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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年7月4日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

7月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(7/1終値)
前週末比
(6/24比)
日経平均 9,868.07 +189.36 +1.96%
NYダウ 12,582.77 +648.19 +5.43%
金利・為替 週末終値
(7/1終値)
前週末比
(6/24比)
長期金利 1.140% +0.025%
ドル/円 80.83  
ユーロ/円 117.41  

これでもう安心できるのか? いや、まだです。

前週の総括

■米国株市場は豪快に上昇した

 この一週間の各市場の動きは上記の表の通りです。先週、何といっても目覚ましい上昇を見せたのは米国株式市場、それもハイテク株のウェイトが高いナスダック総合指数で、その上昇率たるや+6.15%! もちろん、NYダウS&P500種も上昇していますが、前者は5.43%(2年8カ月ぶりの週間値上がり幅になります)、後者が5.61%とそれでもともに6%台には届いていません。ギリシャ問題がひとまず延命措置がとられる方向でまとまったということを受けて、なかでもハイテク株のウェイトが高いナスダック総合指数が先導したということは、今後の投資方針について大きな示唆に富んでいると思われます。ちなみに同期間の日本株式市場は日経平均株価が+1.96%、TOPIXが+2.48%、そして東証マザーズの1.41%にJASDAQ総合の1.02%となります。つまり上昇はしていますが、内容的にはどうしても米国市場のそれに比べると迫力に欠けているとしか言いようがありません。


(出典:Bloomberg.)

<NYダウのこの5年間の週足チャートです。-----------ポイントは多々あると思いますが、先週の陽線の大きさにご注目ください。何かを踏ん切ったとも思われます。>

■ナスダック総合指数上昇のインプリケーション

 各株価指数にはそれぞれに異なった算出ロジックがあり、対象銘柄も違うため、今後の投資方針を検討する上では、どの指数が全体の中でいかに動いたかということを考えることが重要です。ナスダック総合指数は一般的にも知られる通り、ハイテク株のウェイトが高い株価指数です。時々、同指数に採用されている銘柄の“印象”から、新興株指数と間違えて日本の中小型株指数と対照させる例が以前(最近でも時々)は多く見られましたが、それは甚だしい誤解ですからお気を付けください。時価総額を比較していただけると、横綱とアマチュアくらいの違いがあり、構成する企業規模も、取引する上での流動性もまったく違いますので。

 さて本題。NYダウは以前にもお伝えしましたが原油関連企業のウェイトが大きく、実は米国産標準油種(WTI)などの原油先物価格に連動する部分が強いです。一方、日本のTOPIXに相当すると一般に言われているS&P500種ですが、こちらは米国にとっての外需関連企業のウェイトが高く、ドル為替の水準影響をかなり受けやすい性質をもちます。つまりドル安に強い。そしてNYダウとS&P500種に共通のものが、やはりレガシーなアメリカの優良企業、言い換えるならば重厚長大の企業が入り、またギリシャ問題など渦中の金融セクターの影響も見逃せません。その意味で、ナスダック総合指数は相当に違う特性を持っているとも言えます。だからITバブル時の高値をまだ一度も越せていないのも事実です。


(出典:Bloomberg.)

<ナスダック総合指数の5年間の週足チャートです。-----------直近の陽線も大きさもさることながら、リーマンショック前の高値水準にまでほぼ回復しました。>

 ギリシャ問題に揺れた市場が気にしていたのは、同国国債のデフォルトがもたらす金融不安です。放漫経営のギリシャへの支援を最も反対している堅実派のドイツの国内世論とは裏腹に、もっともドイツの金融セクターが同国国債のデフォルトで影響を受けるはずという裏腹な図式があり、またギリシャ問題があるがゆえにユーロが安くなり、ドイツの輸出産業がその恩恵を受けたというのも事実なのですが、いずれにしても金融セクターがグローバルに大きな影響を受けます。

 東日本大震災の影響は世界におよびましたが、もっともサプライ・チェーンの寸断の影響を被ったひとつが米国の自動車産業で、ルネサスエレクトロニクス(6723)が作る小さな半導体の生産停止が、デトロイトでのレイオフなど重厚長大産業へ被害波及しました。ゆえに、今回とりあえずギリシャ問題がいったんは落ち着いたということでもっともリバウンドしたのがナスダック総合指数というのは当然の理と言えます。なぜなら、そもそもが「モバイル・クラウド」、「ブロードバンド・ワイヤレス」あるいは「スマートグリッド」という大きな右肩上がりのテーマを抱えているのがハイテク産業であり、そして東日本大震災の影響はソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の強さを再認識させたり、当然スマートフォンの優位性を見せつけたりし、さらには原子力発電に対する世界的なアレルギー発生は、スマートグリッド技術の発展を加速させるからです。先週の各市場のインデックスの動きは、そうした見立てが間違っていないことを証明してくれたと考えています。

■ギリシャ問題は終息したのか?

 話題の中心にいたギリシャ問題ですが、今週ひとまずギリシャ議会において、29日に財政再建計画を承認し、翌30日には赤字削減のための関連予算法案が可決されました。これによりひとまず7月の同国国債の利払いなどには目途が付き、市場は一安心しているところですが、問題がこれですべて終了した訳ではありません。同国の最大歳出は同国の労働人口の25%〜30%を占めると言われる公務員の給与です。同国が欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)、あるいは国際通貨基金(IMF)から支援を受けるための条件は2015年までに財政赤字を削減することですが、これは厳しく3カ月に一度、進捗度合いをチェックされます。今回の話題になったのは昨年5月に決まったギリシャ支援の第5回目の融資実行の是非ですから、今回かりに実施され、次の3年間の支援プランが決まったとしても、その進捗の度合いによってはストップが掛かります。金融市場がひとまずの安心感を示す中で、ギリシャの首都アテネで公務員が過激なデモを行っている姿はきわめて象徴的な暗示に思われます。日本でも民主党が政権奪取した時、公務員給与2割削減というマニフェストを掲げ、また歳出削減などいくらでもできるとマニフェストで訴えましたが、どれかひとつでも達成できたでしょうか?痛みを強いる政策を実行するのは至難の業だということを、少なくとも日本人は認識しないとなりません。ただ、だからこそこれらを反映してか、同国のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)はピーク時よりは低下しましたが、しかし週末現在2,000bpsという異常値にまだあることは銘記しておく必要があります。

■米国マクロは持ち堪えるのか?

 一方、こちらも疑心暗鬼に陥っているかに見える米国マクロの回復速度ですが、週末の米国株式市場をリードしたのは同日発表された米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数です。結果は前月比で1.8ポイント上昇の55.3とり、東日本大震災の影響を受けていた自動車や関連分野の生産回復が貢献しました。前月53.5と1年8カ月ぶりの低水準に震災の影響もあって急落したことを気に病んでいましたが、6月は市場予想の52程度を上回り、市場はこれを好感する形となりました。ポイントは同指数が好不況の分かれ目を示す50を23カ月連続で超えているということです。ただ中には60を超えないとスローダウンだと指摘する向きもありますが、何をどこまで期待するのかということだと思います。決して褒めない、常に批判ばかりの人はたくさんいるのが世の常ですから。

今週のポイント

■消えないソブリン・リスク

 ギリシャ問題はひとまずいったんは沈静化できるのかも知れませんが、7月の重要テーマは「米国の法定債務上限引き上げ」の可否ということになると見ています。まだ不思議と日本の問題は陰に隠れていますが、その次は日本だと思います。米国の件については以前にもご紹介しましたが、5月16日に米国は法で定められている国の借金総額がその上限に突き当たってしまいました。個人にたとえれば、カードローンの極度の目一杯まで借り入れが膨らんでしまったということです。この極度が引き上げられないと、元本どころか利息の支払いさえできない状況になり、米国の国債がデフォルト(償還不能)という未曽有の事態に陥ります。この問題解決のために、現在オバマ大統領が野党共和党とギリギリの折衝を続けていますが、現時点において解決する目途はたっていません。これらを受けて、格付け会社のS&Pなどは7月中旬までに目途がたたなければ米国国債格下げ(現状AAA)を行うとコメントしています。もしそれが現実のことになれば、米国国債を保有する多くの国や金融機関に債券価格の下落ということを通じて大きな損失を与えることになります。現在、米国国債の一番の保有者が中国であり、第2位が我が国日本です。

■他人事ではない日本の事情

 「ギリシャや米国は大変だなぁ」などと決して他人事ではいられないのが日本の事情です。国会の会期は8月末まで延長となりましたが、残念ながらいまだに国会審議がまともに行われ始めた形跡はなく、ただただいたずらに毎日国会運営費として1億8,000万円程度が浪費されているという状況に見えます。

 国会の会期を延長してまで可決したい、いやされないとならない法案のひとつが特例公債法案です。いわゆる赤字国債法案ですが、この法律が定まらないと、今年度92兆円(震災復興関連費用は含まず)の一般財源のうち約41%を占める“借金”ができません。逆にいえば、現在の政権与党は収入の目途がたたないままに、ひとまずこの春に支出計画だけを強引に決定したということになります。

 この状況を簡単にたとえるならば「住宅ローンが借りられるかどうか目途がたたない内に、銀行がグチャグチャ文句を言うのがうざったいから、新築住宅の工事に着工だけは何とかなるさと見切り発車した」というのと同じです。そして棟上げ作業が終了した段階になっても、やはり住宅ローン借り入れの目途がたたずに、そのうち工事を中断せざるを得ないばかりか、日々の生活費にも困ることになるという無計画な状態と同様だということです。そして家主の判断は「最後は子供たちへのリレー・ローンでも組んで、子供たちや孫に返済させれば良い」と一向に生活水準を下げようとはしないのと同じです。

 これが何を意味するかと言えば、年度後半には行政サービスが止まるということです。当然、国債の利払いなども止まり、日本国債もデフォルト(償還不能)という話にもなります。発行額の95%が国内で消化されているから大丈夫という論調も、郵便貯金の運用が国債買い入れに回っているという現実と合わせると、とても悠長な態度で見ていられる話ではないと思いますがいかがでしょうか? 日本は純債権国だから大丈夫だという言い切る人もいますが、お財布が違う以上、その人が何を買うかまでは読めないはずです。

 市場にやや楽観ムードと安堵感が漂ってきたと思われる時に水を差すようで恐縮ですが、今現在も強気に変われない理由はこうしたソブリン・リスクが全然片付いていると思えないからというのが主な理由です。私はまだまったく楽観論を組み立てられずにいます。

 今週も頑張りましょう。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪NYダウ、前週比5.43%上昇!≫

■ダウ工業株30種平均株価に採用されている米国の主要株式へ投資

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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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