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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年9月12日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

9月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(9/9終値)
前週末比
(9/2比)
日経平均 8,737.66 -213.08 -2.38%
NYダウ 10,992.13 -248.13 -2.21%
金利・為替 週末終値
(9/9終値)
前週末比
(9/2比)
長期金利 1.000% -0.055%
ドル/円 77.60  
ユーロ/円 105.96  

G7は肩透かし、日米欧三都国物語

前週の総括

■日経平均株価、年初来安値を更新

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。終値ベースで見た日経平均株価は前週末対比△213円安(△2.4%)程度の下落ですが、6日火曜日には年初来の安値引けとなる8,590.57円(前週末対比△360円安、△4.0%)まで下落する厳しい展開となりました。背景は前週末に発表された米国8月の雇用統計が市場予想を下回り、これを嫌気して月曜日のアジアと欧州株が下落したものの、本来はその影響を一番織り込まなければならないはずの米国市場がレイバー・デーで休場だったため結論が出ないままに再び地球を回ってきてしまったということです。ある意味不思議なくらい米国マクロに対して疑心暗鬼に陥っている現在の日本の株式市場のセンチメントでは世界の株式市場のアンカー役は務められなかったというのが実態だと思われます。当然のことながら火曜日のNY市場は期待外れの雇用統計を受けて100ドル程度は下落したものの、その翌日には早くも273ドルも上昇するなどしたため、日本株式市場もそれを見て安堵、週末にかけて値を戻したという感じです。

 一方、実はこの間に世界の市場では明らかに別の地殻変動が明確に起こりつつあります。それこそがかねてから申し上げているとおり、欧州の信用構造の地滑りです。問題の本質は欧州の信用不安にあると毎回お伝えしていますが、ユーロの対ドルでの値崩れ、すなわち欧州と米国を比較した場合「売られるべき方はどちらか?」ということが為替市場の動きでも明確になってきました。今年の3月半ば以降、ユーロ/ドルの関係は1.40〜1.45の範囲で変動していましたが、先週ついに1.40を割り込んで1.3台に突入、週末の終値は一気に値を切り下げて(ユーロが売られた)1.3655ドルで終わっています。米国の雇用統計を中心に米国経済に関心が集まっているかの話が多いですが、その渦中において一気にユーロが対ドルで叩き売られたことが、本質はどちらにあるかを如実に証明していると思われます。ちなみに、この間において、ドル/円相場も前週末よりも円安水準に動いたことにもやはり注目しておくべきだと思います。


(出典:Bloomberg.)

<ユーロ対ドルのこの3年間の動きです。-----------ユーロが1.3ドルを割れるあたりまではあまり歯止めはないように思われます。>

■G7の声明には何も具体性がない

 9月9日に発表された「G7財務大臣・中央銀行総裁による合意事項」をつぶさに読んでみましたが、現在が「過去に蓄積した不均衡に起因する、成長、財政赤字、政府債務に関する重大な課題とともに、世界経済の回復に関する新たな課題の時期」であるという危機感は共有していることは明らかなものの、「だから何? so what?」と言える部分は何もないことをむしろ印象付けます。米国、欧州、そして日本のそれぞれ独自の立場と問題点には言及があるものの、為替動向などについても「我々は、為替市場における行動に関して緊密に協議し、適切に協力する。」という表現にとどまり、特に踏み込んだ印象はありません。精神論で「頑張ろうよ、みんな」という思いは見えるものの、問題克服への具体性は何も感じられないというのが正直なところです。それは、今現在の状況が米国にしても、欧州にしても、そして日本にしても、皆それぞれがまず「ひとさまのことなど気にしていられない」という経済・財政状況に陥りつつあり、さらに言えばそれを強引にでも舵を切れるだけの政治的なリーダーシップを発揮できる人がどこにもいない、そんな状況ではないということに尽きると思われます。

■ギリシャ破綻まで秒読み段階

 もちろん、ギリシャのベニゼロス財務相は同国がデフォルト(債務不履行)に陥るとの見方について「憶測」だと退け、7月に合意した第2次救済プログラムに基づく条件を「完全に実行する」決意を表明した上で、さらに「ギリシャに関してこうした憶測が持ち上がったのは今回が初めてではない。これは悪趣味なゲームであり、ユーロ圏やユーロ事態を標的とした組織的な投機だ」と訴えたとブルームバーグから報じられていますが、しかし、火のないところに煙は立たないというのも事実。そして何より明確なのは市場の価格情報です。私は「市場は憶測で動く時もあるし、短期的に誤認をする時もある」とは思いますが、ただ「大きな流れで間違えることはなく、市場は正しい」と考える立場で常におり、その視点で見て、現在のギリシャに対する資本市場の評価が何かを雄弁に語っているとしか思えません。

 まず資本市場におけるギリシャ国債の信用力を表す10年物国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)ですが、前週末の2,053.015ptsから一気に3,624.855ptsにまで上昇して週末を迎えました。はっきり言って異常な水準の急騰ぶりです。またこうした流れを受けて、10年債の利回りも前週末の18.282%からさらに急騰し、週末終値は20.555%です。

 ちなみに、同日のドイツやフランスのそれはCDSが101.6ptsと191.8pts、10年国債の利回りは1.772%と2.484%という水準です。南欧PIIGS 5カ国の中でも、次に信用懸念の高まっているポルトガルでさえ、CDSが906.3pts、10年国債利回りは11.137%に過ぎません。以下アイルランド、イタリア、スペインの順で10年国債利回りが並びますが、それぞれ8.638%、5.408%、5.156%と低いとは言いませんが、異常とは思えません。日本はCDSが146.3ptsで利回りは1.000%です。これらと比較して、ギリシャの水準が悪趣味なゲームであるかどうかは明らかな気がします。

 市場がすべてを知っているなどと言う気はありません。さらに、市場が不適格なものを追い出すみたいな、あたかも市場が意識を持っているかのような以前よく言われた説を支持するつもりも元々更々ありません。ただ単に、もうここまできてしまうと恐らく特別な何かをしないと投資家は誰も見向きもしないだろうということです。市場に意思があるのではなく、市場参加者に意思があるのですが、買いたいと思う人よりも、売りたいと思う人の方が多いというごく単純な結果が連鎖し、もう行きつくところまで行くしかないというのが考えです。しかし、すでにそこに「お化け屋敷のお化けがいる」ということは誰にもわかっており、その出方にビクっとすることはあっても、パニックになるほど驚くことはもうないだろうと考えています。


(出典:Bloomberg.)

<ギリシャ10年国債利回りのCDSの1年間の動きです。-----------ついに3,624までぶっ飛んでいます。>


(出典:Bloomberg.)

<ギリシャ10年国債利回りのこの1年間の動きです。-----------CDSの急騰もありますが、国債利回りはさらに上昇、ついに20.555%まで上昇です。>

今週のポイント

■期末、連休、閑古鳥

 9月第3週、普通に考えれば月の半ばでしかありませんが、問題は今月のカレンダーです。今週末が3連休になり、またその次の週末も3連休になります。おまけに今月は2011年度上半期末です。これだけ外部要因に不透明感が強く「あの角を曲がったところにお化けがいるぞ」と誰もがわかっている時に、残念ながらリスクテイクを好んでする人は少ないだろうと思います。その兆候ははっきりと売買代金に表れてきています。先週末金曜日は先物とオプションのSQ清算日であったがため、やや売買代金は膨らんで1兆6,637億円まで伸びていますが、その前日はわずか9,645億円しかありません。先物とオプションのメジャーSQでありながら、この売買代金の水準というのは、いかに投資家が様子見姿勢を強めているかということの最大の証左です。このまま年度末に向かって、特にポジティブに取れる材料が与えられない限り、市場は当面閑古鳥の鳴く不安定な状態が続くものと考えます。

■いきなり経産相の辞任

 ただ実は面白いことに昨年もほぼ同水準の売買代金水準でこの時期を通り抜けています。SQ当日が1兆6,666億円、前日は9,122億円とかなり少ない状況でした。そしてこの時の株価水準もやはり8,800円台から切り返してきたところの9,000円台前半です。何があったかといえば、民主党の代表選でした。鳩山元首相から菅前首相に、首相が代わって最初に迎えた民主党代表選挙が行われるということで、党執行部と小沢派とが激しく対立して政治の不透明要素がとても際立っていた時でした。つまり政治が不安定だったということです。

 その意味においては野田新内閣がようやく組閣が終わって新たな展開が期待される矢先、支持率もとりあえずは60%台まで回復しているようで状況は異なります。しかし週末に発表された鉢呂経産相のいきなりの辞任劇は、再び政治要素にまで不確定要因を持ち出してくれるのかとややがっかりという印象を拭えません。ただ正直な話、前回も新内閣の人事については情報不足で評価のしようがないとお伝えした通りですので、経産相の名前も覚える前の辞任劇ですから、その点ではまだましだったかもしれません。すなわち、まだ何もする前、される前だということです。経産省は本来環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進し、農水省と争うような立場にあるところで、ここのトップである大臣が農協系出身(北海道)であるということに産業界ではやや不安感があったのも事実であり、今後の人事には注目したいところです。原稿執筆時点において、まだ後任の名前はわかっていません。

■連邦公開市場委員会(FOMC)も21日からで材料の谷間

 結局は内外共に不透明な要素を多く残したまま、しかしカレンダー的にはすべてにおいて材料不足で谷間となってしまう1週間になりそうです。米国発の材料が飛び込むかもしれませんし、順当に欧州情勢に何かの変化があるかもしれません。リビアの情勢もあまり報道されていませんが、世界市場は注目しています。いずれにしても、あまり断定的な判断ができない1週間となりそうです。

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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