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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2012年1月10日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

1月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(2012/1/6終値)
前週末比
(2011/12/30比)
日経平均 8,390.35 -65.00 -0.77%
NYダウ 12,359.92 +142.36 +1.17%
金利・為替 週末終値
(2012/1/6終値)
前週末比
(2011/12/30比)
長期金利 0.980% ±0.000%
ドル/円 76.98  
ユーロ/円 97.90  

11年ぶりの円高ユーロ安、でも期待できる材料もある

前週の総括

■年末週よりはまだましな新春スタート

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。1月4日の大発会から始まった2012年の新春相場の評価は「少なくとも年末相場よりはまだましな状況」といったところでしょうか。売買代金は8,534億円、7,097億円そして8,456億円となり、5,000億円台維持が精一杯という状況ではなくなりました。とはいえ、所詮1兆円割れのままであり、きわめてその水準が低調であるということには変わりありません。大発会こそ欧米市場の好調さをはやして元気良く始まったものの、その後は2連敗で週を終えました。その背景はやはり欧州債務危機を嫌気した円高ユーロ安。債務危機自体の行方が不透明な以上、どこが着地点になるのか適当なターゲッティングは「エイヤっ!」のレベルでしかないといった感じです。


(出典:Bloomberg.)

<通貨ユーロ登場からの移り変わり。----------史上最安値の89.52円もターゲット。170円までの強気は夢幻。>

■ユーロが11年ぶりの安値

 こういう時は歴史を紐解くのが一番なのですが、当時のことをリアルに記憶されている方はもう少ないと思います。通貨ユーロは1998年12月31日、当時の参加予定国それぞれの通貨と為替レートが固定され1999年1月1日にそれらの国において電子的決済通貨として誕生しました。この誕生時の水準が1ユーロ131.60円です。その後通貨ユーロは誕生時の期待感とは裏腹に約2年の間売られ続け、2000年10月25日には最安値89.52円をつけるところまで下落します。しかしその後、米国経済もITバブル崩壊等で激しく傷ついたことなどが嫌気されドルは信認失墜、一方で期待の星“欧州統合通貨ユーロ”は2008年7月18日の高値169.48円になるまで、ほぼ一本調子で値を上げていきます。

 この間、巷でよく言われたユーロ礼賛説のベースは「財政赤字を抱え、何の裏付けもなく印刷され続けるドルはいずれ紙くず同然(ドル暴落説)となり、その一方で第二の基軸通貨として(多くの国が外貨準備を分散させるためにも)ドルを売って、ユーロを買う流れが加速する」というものでした。ただドルの発行国である米国の財政赤字を糾弾する話は多かったものの、ユーロに加盟する国々の財政的な裏付け等に関する議論はあまり聞かれないままでした。現在でこそ多くの人が言う「財政政策は統一せず(拘束力の目標だけは設定されています)、金融政策だけ統一した弊害」について指摘する否定派は、それこそマイノリティでした。

 そして2008年にリーマン・ショックが襲い、これによりじつは一番傷ついたのが欧州系金融機関ではないかという話が表面化し、その信用崩壊が始まります。この影響自体はいったんは止血できたかに見えましたが、ギリシャの粉飾決算ともとれる国家財政事情が明るみに出るに至って、ユーロの信認崩壊という今日の流れができ上がりました。

 こうして欧州債務危機と呼ばれる現在の状況があるのですが、一向に根本的な解決策が見い出されていません。ユーロ加盟国の個々の財政事情が米国のそれと同等に赤裸々に開示されているかと言えば、(言葉の壁もあり)相変わらず情報は少ないと言えます。第一、多くの統計発表が遅過ぎます。ゆえに、今までの過大な期待の反動がここにきてすべて噴き出しているのが現時点の動きのように思われます。ユーロ圏17カ国の人口は約3億2,600万人と言われ、これだけの経済圏の通貨が変動する勢いとしては、そもそもユーロ否定派であった私でさえ、現状やや加速し過ぎという感想を持ちますが、そもそも過大な期待で振り切ってしまった振り子の反動だとすれば、流れは史上最安値を試してみないと収まらない可能性が非常に高いと思わざるを得ません。少なくとも今はイタリアやスペインの国債入札と言う神経質にならざるを得ない課題を抱えており、さらには3月のギリシャ国債の大量償還と言う問題に目途が立っていない以上、この流れを止めることは残念ながら難しいと考えます。

■米国雇用統計は好調です

 一方、欧州から米国に目を転じると、昨年11月頃からマクロ経済統計の好転が続いています。注目された12月の雇用統計が6日に発表されましたが、失業率が市場予想の8.7%をさらに下回る8.5%と3年ぶりの低水準にまで低下したことが高く評価できます。また非農業部門雇用者数も20万人増と、ここ3カ月で最も大きな伸びを記録し、市場予想の15万人増を大きく上回る結果となっています。背景には年末商戦が好調だったことで小売業関係の雇用が伸びたということがあるようですが、雇用環境が改善していることが消費の伸びに繋がっている説明も従前多くみられたこともあり、これらはいわゆるプラスの循環過程に入ってきているものと思われます。

 これを受けてただちに株価が上昇できないのはやはり欧州債務危機やこれに伴う新興国経済のスローダウン懸念が根強いためですが、米国の雇用環境改善見通しは再選に向けて何とか自国経済を加速させたい民主党オバマ現政権にとっては力強い追い風であり、共和党が候補者選びでギクシャクしている間にあの手この手で引き離しに掛かる可能性は高いことも期待されます。今経済統計が好転するとQE3に対する期待値が剥落するという見方もできますが、QE3は劇薬であるという見方は従来から根強く、こうした実体経済の回復データの方がじわじわと株価の押し上げ要因になることが予想されます。株価は昨年末に比べて142ドル(+1.17%)の上昇となっており、その一方で10年国債の利回りは週央の2%近い水準から低下して1.9578%で終わっていることも安心感を与えます。

■イラン情勢が気掛かり

 日本の報道ではどうしても取扱いが小さくなりがちでありながらも、国際資本市場への影響がかなり高いものとしては、イラン情勢の緊迫化があります。イランは核開発問題を巡って米国との対立がすでに深まっていますが、EU(ヨーロッパ連合)も核開発を続けるイランに対する新たな制裁措置として、イラン産の原油の輸入を禁止する方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。これに対してイラン側も強硬姿勢を崩しておらず、原油の主要な輸送路であるペルシャ湾ホルムズ海峡を封鎖すると警告するなど中東情勢の緊張感が高まっています。こうした流れを受けて先週は再び原油価格が高騰、米国産標準油種(WTI)の週末終値は101.56ドル。週央には103ドル台を突破する展開となり、これもまた地政学的なリスクとして要注意な課題となっています。東京電力が燃料価格の高騰ですでに電気料金を引き上げたくてうずうずしていることはご承知のとおりです。地政学的なリスクという話では隣国北朝鮮の問題も日本にとっては極めて重要なテーマであることに違いはありません。


(出典:Bloomberg.)

<WTI原油先物の推移。----------CRB指数など商品市況は軟調ながらも原油価格だけが堅調なのはイラン情勢などの緊迫化が背景にあります。>

今週のポイント

■携帯3社、1.6兆円投資 スマートフォン通信急増で

 土曜日の日経新聞朝刊一面の見出しを転用させていただきました。円高や高い法人税や関税の問題などで我が国の産業空洞化が進む中、ほぼ唯一に等しくプロミシングに大規模設備投資が増加するロードマップが描けるのが「モバイル通信関連のインフラ部門」だと昨年来お伝えしてきましたが、この新聞の見出しがその主張を裏付けてくれたからです。それによると「携帯電話大手が2012年度の設備投資を拡大する。NTTドコモ(9437)は当初計画に300億円を上積みし、ソフトバンク(9984)は前年度比約5割増やす見通し。KDDI(au)(9433)を加えた大手3社の携帯関連事業向けの合計は1兆6,000億円超と、3年連続で1割前後増える。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の普及に伴う通信量の急増で回線不足への懸念が強まっており、高速基地局や基幹通信網の増強を急ぐ。」とあります。一番のポイントはもちろん2012年度の設備投資がリアルに増えるということですが、実際にはこれから数年はこの分野の設備投資予定額の上方修正は当面続くはずということです。

■現時点で圧倒的にキャパが足りないことの意味

 ITの流れをつぶさに追い掛けてきた者として、ひとつの大きな確信は「人間の便利になろうという欲望は決して後戻りはしない」ということであり、「技術は必ずその増長する欲望を満たそうと進歩する」ということです。なぜなら、そこにこそ永遠にビジネスチャンスがあるからです。

 スマートフォン元年と呼ばれた昨年、『iPhone』のみならず、多くのAndroid端末が、あるいはタブレットPCがリリースされましたが、現時点ではまだまだその普及は緒に就いたばかりであり、またその最先端ユーザーの多くはかなりな我慢を強いられながらそれを現状利用しているというのが実態です。それは1995年に登場したWindows 95がインターネット接続機能を標準装備して登場した頃の様子とあまり変わらない気がするほどです。当時のネット接続環境と言えば電話回線によるダイアルアップ接続が当たり前でしたが、そのモデム速度は早くて28.8kbpsに過ぎません。ただそれでもインターネットに繋がるということで、主としてテキスト(文字)コンテンツを中心としたWebページを楽しみ、「ネット・サーフィン」という単語が生まれたりしました。それから10年余り、有線接続のネット環境ではその通信速度を気にするというようなことはほとんどなくなり、結果として概念に過ぎなかったクラウドという発想が実現化しました。その背景にあるものこそ、「人間の便利になろうという欲望は決して後戻りはしない」ということであり、「技術は必ずその増長する欲望を満たそうと進歩する」ということです。

 今、スマートフォンの通信環境はいかがなものでしょうか?現時点で最新機種のスマートフォンが提供する通信環境は、3.9G(第4世代の一歩手前)と呼ばれるドコモのLTEサービスやauの『WiMAX』がありますが、いわゆるベスト・エフォート(理論上の最大速度)の数値とはかなりかけ離れた実測5Mbpsから7Mbps程度が利用実態であり、それらのエリア外に出てしまうと、例えばauで言うならば3G回線3本分を束ねて使うことが最大速度となり、この場合300kbpsから500kbpsに急速に速度が低下します。それでもWindows 95が登場した頃の28kbpsの優先モデムに比べれば10倍以上も早い訳ですが、当然のことながらWebページ自体のコンテンツがリッチ(データ量が豊富)になっており、また有線環境に比べると極端に劣後する状況にあります。おそらく光ファイバーの通常有線環境に比べたら、3.9G接続が可能になっている場合でも、実測ベースでの比較では多くの場合その速度は10分の1以下だと思われます。ちなみに、私の自宅の有線環境では実測79Mbpsと計測されます。そしてまだまだスマートフォン自体が普及の初期段階だということです。本格普及が始まって、益々人々の欲求が高まる時、間違いなく今以上に通信回線の不足感は高まるはずです。

■テザリングという便利機能

 「ブロードバンド接続の時代が来る」と議論した10数年前、成長懐疑派の多くの疑問が集中したのが「キラー・コンテンツは何か?」というものでした。残念ながら、成長信奉者の私も当時はSNSなんて影も形もありませんでしたし、「多分動画(当時はほとんど存在しません)でしょう」としか答えられませんでした。本当は「これをこうして使いたいから」という明確なニーズを示せれば良いのですが、こと通信環境の話については私は別だと思っています。「繋がらない、鈍い、とろい」はフラストレーションの源で、これが技術進歩の原動力になると考えていますが、今回は「キラー・コンテンツ」とはやや異なる視点ながら、もう一段普及を後押ししそうな使い方があります。それが「テザリング」という使い方です。

 「テザリング」と言われても耳慣れない方も多いと思いますが、一言で言うならば「自分のスマートフォンがモバイル・ルーターとなって、身の回りの無線LAN対応機器をインターネットに接続することができるようになる機能」ということです。モバイルルーター自体は一昨年あたりから普及し始めていますからご存知の方も多いと思いますが、その機能がスマートフォンに入り始めました。すなわち、「テザリング」対応のスマートフォンさえ持っていれば、身の回りの無線LAN対応機器、例えばノートPCや『iPod』『iPad』、一部のデジカメ、当然ながら『ニンテンドーDS』や『PSP®』といった携帯ゲーム機器をインターネットに接続することができるのです。お父さんがそれを持っていれば、車の後部座席に座る子供たちがネットゲームを続けながらドライブするということも可能ですし、HOT SPOTを探さなくてもノートPCで即座にネット環境での作業ができます。「誰がそんな機能を利用するのか?」と多くの方が思われるかも知れませんが、私は「5年後にはごく普通の利用方法になっていますよ」と今から申し上げておきたいと思います。その時までに、通信量の増大による回線不足やネットワーク・インフラのキャパシティの不足はより喫緊の課題として注目されているはずであり、今回の「携帯3社、1.6兆円投資 スマートフォン通信急増で」という新聞記事は、単なるその序章に過ぎないと考えています。こんな記事が新年早々に掲載されました。欧州債務危機が落ち着けば、期待ができる流れがあると思います。

 今週も頑張りましょう。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪今後更なる需要が期待される情報通信業界≫

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日本の金融商品取引上場株式および店頭登録株式の中から、次世代の情報・デジタル通信・マルチメディア等に関連する銘柄に投資を行う。主として、情報通信機器、情報関連サービス、情報ソフト、通信・放送等に関連する事業を営む企業およびこれらを利用することによって経営の効率化が図れると期待される企業の中から、銘柄の選定を行う。銘柄ごとの投資額、銘柄の入替えのタイミング等は、投資環境等に応じ決定する。信託財産の成長をめざして運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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