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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年3月28日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

3月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(3/25終値)
前週末比
(3/18比)
日経平均 9,536.13 +329.38 +3.58%
NYダウ 12,220.59 +362.07 +3.05%
金利・為替 週末終値
(3/25終値)
前週末比
(3/18比)
長期金利 1.220% +0.010%
ドル/円 81.34  
ユーロ/円 114.58  

United We Stand! 頑張ろう、日本!

 今回の東日本大震災で犠牲になられた多くの方々に心からの哀悼の意を表するとともに、今なお被災地において不自由な生活をされている皆様に衷心よりお見舞い申しあげます。またその被災地において、昼夜を問わず捜索や復旧復興にご尽力なさっている方々に対しましてあらためて敬意を表するとともに、どうかご自身のお体も大切にされつつ、一日も早く平穏な日々が取り戻せるようにご尽力いただけることを切にお願い申し上げる次第です。

 またその後の原子力発電所の危機に際しても、我が身の危険を顧みずに最前線で懸命な復旧作業にご活躍いただいている方々にも心の底から感謝申しあげるとともに、そのご家族や関係者の方々のご心痛如何ばかりかとお察し申し上げる次第です。私たちは皆さまの自己犠牲を伴うご苦労の上に、今の暮らしがあると肝に銘じて、多少の不便さなど厭わずにともに頑張りたいと思っております。

楽天投信投資顧問株式会社
代表取締役社長 大島和隆

前週の総括

■やや冷静さを取り戻し始めた

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。東日本大震災直後から脳裏を常によぎり比較対象とする記憶は1995年1月の阪神大震災当時のものですが、朝一番の報道から徐々にその被害状況が明らかになるにつれて平静さを失っていった(つまり急落して行った)市場に比較すると、3月11日(金)の大引け間際に突然襲ったそれは、週末というある程度状況を把握する時間を与えてくれたことが一番の大きな違いとなったかと思います。

 またこの大震災による津波が首都圏の電力を賄う福島原子力発電所2か所に大きな被害をもたらしたことがもうひとつの大きな違いです。数多の尊い人命を奪い、形あるものに大きな被害や傷跡を残した点では、大震災はある意味どこで起こりしものも等しく悲劇以外の何ものでもありません。

 その意味において、震災後初商いとなった14日の市場が急落し、さらに翌15日は福島原子力発電所の深刻な被害を聞いた市場が、先物市場で最安値7,800円を付けるまで急落したことは、これだけのショックと被害を織り込むためには当然な初期反応であり、またその下落幅の大よそ半分程度を取り戻したというのもこうした未曾有の災害に直面した金融市場のセオリー通りのリアクションかと思われます。大震災発生が週末の大引け間際というタイミングでなかったのならば、情報伝達とその咀嚼に必要な時間という意味で、市場はもう少し違った動きをしただろうと思います。

■ボラティリティは急上昇した

 今回、市場がいかにパニック状態になり、その下落にどの程度のエネルギーを使ったかを見るのにはボラティリティの水準がひとつの参考になりますが、週末現在の10DAYSのヒストリカル・ボラティリティは約85にまで急騰しています。この2年余りの平時の中心値はおおむね20前後ですから、遥かに飛び抜けた4倍以上の数値になっています。リーマン・ショック直後は、133まで上昇しましたが、これは私が25年間で確認した限りにおいて歴史的な異常値であり、今回の数値はそれに次ぐものです。経験則としては、ここからさらにもう一度深く下落するにはそれ相応の材料とエネルギーが追加的に必要になります。


(出典:Bloomberg.)

■為替も落ち着いてきた

 市場は歴史上の動きに類似点を見つけようとするのが世の習いですが、震災直後に急激な円高が進んで76円25銭という高値を付け、79円75銭の史上最高値の記録をあっさりと塗り替える場面がありましたが、週末の終値は81円34銭、震災直前に比べると1円50銭程度の円高と見ることができます。

 チャートなどで確認しておきたいことは、阪神大震災の時は、じつはその直後には円高になっていないということです。むしろその後数日間は円安に動いています。前日1月16日に高値98円06銭を付けた後、1月23日には100円台まで売られています。同年は阪神大震災により日経平均に関わるデリバティブ取引で損失を抱えたシンガポールのトレーダーが、女王陛下の金庫番とまで言われた老舗ベアリングス証券を破綻に追い込むという事件がその後に起こりましたが、じつは円高に弾みがついたのはその直後からだということです。そして4月中旬に市場最高値を付けるわけですが、それと同じことが起こると反応した為替市場には、ややヘッジファンドなどの作為的な仕掛けのようなものを感じます。週末を挟んで冷静に情報を咀嚼し、彼らが作戦を練る時間があったという面が今回は裏目に出たと言えるかもしれません。

 ただその為替水準も、各国の緊密な連携による協調介入などにより、今回はすでに冷静さを取り戻したかと思われます。季節的な通常のレパトリ(本邦企業が決算前に日本に外貨を還流させること)は行われると思われますが、今の日本の状況(外資系金融機関の外国人社員が本国へ帰国するような状況も含め)を見て、この国の通貨が「リスク回避」の目的で買われるというのは、どうにも論理的な説得力を欠いていると思われます。


(作成:楽天投信投資顧問)

<1995年(阪神大震災前後)当時のドル円為替の推移です。----------- 急激な円高が始まったのは震災直後ではなく、ベアリングス・ショックの後だったことが解ります。>

■NYダウは一週間で362ドルも上昇した

 日本の惨状が報道されるにつけ、一時は11,613.30ドルまで終値ベースで下落(3月16日)したNYダウですが、先週末終値は12,220.59ドルとなっています。この一週間での上昇幅は362ドル、安値からの戻りは607ドルとなります。日本の現状について多くの報道がなされており、なかには「日本のメディアは真実を伝えていない。海外メディアの方が正しいことを伝えている。」というような批判が流布されていることは承知していますが、その最先端に立つと思われるNY市場が少なくとも震災直前の水準を上回ってきたことは朗報だと思われます。震災報道で忘れられがちですが、世界ではリビア情勢をはじめ中東情勢は緊迫の度合いを強めてもいます。その最中において、NY市場の株価が戻ってきているということは、素直に好材料と受け止めて構わないと思います。

今週のポイント

■まだ気を抜くのは早過ぎる

 資産運用会社の代表という立場で申しあげるのも変ですが、当面はまだ市場もボラタイル(変動が激しいこと)な展開が続くものと予想され、リスク許容度の低いご資金の運用は安定性と流動性を第一にお考えになるべきかと思っております。急激な株安があり、また急激な円高があり「ここは絶好の押し目だ」と、あるいは「半分以上の戻りは行き過ぎだ」というような見通しが立てやすいことは充分理解しておりますが、まだ被災地を中心に余震さえ収まったとは言えず、原発の動向も不安定な状況が続いております。つまりまだ何が起こるかは定かではないこの足元の状況で断定的な判断を下して投資行動に移るのは、残念ながら時期尚早かと思います。ただボラタイルな状況は短期的にはトレーディングの好機であるのも事実であり、スタンスによってはこの限りではありません。

 パナソニック(6752)が採算を度外視して重い乾電池を空輸することを決めました。同社の事業規模からすればその空輸費用がどの程度損益計算書に影響するかは微々たるものかも知れませんが、こうした企業の緊急事態に採算度外視で対応する姿勢が損益計算書に反映されてくるのは少なくとも今ではありません。トヨタ自動車(7203)の操業停止、ホンダ(7267)マツダ(7261)の米国での受注停止などの影響もまだまだ未知数です。メーカーや系列を超えて、まずは復興することを最優先課題として取り組んでいる多くの企業の損益インパクトは予想ほどではないかも知れないし、予想を遥かに超えるマイナスインパクトになるかも知れません。その結果を見た時に、従来のように四半期決算の数値だけで売買をしているような投資資金は必ずしも「これ(損失)で売る必要はない」と株主としての義侠心のような態度を見せるとは必ずしも限りません。

 また今回の計画停電の影響がどのように企業損益に影響を与えるのか、消費はどの程度落ち込むのか、まだまだ未知数というより、それ以前の問題が多々あります。そして残念ながらその多くが「悲観的に考えることはない」と無視するには重過ぎる気がします。

■日本版「United We Stand!」

 911同時テロの直後に米国を訪問したことがありますが、直撃を受けたニューヨークは勿論のこと、遠く離れたカリフォルニアの人達までも「今はアメリカの一大事だ」と"United We Stand"と書かれたプラカードや国旗を家々に掲げていたのを思い出します。移民に支えられた多民族国家でありながら、あの国の底力はこのいざという時の団結心にあるのだと強く感じさせられました。

 震災前にお届けした私のメルマガも見ると、与野党の対立についての批判があります。党利党略ではなく、この国の行く末を考えて政治を行って欲しいという願いから書いたものですが、この震災は日本にあの時の米国以上に「United We Stand(ひとつになって立ち上がろう)」ということを教えてくれているような気がします。

 そして今、その風をこの国に感じます。もちろん、すべてのものに例外があり、決して一事が万事ではありませんが、電車のダイヤが乱れようと、計画停電で街中が真っ暗闇になる不自由を強いられようと、多くの人が被災地の人のことや復旧や復興に尽力されている人たちのことを考えて黙って我慢しています。そして自分たちにできることは何かを考えています。自らとその周辺の一部の利益のことばかりを考えていた典型的な例が党利党略に溺れる政治の状況だったとしたら、今のこの国の状況は相当変わったのではないかと思います。これがこの国の強さの源であり、それに支えられている日本企業の底力になるものと思っています。

 日本製の部品が調達できないからという理由で、海外でも生産停止になるものが出てきています。これこそ日本の技術が世界を支えていたことの何よりの証左であり、私達がこれからも目指していく方向性なのだと思います。短期的にはまだまだ難しい局面が続くと思いますが、日本版「United We Stand」という風が吹く限り、中長期的には日本がむしろ再び強くなるきっかけを与えてくれたものとも考えます。冷静に、慎重に、そして頑張って行きましょう。

 今週が素晴らしい一週間になることを願っています。

※ 「大島和隆からの手紙」の3月14日号および3月22日号は、今回の震災の影響に配慮し、誠に勝手ながら休刊とさせていただきました。本号より通常通り配信いたしますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

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中央三井ダウ・ジョーンズ インデックスファンド(為替ヘッジあり)
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ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ヘッジベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。原則として為替ヘッジを行う。

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中央三井ダウ・ジョーンズ インデックスファンド
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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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