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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年7月25日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

7月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/22終値)
前週末比
(7/15比)
日経平均 10,132.11 +157.64 +1.58%
NYダウ 12,681.16 +201.43 +1.61%
金利・為替 週末終値
(7/22終値)
前週末比
(7/15比)
長期金利 1.095% +0.015%
ドル/円 78.54  
ユーロ/円 112.77  

VIVA アップル&インテル!!

前週の総括

■マクロは変わらず、でもハイテク好調

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。三連休明けでもったりと始まった日本の株式市場でしたが、7月19日(現地時間)に発表したアップル(AAPL)の2011年第3四半期(4〜6月期)決算が、『iPhone』と『iPad』の過去最高の販売台数などを主因として四半期ベースで過去最高の売上高、純利益となった(後述)ことなどをきっかけにハイテク株などに見直し買いが入り、再び日経平均株価は10,000円台を回復する流れとなりました。また週末21日にブリュッセルで行われた欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国首脳会議で、ギリシャに総額1,600億ユーロの第2次金融支援を行うことが合意されると更にこの流れは加速しましたが、欧米市場の勢いに比べるとやや劣勢であった感は否めません。週末の終値は午後に先物の買い戻しを中心にやや勢いづいたので10,132円と先週の値上がり分のほとんどを稼ぎましたが、問題は売買代金が1兆円を切る日もあるなどほとんど膨らまないことにあります。

■ナスダック総合指数が引っ張る

 前述のアップルの決算が起爆剤となり、ハイテク株のウェイトが高いナスダック総合指数NYダウの週間上昇率が1.61%にとどまる傍らで2.47%もの上昇を示し、10年ぶりの高水準まで上昇しました。前回「注目している」とお伝えしたインテル(INTC)も予定どおり20日にその決算を発表し、第2四半期決算は売上高および1株利益ともに市場予測を上回るものとなり、売上高は5四半期連続で過去最高を更新、パソコン市場に対する株式市場の不安を払拭しました。ポイントは、タブレット型PCやスマートフォンの台頭がパソコン市場のパイを取り崩しているという懸念に対して安心感を与えたということです。グローバル・マクロ経済がソブリン・リスクで停滞感を強める中、やはりこの分野は加速していたということが示されました。


(出典:Bloomberg.)

<アップル社のこの1年の株価です。-----------『iPhone』と『iPad』の好調を素直に市場は好感していることを示しています。>

■消去法的に進む円高

 前述のとおりギリシャに対する支援策は先月からの一連の流れの中である程度の決着をみたかに見えますが、市場の根底にあるのは「ギリシャが本当に立ち直れるのか?」という疑問であり、一時的にユーロが買い戻される場面は何度も見られましたが、あくまでも市場のポジション整理の域を出ていないという印象があります。一方、米国の債務上限引き上げ法案の行方も8月2日のデッドエンドへ向けてまさにカウントダウンの段階まで来ていますが、こちらも残念ながらなかなか解決ゴールには辿り着けていません。

 世界の為替市場の中では、基軸通貨のドル、第二の基軸通貨のユーロ、そして“元” 国内総生産(GDP)世界第2位の国の通貨円という三つ巴が大きな動きの中心にありますが、ユーロに対する信認が真っ先に薄らぎ、外貨準備としてユーロのポジションを膨らましていた新興国を中心に持ち高を減らす動きが続いています。その結果、日本の短期国債などには順調な需要が起きていることがこれを証明していますが、こうしたドルに戻せない資金が消去法的に円に向かったがために円高を演出しているという流れができています。少なくとも8月2日に向けて米国の債務上限引き上げが可能となることが明らかになるまではドル悲観論のセンチメントが市場に根強くあることは確かであり、外貨準備分散の意味でも消去法的に資金が円に流れ込んでいることだけは確かです。


(出典:Bloomberg.)

<米国10年国債の1年間の動きです。-----------それでもなお買われている米国国債ということは確認しておくことが肝要です。>

■米国国債は売られない

 とはいえ、この1年間の米国10年国債の利回り変化をみると、5月にガイトナー財務長官が米国国債のデフォルトの可能性に言及した時を含めて、タイム・リミットが迫るこの期に及んでも、市場は諦めずに米国債券を買っていることが確認できます。米国の景気回復が期待されて金利上昇が見込まれたことにより長期金利が3.6%以上にまで上昇した局面とはファンダメンタルズはかなり異なる状況であることは確かですが、デフォルトの可能性が示唆されている、あるいは格下げという流れの中にある債券が買われているというのは、債券市場の投資家心理の建前と本音を見事に表していると見てとれます。本質的に米国国債、あるいはドルの信用リスクに危機感を抱いているのであれば、少なくとも需給関係は売りに傾き、金利は上昇するはずですから。

■日本のマクロは下方修正されると思われる

 この1週間の間には永田町の状況は何も変化がなく、引き続き極めて憂慮すべき状態が続いています。前回もお伝えしたとおり、こうした状況下「日本に留まることはできない」という日本電産(6594)・永守社長の発言を引用するまでもなく企業経営者の目線は容赦なく日本脱出に向かっているように思われます。ポイントとなるのはエネルギー政策のダッチロールです。永守社長は決算発表の席上「自家発電を何台も導入してまで我慢してやるつもりはない」と、電力不足による生産や研究開発の停滞への危機感を示してくれています。“埋蔵”ということばが好きな現政権ですが、埋蔵電力としてカウントされた自家発電設備の多くは、その前提として企業の事業継続計画(BCP)の一環としてあるものが多く、恒常的な電力不足を補完する前提では作られていません。そしてこれらが企業活動のコストアップに直接影響する以上、一刻も早く、この国のエネルギー政策の“信頼できる工程表”を政府が示さない限り、脱出の流れは加速すると思われます。震災直後の鉱工業生産の大きな落ち込みから見れば、サプライチェーンの復興によりどう考えてもいったんはV字回復が起こります。問題はその流れが永続的、少なくとも中長期的に継続すると考えられるかどうかですが、残念ながらその楽観論に乗るにはエビデンスが少な過ぎ、期待値が高すぎるという印象を強く受けています。円高、増税などと合わせ、多くのマイナス要因の前に、日本のマクロ見通しは今後下方修正される可能性が日々高まっていくと考えられます。

今週のポイント

■森を見れば悲観論しか出ない

 繰り返しになりますが、グローバル・マクロの状態に森を見る目線で目を向けると、決してお世辞にも褒められた状況にはありません。ギリシャ問題がこれで片付いたと考える投資家は少なく、玉突きのように広がる信用リスク懸念に欧州経済の今後についてはかなり黄信号が灯ります。「ギリシャのGDPはユーロ圏の3%に過ぎないから、最悪の場合でもその影響は小さい」と高を括っていた人も多かったようですが、サブプライム・ローン問題が燎原の炎の如くにあれよあれよという間に広がってリーマン・ショックまで発展した流れを彷彿とさせるように、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなど拡散し続けています。絆創膏を張るような対処療法は行われていますが、渦中のギリシャでさえ基本の財政改革は何も進んでいません。結果、当初3%のGDPに過ぎないとみられていたものが、すでにユーロ圏の約3分の1のGDPに相当する規模への影響に広がっていることが明らかになってきました。

■米国債務上限引き上げに注目

 今週はいよいよ米国国債がデフォルトするという未曽有の事態になるかならないかが明らかになる週であり、この材料に一喜一憂する展開となりそうです。実際に上限引き上げ法案が可決されなかった場合の影響については市場自体が未体験な事態ゆえ、何をどう言っても想像の域を出ません。何も起こらないかも知れませんが、大騒ぎになるかも知れません。今週の最大リスク要因はここに尽きると思われます。

■アップル(AAPL)やインテル(INTC)の好決算が意味するもの

 森全体を俯瞰すると明るい絵は描きにくく、いわゆるベータ(β)・リスク、市場全体のリスクについてはダウンサイドをある程度想定しておいた方がいい状態が続くと思われますが、木々のひとつであるアップル(AAPL)インテル(INTC)の今回の決算は、まだまだそんな中でもアルファ(α)を稼ぎに行くチャンスは大いにあることを証明してくれたと思われます。

 アップル(AAPL)の決算については前述のとおり、四半期ベースで過去最高の売上高、純利益となり、売上高は前年同期比82%増の285億7,100万ドル、純利益は同125%増の73億800万ドル(1株当たり7.79ドル)と、同社の前回ガイダンスを売上高で約55億ドル、1株当たり純利益で2.76ドルも上回る結果となり、それでもすでに強気に傾いていたアナリスト予測をも売上高で30億ドル以上、1株当たり利益で約2ドル程度と大きく上回っています。

 主因は『iPhone』の販売台数が前年同期比142%増の2,034万台と過去最高を更新し、『iPad 2』を含む『iPad』の販売台数が前期比183%増の925万台となったことです。市場はこうした流れがパソコン市場とカニバリゼーションを起こすことを懸念し、インテル(INTC)の決算でそれを確認しようとしていたわけですが、同社も第2四半期決算は売上高および1株利益ともに市場予測を上回るものとなり、売上高は5四半期連続で過去最高を更新しました。ただパソコン市場見通しを若干下方修正したことを捉えて、「同社の読みは“アグレッシブ”だ」と斜めに構える見方も台頭していますが、地域別の販売状況や、そもそもスマートフォン、タブレットPC、パソコンなどのそれぞれの用途や利用実態を考えると、決してアグレッシブには思われないと考えます。むしろ、携帯電話向け半導体大手のクアルコム(QCOM)、同社の動向から『Android OS』対応のスマートフォン市場の動向が垣間見えますが、こうした分野の拡大が確実なものであることが見て取れます。たとえばスマートフォンを最近お買いになった方も多いと思いますが、利用実態の中で満足されていますか? 恐らく満足するためには、もっともっと、ワイヤレスのネットワーク環境は整備されるべきであり、クラウドの対応力は拡大する必要があるはずです。

 一刻も早く森を見ても明るくなれるようになることを期待しながら、今週も頑張りましょう。

 誠に勝手ながら、2011年8月1日(月)の「大島和隆からの手紙」はお休みいたします。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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