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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年7月19日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

7月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/15終値)
前週末比
(7/8比)
日経平均 9,974.47 -163.26 -1.61%
NYダウ 12,479.73 -177.47 -1.40%
金利・為替 週末終値
(7/15終値)
前週末比
(7/8比)
長期金利 1.080% -0.095%
ドル/円 79.13  
ユーロ/円 111.98  

状況はより悪い方へ向かっている

前週の総括

■やはり株価は10,000円割れ

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。前回日経平均株価の10,000円台回復は“想定外”ということをお伝えしましたが、今週は逆に想定通りに10,000円台を割り込んで終了しました。3連休前ということももちろん理由かと思いますが、週末金曜日の売買代金は1兆円を割り込む低調ぶりで、市場の人気離散は今後の株式市場にとって益々由々しき問題になっていくと思われます。またもうひとつ危惧される点は、先週の市場の動きの上下変動幅のなさです。火曜日に10,000円台を下回ったあと、その後は実質的には一日の上下の値幅が100円もない状態が続いています。“コメンテーター泣かせ”と冗談を飛ばしたくなるくらい、市場は膠着しています。その最たる理由は「日米欧のソブリン・リスク」といった大きなテーマが何も解決を見ることがないままに時間稼ぎがされているということです。今夏はこのまま行くと、サマー・ラリーは全く期待できそうもありません。

■まずは欧州からはじまった

 週初は前週末に発表された米国の雇用統計が市場予想よりも大幅に悪化していたことが嫌気されて始まりましたが、週央以降の市場停滞の理由は欧州の信用不安です。ギリシャに端を発したこの問題は、先月末にギリシャ議会で中期財政計画が可決したことで“終了”というトーンもなくはありませんでしたが、本質的な問題は何も変わっていません。そしてこの問題がイタリアに伝播するといった懸念が伝わったことが、世界的に投資家のリスク許容度を引き下げたというのが実情です。そしてアイルランドについても、投機的水準にまで格下げが行われたことで、そのセンチメントに止めを刺していると思われます。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価の先週の動きです。-----------週明け米国市場が急落したことを受けて10,000円台を割り込むと、その後は回復の兆しなく実に狭いレンジで週を終えました。>

■米国債務上限法案も決まらず…

 欧州のソブリン・リスク問題と並んで重要な問題が米国の債務上限法案の行方です。この法案が可決しないと、米国国債の少なくとも利払いは8月2日には行えなくなり、よって世界最大の桁外れの発行額を誇る米国債がデフォルト(債務不履行)という状態になります。最終的な事務手続きなどを考えると22日がデッド・エンドと言われていますが、オバマ大統領(民主党)と野党共和党との交渉は現時点においてまだ解決の糸口を掴めていません。

 そしてこれに先立つこと先週13日、米国の格付け機関であるMoody'sが米国債の格下げを示唆、事態はかなり風雲急を告げる状態になってきています。ただそれでも市場関係者の多くは未だ米国債がデフォルトすることを「あり得ない」と高を括っているのか、あるいは、仮にそうなったとしても大きな問題ではないと考えているのか、リスク回避に走る投資家の安全な投資先として米国国債は買われる(金利が下がる)状態が続いています。

 確かに米国国債がデフォルト(債務不履行)すると何が起こるかという問題は、現状の市場関係者の想像の範囲を超えているのかも知れません。デフォルトといっても、それは極めてテクニカルな問題だという見方もありますし、また米国債が世界の債券のベンチマークなのだから、その基準が下がれば、ただ全体の基準が下がるだけという議論までもあります。ただいずれにしても14兆3,000億ドルに膨らんだ米国の債務が利払いもできない状態になっているというのだけは事実です。


(出典:Bloomberg.)

米国10年国債の先週の動きです。-----------イタリア危機が噂された当日は2.81%まで急落、少し戻したとはいえ、週を通じて3%割れの水準で推移しました。>

■日本の状態も何ら変わらない

 欧米諸国の財政・債務問題をまるで他人事のように伝えることもありますが、実は何度もお伝えしている通り、日本の台所事情も火の車なのは変わりません。今年度一般会計の約40%を賄う予定の赤字国債は、特例公債法案が国会で承認されない限り、発行することができず、すなわち年度後半には政府の支出を支える収入がなくなるため行政サービスがストップする事態を引き起こしかねない状態です。

 これはもちろん日本の国会が衆参両院で過半数を握る政党が異なる「ねじれ現象」を起こしているからですが、現状は米国のそれ以上に事態は深刻に見えます。なぜなら口角泡を飛ばしあいながらも、まだ国の行く末を考えて与野党が行財政改革を議論しているのが米国で、日本の国会の現状はそれに比べるとかなりお粗末な状態だからです。これは赤字国債の発行を承認すればいいという単純な問題ではなく、この国の財政規律をどう維持しながら、将来世代への負担となる国の借金を増やしたり、増税をするかという絵とセットできちんと考えないとならないからです。国の収入面の対策を考えないで、社会保障という支出面(政治的には人気を取りやすい)だけを充実させていけば、必ずどこかで破綻します。そして既に破綻しているのが日本の財政状態です。つまり首相の座にしがみつく人の首と引き換えに安易に交換条件として提示できるものではないし、すべき性質のものではありません。

今週のポイント

■日本の空洞化が始まった

 週末金曜日の日経新聞朝刊一面の記事を見てひやっとされた方も多いのではないでしょうか? その記事をそのまま引用すると「日本経済新聞社が14日まとめた「社長100人アンケート」で、約4割の経営者が円高の是正や税制の見直しが進まなければ3年以内に海外へ生産拠点などを移さざるを得ないと回答した。震災に伴う政策課題の棚上げと、エネルギー政策の迷走で電力不足問題が長期化する懸念から、国内生産が維持できなくなるとの危機感が広がっている」となります。

 時計の針を震災前に戻して記憶を辿ってみてください。当時されていた議論は、法人税や関税障壁が日本での企業活動を妨げているから、法人税を世界比較して高過ぎない水準にまで引き下げて、また環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)なども含めてもっと貿易も自由にすることで日本の競争力を高めようという議論です。さもないと日本は国際競争に乗り遅れ、また企業が国外へ出て行ってしまうことにより空洞化を起こすという議論です。

 しかし3月11日以降、全くそれらの議論は停止してしまいました。それどころか、震災復興の名の下でのごたごたに乗じて、法人税率も含めた多くの増税議論が当然のことのように罷り通っています。そして目下最大の問題は電力不足です。そもそも日本の電気代は国際比較で決して安くはないというのが実態ですが、迷走するエネルギー政策のおかげで、お金を払っても電気が得られない状態が恒常化しようとしています。

 為替の問題についても、円高が良いのか、円安が良いのか、どうすべきなのか、といった議論が全く聞こえてきません。輸出型産業にとっては円安が好ましく、輸入型産業にとっては円高が好ましいというような単純なものでも既になくなりつつあります。ドルベースの輸出入ならば既に為替リスクは殆ど無視できるという企業もありますが、ユーロに対してはどうにもならないということもあります。それらを総合的に考えて、円の為替政策ということが見えてこないと、いつまでたっても日本円の交換レートは常に風まかせのままです。

 こうした事態をやはり企業経営者たちは好ましいと思っていなかったということです。顔ぶれを見ると、その系列や下請け・孫請けを含めてほとんどの日本企業に影響を与えるかにみえるトップ100社という印象の企業経営者の約4割が3年以内に国外に移転することを真剣に考えているということです。これが現実になれば、当然就労世代は企業と共に国外に出て行くことになるでしょう。結果、国内では雇用がなくなり、消費世代がいなくなり、つまり更に税収が確保できないという悪循環に陥ります。そんな未来予想図を現実のものとして報じたのが金曜日の新聞一面でした。市場がこれにはほとんど反応しないどころか、むしろプラスで終わったことに、正直驚きをもってみています。

■インテルの決算に注目

 米国市場20日の引け後に世界最大の半導体メーカーであるインテル(INTC)が決算発表を行います。現下、スマートフォン関連産業が世界的に活況であることは論を待ちませんが、インテルのコアビジネスはその牙城をスマートフォンに脅かされつつあると思われているパソコン市場です。事実、アップル(APPL)のスティーブ・ジョブズCEOはパソコンの時代は終わったというような講演を先週行いました。

 しかしその一方で、インテルが今年投入した『Sandy Bridge』というCPU(central processing unit)と、また更に5月に投入した『Z68』と呼ばれるチップセットは極めて好調な状態にあると聞こえてきています。なぜなら、ここにひとつの技術世代の飛躍があったため、処理能力が格段に上がっており、またそれはスマートフォン関連とさえも、あるコラボレーションをもてるようなものだからです。

 ソブリン・リスクの話ではどうしても明るい兆しを見つけられない市場ですが、スマートフォン関連だけでなく、パソコン市場(サーバーを含む)にも好調な兆しがあることが確認できれば市場はもっと前向きに物事をみてくれるような気がしています。

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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