2012年度に入りました

 通常、新年度入りすると市場では「機関投資家の動きが活発になる」と昔から言われていますが、現実には年度替りで「さあ、今期は稼ぐぞ!」と動き始める機関投資家は現在はほとんどいなくなったというのが事実だと思います。また日経平均株価で見ると、たしかに3月末の比較では11年度末の方が10年度末に比べて328.46円(+3.37%)も上回った結果になりましたが、市場全体の動きを表し、年金基金などの機関投資家のポートフォリオの実態に近いと言われてベンチマークとしても重用される東証TOPIXで比較すると、じつは11年度末は10年度末を上回ってはいないことがわかります。10年度末のTOPIXの終値が869.38ptsであるのに対して、11年度末のそれは854.35ptsですから△15.03pts(△1.73%)の低下ということになります。「震災後高値更新」というのも、「前年度末を上回る株価水準」というのも、じつは日経平均株価での話であって、通常機関投資家がベンチマークとして意識するTOPIXについてはどちらも達成できていないということは注意が必要な項目です。

 ちなみに、為替の水準ですが10年度末のそれは対ドルが82.83円、対ユーロが117.50円です(共に東京市場終値)が11年度終値は前者が82.16円、後者が109.70円です。すなわち、対ドルでは円高修正はありましたが、それでも尚対ドルでは70銭近い円高であり、対ユーロでは8円近い円高だということです。ただし、長期債10年金利で見ると10年度末の1.255%から0.985%まで金利が低下していますので、円債での運用アロケーションが大きい機関投資家にとっては有価証券運用で利益を出せた一年間ということになった筈です。

■12年度予想でPERがどこまで低下するのかに注目

 11年度末の終値で算出された今期予想PERは22.70倍。これがそのままでは“高過ぎる”ことは誰もが納得する話ですが、現時点の市場の期待値は12年度末には約6割の増益となって、この予想PERが14倍程度まで急低下して現状の株価水準が正当化されるというものが主流です。そうでなければ現時点の株価は高過ぎるという事になります。そしてこの仮説が正しいかどうかが証明されていくのが今月後半から本格化する11年度決算発表と12年度通期見通しの発表です。市場は少なくともその時点では仮説の正しさを証明するという試練に立たされるはずです。

 約6割もの大幅増益になる根拠としては、11年度決算には東日本大震災により生じた直接的なダメージやサプライチェーンの寸断によって生じた間接的なダメージなど一時的な特別損失の影響が大きく、また同様にタイの大洪水による被害が大きく最終損益の足を引っ張っているという特殊要因がなくなるということが大きな背景にあります。また震災後加速した円高が修正されて、この為替メリットも12年度には期待できるということが前提にあります。

 為替の水準についての11年度と10年度の比較は前述のとおりです。最円高時期に比べればやや緩和されたものの、しかし10年度末比較では現時点においてもまだ円高水準にあるという事が言えます。この先、より円安が進むとすれば、それは“悪い円安”を含めた可能性の議論をしていかないとならないだろうと思います。

 欧州債務危機の問題は直接的には峠を越えたかに見えていますが、まだまだ問題は片付いていないと見ておかないとなりません。ギリシャ情勢はいったんは小康状態ですが、第2のギリシャにスペインがなってしまうようだとかなり収拾のつかない事態に成りかねません。IMFの資金支援について議論が再開されますが、米国は「欧州問題は欧州内での自助努力が優先」という姿勢をいまだ崩していません。またギリシャで総選挙が行われた場合、その結果についてはかなり未知数な部分が大きくなっています。

 前週から市場の気掛かりになっているのが、欧州景気と中国景気のスローダウンです。緊縮財政を強いられている欧州経済圏で景況感が大きく上向くためには、ドイツとフランスのリードが不可欠ですが、このところの両国のマクロデータは黄信号が灯り始めています。これに伴い、中国景気がスローダウンするとなれば、ドミノ倒しのようにグローバルな景況感にブレーキが掛かります。今のところは米国景気が持ち堪えていることが支えていますが、今週末発表になる雇用統計で市場の思惑が外れると予期せぬ展開になるかもしれません。そうしたグローバル・マクロの背景を実ビジネスの現場の人たちがどう織り込んで2012年度今期見通しを描き上げ、それが市場関係者の期待値とどこまで摺り合うのか、当面の焦点はそこに尽きると思っています。ミスマッチするようだと、その分の修正は当然にして起こるはずです。

■ITバブル以降の最高値を更新するNT倍率

 日経平均株価東証TOPIXも算出方法も対象銘柄数も違えばその変動の仕方に差異が出るのは当然です。ただその比率は通常はある一定の範囲に収まっているもので、どちらかがより割高になっていたり、割安に思えたりするのは、その比率が変動するからです。通常は日経平均株価÷東証TOPIXとして計算される「NT倍率」が一般的にみられていますが、週末現在のその終値は11.80261倍です。これはハイテク株がグングン買われて「異常に日経平均株価が高い」と言われた2000年ITバブルの頃に匹敵する水準にあたり、じつはその崩壊以降で現水準は最高値を更新し続けています。これをもって単純に日経平均株価が高過ぎると断じるのは危険ですが、かなり歪んでいることは事実だという事を今週の最後にお伝えしておきます。


(出典:Bloomberg.)

<2000年以降のNT倍率の推移です。----------チャートの左側で高いところが、所謂ITバブルの頃です。>

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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