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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年4月11日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

4月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(4/8終値)
前週末比
(4/1比)
日経平均 9,768.08 +59.69 +0.61%
NYダウ 12,380.05 +3.33 +0.03%
金利・為替 週末終値
(4/8終値)
前週末比
(4/1比)
長期金利 1.320% +0.062%
ドル/円 84.75  
ユーロ/円 122.75  

TAKE IT SUNNY SIDE!

前週の総括

■動きようがない、というのが正直なところ

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。前週の日経平均は3月最終週(3月28日〜4月1日)よりも動きのない値幅の狭い一週間となりました。福島原子力発電所の状況は、まさに一進一退、高濃度の放射線を含む原子炉から漏れた水を制御できないという報が続き、さらには3月11日の震災後最大となる余震が7日深夜に東北地域で再度発生するなど、震災から約1カ月経った今でさえ、まだまだ「非常事態モード」の渦中であることを再認識せざるを得ない状況が続いているからです。結局は週初に付けた9,808.60円が高値となり、翌5日には9,500円台にまで下落、その後はベタッと安値圏で推移し、7日深夜の余震を受けた8日初めに9,536.68円という週間安値を付けた後、やや切り返して9,768.08円で取引を終えました。上下の値幅で250円もありません。週末8日は4月限月のオプションの最終清算日SQであったことから思惑的な動きも予想されましたが、売買代金も取り立てて膨らんだ様子もなく、市場の手詰まり感はかなり高くなっていると思われます。

■日銀は短観を再発表したが…

 前週末4月1日に発表になった日銀短観は震災の影響を織り込めていないということで、震災後の回答分について再集計した震災前後のDIの変化が週明けに発表になりました。当然のことながら震災前に回答されたものに比べて震災後のそれが先々見通しを中心に悪化したことは予想通りでしたが、むしろその変化の度合いが小さかった事が「まだ企業は集計どころではないようだ」という現状を浮き彫りにした感があります。部品供給が確保できないことでトヨタ(7203)の北米工場での生産が中止になるなど、まだまだ震災の影響は拡がる過程にあるという印象があります。そしてこの夏に予想されている大規模な電力不足とそれに伴う計画停電の悪影響をどのように最小化し、どの程度損益計算書上に織り込めばいいのか、まったく未知数な状況が続いているというのが正しい理解かと思われます。恐らくこの3月期決算発表シーズの中では、ガイダンスさえ出せないところもでてくると思われます。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価のこの1週間の動きです。----------- 週の中3日間は上下の値幅がほぼ100円という極めて動きのない状況が続いてしまいました。>

■流通企業は2月期決算を発表したが

 7日にセブン&アイHLDS(3382)などの小売業界の2月期決算が発表になりました、予想に違わず震災の影響がジワリと垣間見える内容です。終わった期(2011年2月期)は総じて景気回復の流れの中にあったことを感じ取ることができますが、2012年2月期に関しては、セブン&アイHLDSを例にとれば、売上が51,197億円から△11%減少の46,000億円となり、純利益も1,119億円から△22%減少の875億円となる見通しです。もちろんこの中には地震による直接的な被害(設備の損壊など)に関わる費用など、市場は「一時的な費用」として寛大に見守る特別損失も含まれますが、しかし現時点で誰もが体感しているような「自粛ムード」などによる消費減退による影響が大きく含まれることは事実です。コンビニエンス・ストアを含むまさに日常生活にとって不可欠な食料品や衣料品などを支える部門でさえこの状態ですから、不要不急と思われるものに対する消費が落ち込むことは避けられそうにありません。

■事業及び連結業績への影響については引き続き精査中

 ソニー(6758)のWebページに掲載されている4月6日付のニュース・リリースに「東日本大震災にともなう、ソニーグループ製造事業所の生産活動の状況について」と題したリリースがあります。そしてその文末には「稼働調整の影響を含む、この度の地震、津波及び停電によるソニーグループの全ての事業及び連結業績への影響については引き続き精査中です」との文言が記されています。原稿執筆時点の10日はあるいはすでに精査終了かも知れませんが、現実にはそれを期待することは難しいだろうと思います。

 同じくトヨタ自動車のWebページには8日付で「4月18日(月)以降の国内工場稼動およびお客様へのお詫びとお願いについて」、9日付で「北米での生産調整について」というリリースがともに発表されています。どちらも5月11日に例年決算発表を予定している日本を代表する企業ですが、実際にその段階でどこまで収益影響が織り込んで発表できるのかははなはだ疑問です。

 実際、今回の震災後の対応で「コストは無視して被災地に物資・製品を届けろ」とトップが指示を出したところも数多くあります。また港湾が復興しないために、工場の操業は再開したとしながらも、それに伴う物流コストが桁外れに上昇している企業があります。残念ながらこれらの影響はまだ多くの企業において「精査中」の段階を出ていません。


(出典:Bloomberg.)

<ドル円のこの1年間の推移です。----------- 震災直後に市場最高値を更新したのがまるで嘘のように85円台にまで円安が進んでいます。>

■中国利上げ、ECB利上げ、QE2終了

 中国の中央銀行である中国人民銀行が6日、2月8日以来2カ月ぶりとなる今年2回目の利上げを行いました。引上げ幅は金融機関の預金と貸出金利をそれぞれ0.25%とし、これに伴い1年満期の預金金利は3.25%、貸出金利は6.31%となりました。

 また欧州中央銀行(ECB)も7日、主要政策金利のリファイナンス金利を0.25%引き上げ1.25%としました。 トリシェECB総裁が、先月の政策決定会合後の記者会見で利上げを示唆していましたので市場に驚きはありませんでしたがECBの利上げは2008年7月以来、主要先進国による利上げも世界経済が2008年に景気後退に陥って以降で初めてのこととなります。ただ英中銀(BOE)は7日、政策金利を予想通り過去最低水準の0.5%に据え置いています。

 こうなると注目されるのは米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第2弾(QE2)を予定より早く打ち切って年後半に利上げに踏み切るのかどうかという点になりますが、現時点ではまだ憶測の域をでる以上のものはありません。ただいずれもリーマンショックがもたらした世界的な景気後退から世界経済が脱出するために行っていた金融緩和の影響が商品市場などを通じてインフレへの導火線となることを早期に食い止めるためでもあり、金利高は株式市場にまだネガティブな影響は与えていません。

今週のポイント

■TAKE IT SUNNY SIDE

 過剰な悲観論を煽るような原発事故の報道は影を潜めましたが、政府や東電(9501)などへの情報開示に対する不信感は根強く、多くの風評被害をもたらしている現実は憂うばかりです。とりわけネット上に氾濫している多くの情報は、それが公正中立なオーソリティーが発信したものなのか、原子力発電反対派がここぞとばかり書き立てているものなのか、正直その発信者の肩書だけから読み解くことは難しく、聞くところではネット・リテラシーが高い人ほど情報に振り回されているそうです。

 そうした現状を反映してか、震災から1カ月が経とうとするにも関わらず、週末の行楽地の人出は激減したままです。この土曜日、首都圏では人気の観光スポットである伊豆・箱根地域に出掛けてみましたが、これが週末かと我が目を疑うばかりです。道路もガラガラ、週末の夕方は恒常的に渋滞しているはずの厚木からの東名高速上り線でも、一度もブレーキを踏むことなく順調に走ることができました。米国のフリーウェイではこんなのは普通の光景ですが、普段明るい東名高速のこのエリアで道路照明が消されているというのが一種独特な薄暗さを醸しだしています。確かにこうした状況で「普段と変わらず消費活動をしましょう」と期待する方が無理なのかも知れません。外食産業を中心に内需産業は相当なマイナスをこの先まだまだ覚悟しないとならない気がします。

 しかし「Take it sunny side」、物事暗い悲観すべき面もあれば、反対の面、すなわち明るい面があります。じつはこれ、子供の学校の校長先生のお話からの受け売りですが、確かに今回の震災は大変甚大な被害をもたらしましたが、必ずやこの先の日本にとってプラスとなる何かを残したものと思われます。直接的なものでは、やはり日本の耐震技術がいかに優れているかということは確認できたと思います。地震による被害と、津波による被害を切り分けると、地震そのものによる被害はあれだけの大規模災害でありながらあまり大きくないとも言えます。たしかに、千葉県浦安市などでの液状化被害も大きな禍根を地域経済に残してしまっていますが、建物自体の倒壊や損壊もそう多くはありません。もちろん、いずれにしても被害に合われた方が多くいらっしゃいますので、軽々なことを申し上げるつもりは毛頭ございませんが、過去海外で起こった大震災の被害状況などと比べるとこうしたことが言えるように思います。

 それに比べると、電気や水道、あるいは携帯電話などの通信のインフラは予想以上に弱く、そしてインターネットはやはりその構造上、想像以上に強かったと言えます。ネットにアクセスさえできれば通信自体は確保できたので、『Twitter』や『Facebook』などが最初の連絡手段になりました。当然のことながら、クラウド上に保存されていたデータはその後いつでもどこでも取り出すことができましたので、『Gmail』の便利さを痛感された方も多いのではないでしょうか?海外メディアが称賛した日本人の冷静な対応ぶりや強み、そして復興後の社会がどうあるべきかを実感できる事象はたくさん見つかったように思います。「今」がそのタイミングかどうかの議論は別にして、投資アイデアや対象はたくさんあるように思います。

■短期的には株価は戻り過ぎか

 ただ短期的には株価は戻り過ぎかと思います。震災前の株価水準を10,300円〜10,500円程度とすると、安値となった3月15日の8,227.63円(先物は7,800円)から半値以上の戻しとなっています。また水準的にもおおむね△6%程度のディスカント・レベルである現状は、この後相当力強く短期的に企業業績が回復することを見込まないと妥当性を説明できる水準ではありません。前述のセブン&アイHLDSの売上見通しは11%のマイナス予想ですし、トヨタは北米生産の中止を発表しています。鹿島灘臨海コンビナートの操業停止の影響は素材産業にこれからジワジワと効いてきます。利上げフェーズに入った好調な海外景気が国内製造業の需要をいくら下支えすると言っても、現時点で見えている夏場の計画停電など影響まで加味して考えると、企業収益が震災前予想の6%程度下方で留まる想定はやや楽観的過ぎると言わざるを得ません。


(出典:Bloomberg.)

<ドルベースの日経平均株価の推移です。-----------3月22日戻り高値を付けた後、実はダラダラと下がっている状況です。このまま円安が続くようだと、上値を抑え込む要因になります。>

 また円安が輸出など外需系企業の収益にはプラスというのは事実ですが、外国人投資家のポートフォリオにとってはマイナスに働きます。じつは現時点では為替の影響があり、ドルベースの日経平均株価は円ベースのそれと違って震災後の戻り高値(118.9ドル)を3%以上下回る水準(114.93ドル)にあります。昨年は円高が外国人投資家のポートフォリオのパフォーマンスを後押し、それが外国人投資家の資金を呼び寄せたのは記憶に新しいところです。日本が低金利の金融緩和継続を余儀なくされ、円売りのキャリー・トレードが円安を演出するならば、昨年の資金需給の歯車は逆回転するとも言えます。それを打ち消すファンダメンタルズの好転が描ければよいのですが、今その絵を描ける状況にはまだありません。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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