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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2012年1月23日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

1月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(1/20終値)
前週末比
(1/13比)
日経平均 8,766.36 +266.34 +3.13%
NYダウ 12,720.48 +298.42 +2.40%
金利・為替 週末終値
(1/20終値)
前週末比
(1/13比)
長期金利 0.985% +0.030%
ドル/円 77.03  
ユーロ/円 99.62  

目線の置き方“全般は欧州、個別は米国”

前週の総括

■安心感が拡がる

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。結局この一週間も欧州債務危機に関わるユーロの動きに市場は最も関心を払ったという感じです。先週5日間のユーロ(対円)のチャートと日経平均株価のそれとを重ね合わせて見ると、ほとんどその動きに差がありません。日本は地理的関係上、欧米市場に先行してその1週間の取引が始まるため、月曜日の株価に変化は何もなく(国内要因を市場は無視)、火曜日から半信半疑でやや上昇を始め、その後木曜日深夜にユーロが対円で一時100円台を回復するような動きとなると翌金曜日の株式市場はそれを好感、一気に8,700円台を回復して寄り付くとそのまま終日8,700円台で安定して週末を迎えたという感じです。売買代金の方も、水曜日には1兆円台を回復したかと思えば、週末金曜日には1兆4,000億円台を一気に回復しました。先物やオプションなどのSQ取引日を除くと、この水準は10月28日以来の水準であり、じつはその日がおおよそ2カ月ぶりに日経平均株価が9,000円台を1日だけ回復した日だとお伝えすれば、市場が如何にこの上昇を歓迎したかがお分かり頂けると思います。逆に言えば、戻り待ちの売り物もこの水準になると多いということにもなるのですが…。株価上昇の背景にあるのは欧州債務危機に対する楽観的な見通しの拡がりです。前回お伝えした「S&P、フランスなどユーロ圏9カ国一斉格下げ」という問題は、やはり世間が騒ぐほどには資本市場を動揺させなかったという感じです。昨夏の米国国債格下げ問題の時と同様、市場は先行してこうした問題は織り込んでいる感じです。


(出典:Bloomberg.)

<ユーロの対円取引のこの1週間です。----------日経平均株価のそれとほとんど重ね合わせることができます。>

■欧州支援1兆ドルに倍増

 欧州債務危機への関心で、先週市場参加者を一番安堵させたニュースは国際通貨基金(IMF)が危機対応力を高めるため、新たに5,000億ドル(約38兆円)規模に上る資金基盤増強を検討しているということが伝わったことです。内容は欧州や日本など加盟各国による追加融資をプラスアルファとして見込んで、すでに持つ融資能力と合わせて総額1兆ドル(約76兆円)相当の予備枠を確保するというものです。かねてから、EU首脳達の「支援に合意」という精神論は進めど、実弾の話が伴わないことにいらついていた市場にとっては3月に向けてかなり胸をなでおろす話になったことはたしかです。これによりいったんは97円割れの円高ユーロ安も覚悟かと思われたユーロ相場が一転切り返したことが市場の安定化要因となりました。ユーロは対ドルでもいったんは1.2623ドルという安値を13日に付けていますが、再び1.3近い水準にまで切り返して週を終えています。


(出典:Bloomberg.)

NYダウのこの1年間の動きです。----------昨年の7月の水準にまで回復し、年間の高値をもトライする勢いです。>

■米国株の好調続く

 先週末の米国株式市場も連日右肩上がりに上昇し、週末をほぼ1週間の最高値で迎えることができています。欧州債務危機に一定以上の安堵感が拡がり、一方で本格化し始めた決算発表は悲観論の上塗りをするようなものが現時点まではでてこないばかりか、市場予想を上回ったインテル(INTC)マイクロソフト(MSFT)、あるいはインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)などの決算内容が安心感を後押ししています。先週の終値である12,720ドルは昨年1月の高値12,750ドル台に肉薄し、5月2日の最高値12,876円も視界に収めます。

 全米リアルター協会(NAR)が発表した12月の中古住宅販売戸数は、3カ月連続で増加し11カ月ぶりの高水準となる一方で在庫は約7年ぶりの低水準に減少、米住宅市場の回復が持続し始めています。12月の中古住宅販売戸数(季節調整後の年率換算)は前月比5%増の461万戸でエコノミスト予想の465万戸にはわずかに届いていませんが、市場は好感していると取れます。

 こうしたミクロとマクロの好データが米国株式市場回復の背景にありますが、一方でインターネット検索最大手グーグル(GOOG)が発表した昨年第4四半期決算は、売上高と利益がアナリストの予想を下回り一時10%安まで売られるなど、波瀾もあります。同社の海外売上高は終わった期で全体の53%でしたが、前四半期では55%ありました。すなわちこれが米国外からの収入が減少した証明です。理由として同社は欧州の景気失速で広告収入が落ち込んだことを挙げていますが、債務危機による欧州の景気減速は「広告収入に依存するビジネスモデル」にマイナスインパクトを与え始めていることを如実に表しています。じつはネット系のビジネスモデルには広告収入に依存するものは多く、この辺には注意が必要です。

今週のポイント

■目新しい材料は少ないかも知れない

 市場の最大関心事が欧州債務危機にあり、ネガティブなトーンから、いったんはポジティブなトーンに振り直した現状は、ひとまず大きな目新しい材料は出難いかもしれません。今週の最初の注目材料はギリシャ政府と銀行など民間債権者による同国債の債務削減問題交渉の行方です。当初は20日中の合意を目論んでいましたが、結局はユーロ圏財務相会合が開かれる23日前の決着が難しく、ギリギリ週明けにずれ込む可能性が高くなっています。ギリシャが借り換えのため新たに発行する債券の条件がなかなか決まらないということもありますし、また、既存の債券の元本50%削減が昨年10月にいったんは合意していますが、さらに増加する可能性もまだ否定しきれません。仮に両者が合意に達したとしても債券交換は保有者による自発的なものである以上、実際どれだけの債権者が参加し、ギリシャの債務がどれだけ軽減されるかはいまだ未知数という現実からすると、また土壇場で時間稼ぎ的な玉虫色の結論をひとまず出さざるを得ないかもしれません。となると、先週の上昇がひとまずは限度かなという見方ができます。

■日本でも本格化する決算発表

 米国が先行した2011年第4四半期の決算発表ですが、日本でも2011年度第3四半期決算として今週から本格化します。注目点は円高の影響を企業側がどの程度に織り込んでくるのかという点と、タイの大洪水の影響が実際にはどの程度企業収益にマイナスとして実現してくるかという点です。

 前者についてはかなり織り込んではいると思われ、また足元では円高ピークはいったんつけたという印象もあるので大きな問題とならない可能性が高いですが、後者は市場判断がどの程度現実と乖離しているのかは未知数です。それはインテルの決算発表に伴う市場反応を見ると明らかであり、当初インテル自身でさえタイの大洪水によるサプライチェインのダメージにより見通しを引き下げていたパソコン販売が、想定ほどにはスローダウンしなかったという結果からも見て取れます。逆に言えば、想定外のことがプラスにもマイナスにも起こり得るということです。

 ただ現実の体感論としても、ハードディスクドライブ(HDD)の供給不足はまだまだ足元で続いており、この分野で活躍する企業が多い日本のハイテク産業にとっては注視しておく必要性があるかと思います。とはいえ、先行している米国決算から推察すると、企業はスローダウンしているグローバルマクロの中で、宣伝広告費に象徴されるようなカット可能なコストはカットしつつも、クラウド化の流れのように必要な投資は継続するというのが見て取れます。

■インテルの決算、何が注目だったか?

 前述のように企業は必要な投資は続けているということを如実に証明したのがインテルの決算です。同社は今年、現行のマイクロプロセッサ(MPU)である『Sandy Bridge』に続く新しいMPU『Ivy Bridge』を投入予定です。また同時に、ラスベガスのInternational Consumer Electronics Show (CES)で明らかにしたように、アーム・ホールディングス(ARMH)クワルコム(QCOM)の独壇場であるスマートフォン向けMPUの世界にも積極的に打って出ます。これらに伴う設備投資の必要性から、前年は107億ドルだった設備投資を2012年は125億ドル前後(プラス/マイナス4億ドル)にまで増やす計画を発表しました。まさに競争に負けないためには設備投資は惜しまないというスタンスです。またこうした流れは日本の半導体製造装置メーカーにとっても朗報です。

■アップルの決算にも注目

 今週の注目の決算と言えば現地時間24日の取引後に発表されるアップル(AAPL)の決算です。同社が今年に入って初めてサプライヤー企業の実名を公表したことはご存知の方も多いと思いますが、その真意は兎も角として、日本企業もそれなりにリストに名を連ねていることがあらためて確認できました。同社が今何を考え、そしてこの先をどう見通しているかはおおいに気になるところです。

 ちなみに、私は現在個人的に『iPhone 4S』とアンドロイド・スマートフォンである『ARROWS Z』を常時利用しておりますが、ひとりの利用者の本音として「もしiPhoneにお財布ケータイ機能が付いたらアンドロイドは要らない」と思っております。すなわち、もしガラケー機能を省いたら、ほとんどすべての面で『iPhone 4S』の方が使い勝手も含めて優れていると判断しているということです。このガラケー機能での差別化は現時点においては「ガラパゴス日本」における特殊事情であり、グローバルな業界競合はこれを省いて考えなくてはなりません。

 また少し気の早い話ですが、現在、『iPhone』や『iPad』などのCentral Processing Unit(CPU)は同社製のA4であり、A5です。しかし、同社のパソコンである『MAC』に目を転じると、同社はすでに自社製にこだわらずにインテル製品をプロセッサーとして使っています。インテルが『ATOM』をスマートフォン用に強化しようとしている流れを追うと、何か面白い流れが見えてくるような気もしています。これは相当気の早い話とも思われますが、こうした視点がじつは一番面白いのです。

 今週も頑張りましょう。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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